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令和2年度第2回総合教育会議会議録

  • ID:11234

日時

令和3年2月17日(水曜日)午後1時30分から

場所

長岡京市役所 会議室7

出席者

中小路市長、山本教育長、福澤教育委員、

京樂教育委員、大下教育委員、盛永教育委員

事務局

〔教育部〕

教育部長、教育部参事兼教育総務課長、教育部次長兼文化・スポ-ツ振興室長

教育部次長兼学校教育課長、総括指導主事、生涯学習課長

教育総務課課長補佐、同課総括主査

 

〔総合政策部〕

総合政策部長、総合計画推進課長

傍聴者

なし

議事

(市長あいさつ)

10月に引き続き、出席いただき感謝する。

本日は、長岡京市第2期教育振興基本計画を教育大綱として位置付けるかどうかが大きなテーマである。計画については審議会でご意見をいただき、秋にはこの総合教育会議においてもご意見いただいた。最終的にどうするか、忌憚のないご意見をいただきたい。

新型コロナウイルス感染症の状況は、年明けから再度緊急事態宣言が発令されることとなったが、皆さんのご協力もあり、少しずつ落ち着きを取り戻してきている。昨日201例目が判明したが、年末年始は連日かなりの人数の感染が判明していた。家族内感染も多く、学校でも休校することがあった。子どもたちはもうすぐ学年の最後を迎える。ぜひ無事に年度が終わればと願っている。

また、報道でもご存じの通り、ワクチン接種は昨日から医療従事者優先で始まった。その次に65歳以上の高齢者が対象になる。本市では2万2千人程度への接種が見込まれる。予防接種は市町村の役割と定められており、着々と準備を進めているが、本市で集団接種を行うには学校の体育館を使わざるを得ないだろう。その意味で、医療関係もそうだが、行政資源も総動員しながら取り組んでいかねば、この大きなプロジェクトは進まない。ご協力をよろしくお願いしたい。


(教育長あいさつ)

約1年前、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、全国一斉休校というかつてない事態を経験した。現在も学校の活動には多くの制限があり、陽性者が発生した場合には数日間休校することもある。教職員も行政職員も緊張感の続く日々ではあるが、児童生徒のため一丸となって教育活動を進めているところである。また、GIGAスクール構想によるICT環境の整備についても、先日教員用の機材が先行して納入され、次年度からの活用に向けて準備を進めている。

さて、本日の議題となる長岡京市教育振興基本計画は、令和2年度にその最終年度を迎えることから、昨年度から第2期計画策定に向け、作業を進めてきた。ちょうど1年前の今頃は、小学校5年生及び中学校2年生の児童生徒とその保護者や市民、教職員に対するアンケート調査を実施するとともに、教育振興基本計画審議会の立ち上げに向け、委員の委嘱を行っていた。

令和2年3月30日に第1回の審議会を開催し、京都教育大学教授である竺沙会長を中心に議論を重ねていただき、令和2年12月から令和3年1月にかけてパブリックコメントを実施した。2月1日の第5回審議会にて答申をいただき、本日午前中の定例教育委員会にて計画の策定について議決をしたので、その内容について説明し、協議を進めてまいりたい。

教育大綱について

長岡京市総合教育会議運営要綱の第2条第3項の規定により、議長を市長が務める。

 

(市長)

議題「教育大綱について」事務局からの説明を求める。

 

(事務局)

まず、教育大綱案として示す長岡京市第2期教育振興基本計画第3章について説明する。

基本理念は「心のふれあいを大切に 生きる力をはぐくむ 明日の長岡京を創る しなやかな人づくり」。

そこから導かれる、本市の教育の目指す人間像として、「思いやりがあり、互いの違いを認め合い助け合える人」「 何事にも前向きに挑戦して未来を拓く人」「幅広い視野と柔軟な思考力を持つ人」の3つを挙げた。

本市の教育の「基本理念」と「目指す人間像」の実現に向けた、4つの基本目標は次の通りである。「1.子どもたちの「生きる力」の育成」「2.持続可能な教育施策推進のための環境整備」「3.生涯を通じた、多様な学びによる豊かな人づくり、地域づくり」「4.子どもを中心につながる地域の学びの場の推進」。

「基本理念」と「目指す人間像」の実現に向けて、「基本目標」に基づき教育施策を展開するに当たり、今後基礎として踏まえるべき、全ての分野に共通する重要な視点として、次の3つを挙げている。「1.うるおい資源の活用」「2.ICTを活用した新たな展開」「3.SDGsとの関わり」。

また、「新たな教育の循環~まちが人をはぐくみ、ひとがまちをつくる循環~」は、「循環する学び」と「まち全体に広がる学び」の2つの学びから構成されるものと整理した。学校・家庭・地域での循環を経て、まち全体に広がっていったあと、再び戻ってきて、学校・家庭・地域における学びの充実へとつながっていく循環を示している。

第4章は施策の展開として、「基本理念」と「目指す人間像」の実現のための基本目標と、その目標達成に向けての具体的な方策(基本施策・施策の方向性)を、目的と手段の関係性で示している。

第5章は計画の推進について、計画内容の周知と情報の発信を行うとともに、進捗管理を点検評価し、計画内容を見直すことについて述べている。

最後に、新型コロナウイルス感染症拡大についてだが、計画策定上、大きく3点について考慮した。1.ICT活用のスピードが加速したこと、2.リモートの促進で人と人との新たなつながりが生まれたことや、巣ごもり生活の中で人とつながり、互いを思いやる重要性が認識されたこと、3.予測不可能な状況の中、自分で考え、判断する力を育むことの重要性。

計画書の中に具体的には記載はしていないが、この3点を踏まえて検討し、これからの社会における地域づくり、まちづくりの中での教育が担う役割と、その中で本市の教育が目指すべき方向性、必要な施策について、計画という形で示した。

 

(市長)

第2期計画において今後10年間の方向性が示されたことを受け、計画第3章の基本理念、目指す人間像、基本目標、施策の基礎となる視点、新たな教育の循環を、教育大綱案として提案したい。委員の皆さんからご意見や感想を、今後の教育に対する意気込みも含めてご発言いただきたい。

 

(委員)

第2期教育振興基本計画の第3章を教育大綱とする、ということで良いと考えている。2030年、10年後を考えると、教員の資質向上は非常に重要な要素の一つであり、基本理念と目指す人間像の関係性はそのまま教師像にもあてはまると思う。なお、今の先生方のレベルが低いという意味ではないので、その点は誤解のないようお願いしたい。

新聞記事によると、今年度の教員採用試験の倍率は、13自治体で2倍を下回り、全国平均は2.7倍で過去最低を記録したという。目指す人間像にある「思いやりがあり、互いの違いを認め合い助け合える人」では教員として寛容性をもってほしい。「何事にも前向きに挑戦して未来を拓く人」では教員も夢やチャレンジ精神をもってほしい。「幅広い視野と柔軟な思考力を持つ人」では、教員にはバランス感覚が非常に大事である。理想の教師像であると思う。

教員は多忙で休暇もとれない、魅力のない職業のように思われている。その結果教員志望者が減り、競争率が低下し、質が低下するという負のスパイラルに陥ってしまう。その悪循環を改善するために、働き方改革を進める必要がある。

また、自国第一主義、保護貿易主義が台頭しているが、日本の将来を考えると国際協調は避けられない。グローバルな視点を持った教員の育成が重要だと思う。

それから、団塊の世代が2030年には81歳から83歳になる。超高齢社会を迎え、図書館の在り方も考えていく必要がある。乙訓二市一町で資料の検索・利用ができたり、CDやDVD等のメディア資料も充実したりするとよいのではないか。

子どもの貧困についても、本市だけでは対応が難しい面もあるが、離婚率は高まっており、ひとり親への支援等により教育機会の平等を図る必要がある。

計画を作って終わりではなく、PDCAサイクルを動かし、到達レベルも必要であれば見直しながら目標に向かって進めていくべきである。

 

(委員)

第二期計画に賛成である。第一期にはなかった「施策の基礎となる視点」が設定され、ICT、SDGsという新しい単語が入った。ミレニアム開発目標は入らなかったが、SDGsにより環境も含めて計画に盛り込まれていることは評価されるべきだ。

子どもたちの教育と、市民の生涯学習が基礎となって本市の教育が進展することを願うとともに、教育委員としても尽力したい。

 

(委員)

「施策の基礎となる視点」の3つ目、SDGsは無視することのできない流れである。大学の教員にも、自分の研究がSDGsのどこと関わっているのか明確にすることが求められている。10年計画ということで、今15歳の子どもが25歳になる。中学生が社会を担う時代に向けての基礎教育が、いま取り組むことである。

私はジェンダーに関わることに取り組んでいる。最近のオリンピック組織委員会の会長の発言についても、女性蔑視問題ととるのではなく、社会全体としてジェンダー平等に取り組む必要性があると意見がでたことが重要である。女性だけでなく、社会全体としてノーを言えたことが、日本の社会が一歩前進したと評価している。SDGsには17のゴールがあるが、社会も成熟し、子どもの教育にも反映するというように、連関を持ってほしい。

文化財については、近年活用が大きな話題となっているが、保存があってこその活用であることを今一度確認してほしい。開発時の発掘作業は大変だが、しっかり調査し、わかったことを市民に公表し、遺物等を保存してほしい。それがやがて活用につながることになる。

また、忘れがちなのが近現代文書である。古文書の重要性は浸透しているが、近現代資料で活字になっているものは軽く見られるところがある。しかし、それらも文化財である。指定をされなくても文化財として保存し、ゆくゆくは活用してほしい。今は大河ドラマもあり、戦国時代が中心となっているが、長岡京市全体の流れをふりかえり、戦国時代以外も知っていただきたい。

 

(委員)

コロナ禍という歴史に刻まれる大変な状況の中で、すばらしい「第2期教育振興基本計画」、そして、「教育大綱」の策定を推進された事務局の皆さまに心から敬意を表したい。同時に、大変な状況下での策定だったからこそ、「教育とは何か」「学校の役割は何か」などが鮮明となり、深く問い直すことができた側面があったのではないかと推察する。

さて、私も、この「教育大綱」に賛成の立場から3点発言する。

1点目は1ページの「基本理念」だが、あらためて「しなやかな人づくり」に共感する。教育界では、今、非認知能力・レジリエンスの重要性が注目されている。その非認知能力と本市の基本理念は深く通底しており、本市のこれからの教育ビジョン(希望と未来)に必要で重要な理念と考えるからである。

2点目は2ページの「目指す人間像」を意識した実践を進めたい。この「アンケート調査で把握された市民が教育に求める想い」を帰納的に踏まえた3つの人間像は、今日的テーマであるダイバーシティ(多様性)や、現在、国際的に議論されている「OECD Education 2030 プロジェクト」で注目されている「エージェンシー(agency)概念」(自ら考え、主体的に行動し、責任をもって社会変革を実現していく力)と大きく重なり、予測困難で急速に変化する社会で生きていく人間の育成につながると考える。

3点目は7ページの「視点2 ICTを活用した新たな展開」だが、コロナ禍で加速化された「一人一台端末」で、本物(真正)の学び、多様な学びを推進してほしい。その際、子どもたちを信頼して活用の制約を最小限にし、子どもたちの自由裁量を大きくした自治体や学校の方が、むしろ、子どもたち自らが自主的に使用ルールを確立し、トラブルを減少させたこと、その結果、授業での活用が大きく進んだという報告がある。本市でも、ぜひ、こうした先行事例に学び、子どもたちに深い学びを誘う効果的な活用ができることを期待している。

 

(市長)

各委員から意見をいただいた。教育長からもご意見をいただきたい。

 

(教育長)

市長が定める大綱について、当然賛成である。教育は国家100年の大計であると言われる。この計画は、我々がいかに行動すべきかの指針となるものである。「心のふれあいを大切に 生きる力をはぐくむ 明日の長岡京を創る しなやかな人づくり」。この基本理念は要諦としてとても大事である。

教育は、学校教育と生涯学習を融合し、相互に関連しながら時代を見据えていくのが大切である。目指す人間像の3点は、人権を大切にすること、挑戦の意欲を持つこと、知識を知恵に変えていかに使っていくか、ということが述べられている。子どもも含め、我々が自立した一人の人間として、人生を他者と共により良く生きる人格を形成するのが大事なことである。人は個人で生きているわけではない。自己実現と社会貢献が人間として大事なことで、他者を相互に尊重し活かしあい、柔軟で積極的な生き方を学んでいく必要がある。また、しなやかな強さ。先ほどレジリエンスという言葉も出たが、何かあっても跳ね返せる力を保つことが大事である。人間には弱さもあるが、その弱さを見せることでお互いを助け合うこともできる。

ICT教育は、エビデンスに基づく、と言われるが、物事を定数化、可視化する科学を基準にしたものと、日常生活における生涯学習や学校教育での現場の教育は情をもったもの。科学と情をどう融合させるか、目には見えないが、しなやかな人づくりを進めていく中で要になる。

偏った見方をすれば、不安な点もある。子どもの自発性、主体性、個性の重視、多様性の尊重は非常に大事なことであるが、特定のやり方をすると、未熟で傲慢な自己中心な人間になるのでは、という懸念がある。社会の中では、思いやりを持ち、お互いに助け合っていかねば成り立たない。しなやかな強さと人間の弱さ、科学と情、強弱、大小、光と影、白と黒、陰と陽、そうした相反するものを融合させながら、社会の中でどうあるべきか、考えていかねばならない。今、世界中の人々が、感染症をはじめ、自然災害等いろいろな不安の中で生きている。どうすればよりよい世界をつくりあげていけるのか、気づきになることが謳われていると思う。

先ほども申し上げたが、自己実現と社会貢献のため、子どもたちには教科書から学び、実社会からも学んでほしい。子どもの積極的な活動や物事に対する探究心をどう行動に結びつけていくか。今回、基本施策として挙げられているものは、地道に一歩ずつ進むための指標として賛成するものである。

 

(市長)

計画第3章を大綱とすることには、おおむね賛同いただけた。

市の総合計画も、次年度から第二期基本計画に入る。施策推進については、金曜に開会する市議会の予算案や実施計画事業にも反映されている。この大綱にある基本理念は、よい計画ができていると思う。大切なことは、これを実践していくことに尽きる。目指す人間像の「思いやりがあり、互いの違いを認め合い助け合える人」「何事にも前向きに挑戦して未来を拓く人」「幅広い視野と柔軟な思考力を持つ人」。胸を手に当ててみて、自分自身がそうあることができているか、というと疑問はある。しかし、教育現場で施策を進めていく上で、大人がこの基本理念に立ち返りながら判断ができているか、という物差しとして良い理念であると思う。

今は10年先を見通せないくらい、変化が速い時代である。その変化のスピードをコロナがさらに加速させた。変化に対応せねばならないが、教育の現場はぶれることがあってはいけない。不易流行、世の中の流れに沿う部分と、変えてはならない根本を見極めるのが教育委員会であり、行政の我々とこうした場で基本方針をしっかり定めることが大事だと思う。

先日も議論したのだが、学校現場にタブレット端末が導入される。原則として子どもにはSNSは禁止、ということになっているが、果たしてこれから、ただ禁止するということだけでいいのだろうか。それを考えていくのが我々の仕事である。単に禁止をするのは、この理念にそぐわない。こうした理念を実行するには、どういう方針で進めていくのかが問われ、それに基づき、どういう教育をするのか、ということにつながっていく。今日はこうして教育大綱について意見を、我々行政もこの大綱の考え方に基づき施策の展開をしていきたいので、引き続きしっかり議論していきたい。

本日提示の教育大綱案に基づき決定するということで異論はないか。(意見なし)では、案の通り教育大綱を決定する。以上で本議題については終了する。

 

(事務局)

多くのご意見をいただき感謝する。以上で令和2年度第2回総合教育会議を閉会する。 

お問い合わせ

長岡京市 教育部 教育総務課 総務・施設整備担当
電話: 075-955-9532 ファクス: 075-951-8400
長岡京市 総合政策部 総合計画推進課 企画総務・行革担当
電話: 075-955-9502 ファクス: 075-951-5410