第1回 長岡京市教育振興基本計画審議会 会議録
- ID:15218
日時 令和7年5月27日(火曜日)午前9時30分~11時
場所 長岡京市立図書館3F 大会議室
出席者
委 員:竺沙会長、西村副会長、樋口委員、島袋委員、藤間委員、米澤委員、藤井委員、永砂委員、五井委員、木和委員
欠席者:山本委員
議事
1.開会
●事務局
―委員11名中10名の出席を確認―
―傍聴なし。報道1名―
―本日の会議は公開であることの説明―
―当日配布資料の確認―
2.教育長あいさつ
●教育長
本審議会の委員を快くお引き受けいただいたこと、厚く感謝申し上げる。また、平素より本市教育行政の推進にご支援ご協力をいただき重ねてお礼申し上げる。
長岡京市第二期教育振興基本計画の策定に向け、令和元年度末から令和2年度にかけて開催されました審議会において、当時の委員の皆様にご協議をいただき、令和3年度からの10年間を計画期間として本基本計画を策定した。
当時を振り返りると、新型コロナウイルスの感染対策として、全国一斉休校や図書館、公民館などの閉鎖が行われた。3密を避けるために人々が集まる機会が失われ、学校においても、修学旅行や体育大会などの行事の中止、部活動や大会の中止、すくすく教室の中止などにより、子どもたちの貴重な体験の機会が失われた。そうした中、オンラインによる学習や会議、集会などが行われ、GIGAスクール構想が前倒しになり、本市の学校においても令和3年度から1人1台端末が開始された。
このように新型コロナウイルス感染症が今後どうなっていくのか見通しが持てない状況の中、審議会で協議が進められ、変化が激しく見通しが持てない社会においても、たくましく生きていく力や、人と人が繋がり協力し合い助け合いながら幸せな社会を作っていくことを重視し、「心のふれあいを大切に 生きる力をはぐくむ 明日の長岡京を創る しなやかな人づくり」を基本理念に掲げた第二期教育振興基本計画が策定された。
本市ではこの計画に基づき、これまで様々な事業を推進してきたが、コロナ禍の影響が大きく、例えば児童生徒の体力運動能力は回復基調にあるものの、コロナ禍以前には戻っていない。また、文化芸術に関わる市民のサークルも集まる機会や発表の機会が減ったことによって、会員が減少するなどの状況が起こった。
世界ではロシアのウクライナへの侵攻など、平和や人権を脅かす問題が起こっている。また、物価高騰による家庭経済への影響も少なくない。
一方で、生成AIやロボット技術などの急激な進化は世界を大きく変えようとしている。
そうした中、令和5年4月に施行されたこども基本法は、こどもの権利を擁護し、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、こども政策を総合的に行うことを求めている。
そこで、計画策定後のこうした社会情勢の変化や進捗状況を踏まえ、残りの計画期間で、より効果的に施策を推進していくために、中間見直しを行うこととした。
これまで築き上げてきた長岡京市の教育を大事にしながらも、新たな変化や課題に対応した教育を進めるため、審議会での皆様の協議をもとに計画の見直しを進めていきたいと考えている。
長岡京市の教育行政のさらなる充実発展のために、皆様のお力添えを是非ともよろしくお願い申し上げる。
3.委嘱状の交付
―委員を代表し、竺沙委員が委嘱状の交付を受ける―
4.委員の紹介
―委員による自己紹介―
―事務局職員紹介―
5.会長・副会長の選出
―長岡京市教育振興基本計画審議会設置条例第4条に基づく委員の互選により事務局一任の発議を得て事務局より会長に竺沙委員、副会長に西村委員を提案し、承認を受ける―
6.会長・副会長のあいさつ
●会長
前回計画策定時いろいろとご意見を頂戴してまとめた経緯を思い出しながら、この間のさまざまな変化も踏まえ、今後に向けて良い案が作れたらと思っているので、皆様方の忌憚ないご意見と、ご協力をお願いしたい。
●副会長
人の成長に関わるすべてのことが教育だと考えて活動している。保護司もしているのだが、誰もが成長することができるのかという問いを持ちつつ、その成長に関わっていくことが教育であり、社会教育、地域の教育、学校教育を通して誰でも成長に関わることができると思っている。今最も関心があるのは、心の教育、そして地域の教育、社会教育である。
7.諮問
―教育長から会長へ諮問を行う―
8.議事
(1)長岡京市第2期教育振興基本計画の中間見直しについて
―事務局より説明―
●会長
ご意見、ご質問等はあるか。
●委員
国の方針等で中心的なキーワードとなっている「ウェルビーイング(Well-being)」について詳しく知りたい。
●会長
簡単に表現すると「みんなが幸せに生きていける」ということ。
なぜこの言葉が使われるようになったかの経緯は把握していないが、国際的な協調を進める意思で使われているのではないかと考えている。
●事務局
国の資料ではこのウェルビーイングの説明を重視している印象を受けている。様々な場面でこの言葉が使われており、今回の計画の見直しについても、そのような視点について反映していく必要があると思っている。
(2)「進捗状況・成果と課題について」
―事務局より説明―
●会長
事務局から気になっている点や、この点は力を入れて検討してほしいなどあればご説明をお願したい。
●事務局
コロナ禍からの回復を目指しているが、活動の縮小や中止を行った団体が多く、コロナ前の活動に戻ってきていないことが、社会教育、文化・スポーツの分野での課題である。他にはICT関係、子どもの権利など国の動きがあった部分についても検討いただきたい。
●会長
検討が必要だと感じておられるところをご説明いただいたが、委員の皆様方から気になっている点やもう少し内容を知りたいところについてご意見、ご質問等をどうぞ。
●委員
通番15「学校体育・スポーツ活動の推進(小・中学校)」について、令和元年度に比べ、体力・運動能力のD、E層の割合が高くなっているが、それに対して学校ではどのような取組を行っているか。また、部活動の地域移行が話題に上がっており、ますます運動から離れることが懸念されるが、現在、教育委員会としてはどのようにとらえているか。
●事務局
D層、E層の割合についてはコロナ禍以前には戻っていない状況である。今後、学校としては、生涯スポーツを見据え、ICTなどを活用しながら授業改善を行い、運動嫌いが増えないようしていくとともに、少しずつコロナ禍前に体力を戻していきたいと考えている。
●事務局
部活動地域移行については、昨年度より2つの種目において試行的に体験会を実施している。関係者の調整が整えば、試行的な取組みをする種目を増やしていきたいと考えている。一方で、今年度より学校関係者及び地域のスポーツ関係者などを構成委員とする検討委員会を立ち上げ本市の部活動地域展開のあり方を協議する。いずれにしても、子どもたちがスポーツ、運動をする機会を確保することを大事にしていきたいと考えている。
●会長
学校現場としてはどのように考えておられるか。
●委員
学校の体育でもICTを利用したり興味関心を高める取り組みを進めているが、全体的な運動量や遊びの量は少ないと感じる。また、外部でスポーツをする機会がある子と無い子の差は広がる一方であり、生涯スポーツに繋がる取り組みが必要になってくると考えている。
●委員
スポーツの楽しさを味わわせる授業は中学校でも意識して指導している。中学校には体育の授業に加えて部活動もあるため、一概には言えないが、計画策定時に比べると体力不足に関しての数値は回復していると思う。一方、身体の使い方が昔に比べて不器用になっていると感じる。
また、部活動の教育的意義は非常に高いので、昨今提唱されている働き方改革と、部活動の地域移行をうまく進めていくことが今後の課題であると考えている。
●委員
部活動地域移行の件は、難しい話題だと考える。教員の中でも積極的にやりたい方、あまりやりたくない方がいると思う。生徒や保護者の中にも、現在の部活動顧問の教員との間にあるような信頼関係が築けるか心配されている方も多いのではないか。検討委員会で関係者が協議するとのことだが、部活動地域移行について市としての方針はあるか。
優先順位はどのように考えているか。
●事務局
地域移行・地域展開の形はさまざまであり、現時点で本市としてお示しできる方針があるわけではないが、検討委員会にて方針について協議していきたい。学校部活動の課題やニーズ、また受け皿となる地域のスポーツクラブなどのニーズをマッチングして、適した種目や学校から進めていきたい。
検討委員会では、先行して実施している体験会で得られた課題なども共有し、地域展開の具体化にあたっては丁寧に進めていきたいと考えている。
優先順位については、学校の課題と地域の受け皿の状況把握をし、スムーズに移行できることを一番に考えている。
●委員
地域移行の問題と関連するが、熱中症対策や落雷注意報など危険な状況と判断された場合の対応について、安心安全の問題は学校と地域の連携も重要と思う。
●会長
子どもたちの安全をどう守るかは大きな課題であり、安全という視点での計画の見直しを行うことも大切である。
●委員
「地域ぐるみでの育成活動の推進」について、様々な取り組みをされているが、参加できる人が限られている。ボランティア養成などどうされているか。
●事務局
ボランティアについては、長く続けていただいていた方が高齢化により後継者を探しておられたり、コロナ禍でボランティアを引退されたりということもある。少年補導委員としてのボランティアを自治会長会で依頼したり、中学校教育支援のボランティア募集を教員養成課程のある大学に配布したりしているが、成り手を増やすための特に効果的な方法はまだ見出せていない。皆様のご意見を聞きながら検討していきたい。
●委員
通番19「いじめの問題等への対策」及び通番20「教育的支援が必要な子どもへの支援体制整備」について、不登校児童生徒の支援の取組はいろいろなされているが、それに加え、保護者も支援する体制が必要だと思う。教育委員会の考えをお聞かせ願いたい。
●事務局
不登校対策の中で、保護者支援は非常に大切なことと考えている。教育支援センターでは保護者の相談場所として臨床心理士などの専門家による教育相談を行っている。また、義務教育終了後の不登校についての支援事業として、昨年度末から、福祉部局が義務教育終了後の相談説明会を実施した。今後も引き続き、教育と福祉が連携し、保護者支援体制を強化していきたい。
●委員
通番2「教科学習の充実と指導方法の調査研究」について、学力が定着していない児童生徒に対し、今後も個別の指導・支援を充実させるための手立てを検討するとあるが、どのような手立てを考えているのか。
●事務局
各校では現在も休み時間や放課後等を活用し補習を行うなど個別の手立てを行っているが、市としては特別支援教育支援員の配置や、校内教育支援センターの設置、また京都府配置の心の居場所サポーターを活用するなどし、さらに支援を充実させたいと考えている。
●委員
通番28「教職員研修事業」について、『今日的な課題や長岡京市の課題に則した研修テーマの設定を行いました』と記述してあるが、具体的にはどのようなテーマを設定したのか。
●事務局
昨年度は、教育課題特別研修会においてICT・授業改善、特別支援教育、不登校、生徒指導というテーマで研修を行った。また、この他、小学校教科担任制についてのテーマでの臨時的な研修も行った。
●委員
通番28「教職員研修事業」について、令和6年度の目標指標(研修の受講者評価の満足度)が昨年度の97.3%から95.9%に下がっているが、これについてはどう評価しているか。
●事務局
昨年度からは確かに下がっているが、この95.9%という数値は高い数値であると思っており、合格ラインを上回っていると考えている。それよりも、研修受講者が減少したことが課題と考えており、今後は多くの教職員が受講できるようなシステムや内容を考えていきたい。
●委員
通番36「人権教育・啓発推進事業」について、障がい者スポーツの記述があるが、障がい者への支援はどのようになっているか。
●事務局
人権教育・啓発推進事業として人権問題研究市民集会を開催しており、講演形式から、参加型の形式に変更し、訪れた方が、障がい者スポーツであるボッチャを体験したり、パープルリボン、オレンジリボンで工作をし、リボンの意味を知ってもらったりするブースを設けている。生涯学習の講座において、障がいをお持ちの方から、参加しやすい方法について、相談や申し出があった場合、合理的配慮として、可能な方法で対応している。
●委員
学校で性教育はどのように行われているか。また、家庭での性教育について保護者が学ぶ機会はあるか。
●事務局
学校においては、教育課程を踏まえ保健体育等で性教育を行っている。あわせて国からの通知を受け「生命の安全教育」を進めているところである。具体的には低学年ではプライベートゾーンの指導など、自分と相手の心と体を大事にする指導を段階的に行っている。また、助産師さんを招聘し、命の素晴らしさや大切さについてお話しいただく機会を設けている学校もある。
保護者が性教育について学ぶ機会については、ゲストティーチャーを招聘した際に一緒に話を聞いていただいたり、男女共同参画の講座を活用したりすることはできるかもしれないが、現段階では把握はしていない。
●会長
保護者の問題は市の全体の問題になるため、教育振興計画の範疇を少し超えると思うが、親の問題は教育にとっても大事なので、必要なところは検討していく必要がある。
●委員
不登校の学生への対応について、研修会などの機会があればよいと思う。
●会長
学校としても特に気にしている問題だと思う。また何かあれば事務局に意見を出していただければそれも踏まえて見直しもしていただけるかと思う。活発なご意見を頂き感謝する。
次回は、素案として国等の計画との整合や今後5年間の施策の展開を考えていくことになるかと思うので、国の施策の動向等を見ていただければと思う。
9.その他連絡事項
(1)審議会の公開について(傍聴及び議事録の公開)
●事務局
審議内容の結果については原則公開となっており、公開前に事前に委員の皆様に内容を確認していただき、発言者のお名前を伏せた形で概要を市のホームページに掲載する予定である。
(2)次回日程について
●事務局
第2回審議会は9月ごろを予定している。本日の審議内容を踏まえ、庁内検討委員会で調整したたたき台を基に具体的な施策の議論を行っていただく予定である。
―閉会―