○長岡京市中小企業振興基本条例

令和4年9月30日

条例第20号

長岡京市は、数々の歴史資産を有し、西山の豊かな自然に育まれてきました。

本市は、かつて、「長岡京」の都として栄えた際、経済の中心である市(いち)があったとされ、京都と大阪への交通の利便性に富んだ立地から、製造業を中心とする企業の進出が進むとともに、建設業、小売業、飲食サービス業のほか、農業、医療、福祉等、バランスの取れた多様な産業構造を有しています。

特に市内事業所の大部分を占める中小企業は、産業振興や地元雇用の創出、様々なサービスの提供等を通じ市民生活の向上に大きな役割を果たしており、税源の涵養や地域の活性化の点からも、その振興を図ることは、本市の地域経済の持続的な発展にとって極めて重要であります。

グローバル化や人口減少など中小企業を取り巻く環境が大きく変化する中、中小企業が持続的な成長を遂げるには、中小企業だけでなく、関係団体や市民一人ひとりが、中小企業の果たす役割への理解を深め、地域内での消費が地域内での投資につながる等地域内での経済循環の仕組みを作り上げる必要があります。また、地域外からの投資を呼び込み、それぞれの中小企業が切磋琢磨し、魅力的な商品やサービスを提供することで中小企業の成長が実現するなど、事業者が育ち、にぎわいと活力あるまちづくりを進めるとともに、こうした仕組みを次代を担う子どもたちに引き継いでいきたいと思います。

このような認識の下、私たちは、中小企業の振興が地域づくりの発展につながることを強く念願し、中小企業の振興に関する基本理念等を定め、その取組を市、市民、関係団体が一体となって総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業の振興が市民生活の向上に果たす役割の重要性に鑑み、市の責務並びに中小企業、経済団体、商店街、大企業、金融機関、学校、大学等及び市民の役割等の基本となる事項を明らかにし、中小企業の振興に関する施策を総合的に推進することにより地域経済の発展及び環境と調和した地域社会の実現を目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に規定する中小企業者に該当するもの及び同条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事務所又は事業所を有するもの並びに市内で農業、医療、福祉等の事業活動を行うものをいう。

(2) 経済団体 長岡京市商工会その他の中小企業に対する支援を行う団体であって、市内で活動するものをいう。

(3) 商店街 商店街振興組合法(昭和37年法律第141号)第2条第1項に規定する商店街振興組合及びこれらに準ずる団体であって、市内で活動するものをいう。

(4) 大企業 中小企業以外の事業者及び団体であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(5) 金融機関 銀行、信用金庫その他の金融業を営む者等であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(6) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校であって、市内に所在するものをいう。

(7) 大学等 学校教育法第1条に規定する大学及び高等専門学校並びに研究機関であって、市内で活動するものをいう。

(8) 市民 市内に住所を有する者及び市内で働き、又は学ぶ者並びに市内において事業活動その他の活動を行う者をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 中小企業の創意工夫、経営意欲及び自主的な努力を尊重し、成長を図ること。

(2) 特色ある地域資源を積極的に活用し、地域内における経済循環の促進に努め、中小企業の創業及び育成を図ること。

(3) 中小企業をはじめ、経済団体、商店街、大企業、金融機関、学校及び大学等(以下「関係団体」という。)、市民並びに市がそれぞれの役割、責務等について相互の理解を深め、連携及び協働を図ること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念にのっとり関係団体と連携し、中小企業の振興に関する施策を総合的に実施しなければならない。

2 市は、前項の施策の実施に当たっては、中小企業の実態を把握するとともに、中小企業、関係団体及び市民の意見を反映するよう努めなければならない。

3 市は、予算の適切な執行及び公正な競争の確保に留意しつつ、中小企業の受注機会の拡大に努め、市内において生産し、製造し、加工し、及び販売される製品並びに提供されるサービス等の利用に努めなければならない。

4 市は、中小企業の振興施策に関し、情報の提供に努めなければならない。

5 市は、中小企業、関係団体及び市民の相互理解を促すため、中小企業の振興に関する情報の発信に努めなければならない。

(中小企業の役割)

第5条 中小企業は、経済的及び社会的な環境の変化に対応できるよう、自ら意欲を持ち、創意工夫を重ね、経営力の向上及び改善に努めるものとする。

2 中小企業は、人材の育成、雇用の安定化、福利厚生の充実、就労形態の多様化等に努め、労働者の仕事と生活の調和に取り組むよう努めるものとする。

3 中小企業は、年齢、性別、障がいの有無、国籍等の多様性に配慮した労働環境の整備及び事業活動に努めるものとする。

4 中小企業は、事業活動に当たっては、市内において生産し、製造し、加工し、及び販売される製品並びに提供されるサービス等の利用に努めるものとする。

5 中小企業は、地域の経済団体及び商店街に加入することに努め、市又は経済団体が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

6 中小企業は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、市、関係団体及び市民と協働し、活力あるまちづくりに取り組むよう努めるものとする。

(経済団体の役割)

第6条 経済団体は、中小企業の実態や取り巻く環境を把握し、情報提供、分析、提案等の専門性の高い支援を行い、経営基盤の安定、強化及び経営革新の促進に努めるものとする。

2 経済団体は、創業及び事業の承継等への支援に努めるものとする。

3 経済団体は、中小企業の経済団体への加入促進に努めるものとする。

4 経済団体は、中小企業及び関係団体との連携に努めるとともに、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(商店街の役割)

第7条 商店街は、会員の事業活動を促進する事業及び当該地域の環境の整備改善を図るための事業を行うよう努めるものとする。

2 商店街は、会員の事業活動及び地域貢献活動の活性化を図るため、情報の提供及び発信に努めるものとする。

3 商店街は、中小企業の商店街への加入促進に努めるものとする。

4 商店街は、中小企業及び関係団体との連携に努めるとともに、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(大企業の役割)

第8条 大企業は、その事業活動が地域経済に有する影響力の大きさを認識するとともに、中小企業の振興が地域経済の発展に果たす役割を理解するよう努めるものとする。

2 大企業は、中小企業、市、経済団体及び商店街との連携に努めるとともに、市、経済団体及び商店街が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

3 大企業は、事業活動に当たっては、市内において生産し、製造し、加工し、及び販売される製品並びに提供されるサービス等の利用に努めるものとする。

(金融機関の役割)

第9条 金融機関は、中小企業が自ら意欲をもって取り組む経営力の向上、経営の革新及び基盤強化を図るため、中小企業の成長の支援に努めるものとする。

2 金融機関は、創業及び事業の承継等を行おうとする者の育成に努めるものとする。

3 金融機関は、中小企業に対し、情報提供、分析、提案、円滑な資金の供給等に努めるものとする。

4 金融機関は、中小企業、市及び関係団体との連携に努めるとともに、市、経済団体及び商店街が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(学校及び大学等の協力)

第10条 学校は、教育活動を通じ、中小企業の振興が市民生活の向上に果たす役割への理解を促すとともに、健全な職業観及び勤労観の醸成を図り、もって次代を担う人材を育成するよう努めるものとする。

2 大学等は、中小企業が行う研究及び人材育成に関して協力するよう努めるものとする。

3 学校は、市、経済団体及び商店街が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(市民の理解及び協力)

第11条 市民は、中小企業の振興が市民生活の向上に果たす役割への理解を深め、中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、消費者として、地産地消の取組をはじめ、市内において生産し、製造し、加工し、及び販売される製品並びに提供されるサービス等の利用に協力するよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第12条 市は、関係団体との連携を図りながら、第3条に規定する基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業、特に小規模企業者の経営面及び資金面に配慮し、中小企業の振興に関する施策を講じるものとする。

(1) 中小企業の経営基盤の強化、事業の変革、創業及び承継を図ること。

(2) 多様な就労形態及び労働環境の維持向上を図ること。

(3) 中小企業及び関係団体の相互連携を促進すること。

(4) 特色ある地域資源を生かした地域内の経済循環を促進すること。

(5) 中小企業が担う役割の重要性に対する理解及び協力を得ること。

(6) 教育活動を通じ、健全な職業観及び勤労観を醸成すること。

(7) 市内の中小企業及び産業の魅力を発信すること。

(8) 企業誘致及び企業立地を促進すること。

(9) 災害等による社会経済状況の急激な変化に対応すること。

(推進の体制)

第13条 市は、この条例の理念の実現を図るため、前条に規定する施策の基本方針に基づいた中小企業の振興に関する重要事項の審議を行うことを目的とした、長岡京市中小企業振興推進会議(以下この条において「推進会議」という。)を置く。

2 推進会議は、中小企業の振興に関する施策を実施する関係団体及び市から施策に関する報告を受け、当該施策の実施状況及び効果の検証を行うものとする。

3 推進会議は、市長が委嘱し、又は任命する委員20人以内をもって組織する。

4 委員の任期は、2年とし、再任されることを妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 前各項に定めるもののほか、推進会議の組織及び運営に関して必要な事項は、規則で定める。

(委任)

第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和4年10月1日から施行する。

(長岡京市商工業振興対策審議会条例の廃止)

2 長岡京市商工業振興対策審議会条例(昭和50年長岡京市条例第5号)は、廃止する。

(長岡京市特別職非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 長岡京市特別職非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和39年長岡京市条例第15号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

長岡京市中小企業振興基本条例

令和4年9月30日 条例第20号

(令和4年10月1日施行)