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第3回(仮称)長岡京市ふるさと資料館検討委員会会議録

  • ID:3176

日時

平成25年4月25日(木曜日)午後2時から

会場

図書館3階生涯学習課講座室

出席者

委員

芦田委員、國定委員、樫村委員、小林委員、田中委員、田端委員、中村委員、増田委員、山本委員、渡邉委員

事務局

中尾課長、関主幹、馬部主査、福家技師、山本事務員、小田桐埋蔵文化財センター局長

案件

「基本構想(案)」のうち3部の検討について

開会

・委員13名のうち10名出席

・事務局異動職員の紹介

・傍聴人の承認(1名)

案件1

(会長)

1回目、2回目で文言の修正、あるいは統一等の意見も賜っておりましたので、今日は事務局で修正したものを再度提出していただいております。そのあたりの説明を受けてから、審議をしていきたいと思います。それでは事務局から説明をお願いします。

<事務局 1部・2部の修正箇所の説明>

(会長)

1部、2部で修正していただいた文言を含め、何かご意見、ご質問がございますか。あるいは前回、前々回言いそびれたことがございましたらお願いします。

(委員)

3部の検討に入ったところで扱われるとは思いますが、先ほど会長のお話のなかで、「博物館法に基づく施設が必要だという合意がだいたい形成された」とご説明がありました。それは本当にそうだと思います。是非、博物館法に基づく、きちんとした施設をつくってほしいと思います。それから、現状では、市側の目線でぜひ協力してくださいと市民の皆さんにお願いするような印象があります。これまでも、長岡京市では市民がいろんな活動をしながら、歴史・文化財を守ってきました。そういうなかで、これからも市民が支える、開かれた博物館といった文章が一つどこかにあればいいと思います。

(会長)

ありがとうございます。確かに前回も出ていました通り、中身を考えていけばどんどん膨らんで、大きなものになっていくと思います。しかし最低限、博物館法に基づく貴重な文化財を保存・収蔵できる施設が望ましい、という話でございました。

また、仰っていただきましたように、博物館を今後維持していくうえで、やはりお金がかかります。そういった時にできるだけ市民に支えられて、愛される博物館になって欲しいとする部分も入れたらどうか、というお話でございました。他にございませんでしょうか。

(委員)

多分、今の意見とも関連すると思いますが、6ページ最初の文章は、主語が無いためわかりにくいです。「継承していかなければなりません。」では、一体誰が継承するのかとなります。長岡京市も、行政も、市民も、といったニュアンスを入れていただくとわかりやすくなると思いました。

(会長)

ありがとうございます。他にございませんでしょうか。

(委員)

文言の訂正ではありませんが、この資料は今後パブリックコメントに出されるというお話を前回お伺いしました。そこで、パブリックコメントに興味を持ちましたので、ホームページを拝見しました。すると、3月に出ておりました市の第2期環境基本計画というパブリックコメントだったと思いますが、それを見ておりましたら、ふるさと資料館への言及がありました。環境の都づくり宣言に基づく第2期環境基本計画の中で、このふるさと資料館のことを市として言及している以上、ふるさと資料館構想からも環境基本計画に何かアプローチした方がいいのではないでしょうか。具体的な内容はわかりませんが、市の内部から言及されているので、キャッチボールで何か返す表現があればいいと思います。

(会長)

前回も、緑豊かな西山などの恵まれた環境が、生きる人々の生活の潤いとなり、糧になったという意見がございました。そういった意味において、環境保全は市の重要な政策の一つに入っております。それを受けて、ふるさと資料館構想からも環境基本計画に対して、何かアプローチする文言を入れてはどうかという提案です。もっともなことだと思います。他にどうでしょうか。無いようでしたら、類似施設へのアンケート結果をお願いします。

<事務局 アンケート集計結果の説明>

(会長)

今の資料について何かご質問はございませんか。

(委員)

大変面白い資料だと思います。私も、吹田市立博物館に講演に呼ばれて行った経験があります。吹田市は団地もあるし、新住民の方も多い。そのため、この地域の歴史を理解しようという意識よりも、むしろ日本の歴史全体の中で面白そうなテーマを取り上げています。例えば、大阪城の学芸員の方や、その他の人をいろいろ呼んで講座をしているので、参加者も大変多いです。ですから、長岡京市の博物館の基本軸をどこに据えるかを少し考えたほうがいいと思います。入場者は多いが、特にその地域に関連したものでない方向を目指すのか、やはり長岡京市という地域に何か関連のあるテーマでやっていくのか、どこに軸足を置くのかを少し考えるべきでしょう。

(会長)

ガイドの会とか、埋文センターが講演会をされています。それから発掘調査の現地説明会にはファンが押し寄せて、市民の関心も非常に高いです。そのような市民の関心が高いことについて、内容を検討していく必要があると思います。他にございませんか。

(委員)

基本構想の策定との関係でいきますと、博物館法に基づく登録博物館なのか、博物館相当施設なのか、類似施設なのか、その区別をしていただかないと、何のための調査なのかと思います。

あと指定管理者も、指定管理期間が何年なのかという点も知りたいです。どこか5年という施設がありましたが、そのあたりもそれぞれの事情があると思います。四條畷市は平成18年から5年たっていますが、同じところが指定管理者となったのか、変わったのか。そういったことも今の博物館界の課題です。少し行政的な視点になってしまいますが、そのあたりも加味していただくとありがたいと思います。

(会長)

そのあたりは、今わかりますか。

(事務局)

前回までの議論の中で、資料館を建築するに際してどれくらいの費用が必要か、というご意見がございました。その視点に立って、どれくらいの規模だとどのくらいの費用が掛かるのかという点を中心にアンケート調査を実施しました。したがって、指定管理の期間については、すぐに答えが出せない状況です。ご理解をいただければと思います。

(会長)

ということでございます。申し訳ございません。他にいかがでしょうか。

(委員)

施設規模の項目で、施設の概要のところに、単独館とか複合施設という表記があります。これはどういう内容が含まれていて、どういった形になっているのかわかりますか。例えば、単独館だったら何か一本でやっているのか、複合施設なら博物館や図書館などを合わせた施設になっているのか。そのあたりはどうですか。

(事務局)

単独館としておりますのは、例えば博物館単体、または資料館単体を指します。複合施設は、例えば、博物館・資料館・文書館・図書館などの施設が併合していることを指します。

(会長)

他に何かございませんか。

(委員)

長岡京市の場合、計画から完成に至るまでの初期費用が、これから一番注目されてくるところだと思います。その数字は、他の館ではどれにあたるのでしょうか。例えば、吹田市立博物館であれば建築工事で28億5,798万円です。それぐらいのお金が掛かるのでしょうか。

(会長)

この費用面の欄は、どこを見ればいいのですか。

(事務局)

前回の話し合いを受けて、建築に伴う費用並びに設計等の関係費用、そして施設展示に伴う館内設備関係等の費用にご回答いただくアンケートを送付しました。けれども、自治体によって費用の算出方法が異なり、建築費用の中に設計費用を含めたものや、分けてご回答いただいたものもありましたので、そのままの形で反映させていただいております。最初は分けて記載していただくように、各施設へお問い合わせいたしましたが、何年も前の建築ということで詳細を分けられないとの回答もあったため、そのままの形で載せております。そのあたりを細かく分析するには、至っていない状況でございます。

(委員)

吹田市立博物館はすごく立派な建物です。一方で、大東市立歴史民俗資料館は移転によるオープンとなっています。学校の改修だと思います。公表されていませんが、建物は見るからに学校でした。長岡京市で言うと、例えば第六小学校とか、第四小学校の校舎をそのまま博物館に改装したようなイメージになるかと思います。

吹田は立派な鉄筋コンクリートの新築としてこの費用が掛かっているのに対し、大東市は学校改修の建物でも6億円余りの費用が掛かっている。もっと安価に上がっているイメージを持っていました。あと、四條畷市の施設は昭和60年の建築で古いといったところに気が付きました。

(会長)

各自治体によって建築状況は様々です。そのあたりはこの文章からなかなか読み取れないものでございます。他に無いようでしたら次にいきます。第3部の内容について、説明する事項があればお願いします。

<事務局 市内の既存展示施設についてパワーポイントで紹介>

(委員)

博物館法に基づく登録施設・相当施設・類似施設の3種類がありますが、例えば博物館法に基づく施設であれば、国の支援がありますか。もし無かったら自費でつくらなければならないと思いますが、やはり基本構想の段階では、博物館法に基づく施設をつくって欲しいという姿勢でいきたいです。支援が無くても進めていただきたいと思います。

ただ、基本構想ができてから市民にパブリックコメントを求めるにあたっては、もう少し具体的に考えたほうがいいと思います。計画に踏み込むかもわかりませんが、例えば、古代史を勉強する人にはこう対応するとか、中世史または近世・近代史の人にはこうするなど、各分野に案内ができる中核施設であれば良いと思います。それと、博物館法に基づく施設ができれば、現状の課題がかなり解決されると思います。特に、埋蔵文化財を湿気の多い所で保管しているという、差し迫った課題があります。全部は移管できないかもしれませんが、破損の恐れがある大切な文化財は、こちらに移して古文書などと一緒に保管するべきでしょう。現状の差し迫った課題からの必要性や、具体的な説明を加えることで賛成していただけるのではないかと思います。また、完成したらこういうこともできるという見通しを、具体的に考えておかれるといいと思います。

(会長)

まず法に基づく博物館であって欲しいということですが、このあたりはどうでしょう。

(委員)

建てる時の補助は一切ありません。登録博物館、相当施設、類似施設の三種類のどれであっても関係は無いです。

(会長)

展示については、補助がありますか。

(委員)

私も14ページの博物館と補助金の関係について、不正確なところを指摘しようと思っていました。おそらく、博物館法と文化財保護法とが整理できていません。博物館法は、いわゆる社会教育法が上位法で、それに基づく部分があります。したがって、博物館法による建物への補助は一切ありません。展示についての補助もありません。文化財保護法上は、重要文化財に対して補助があります。

(会長)

他にございませんでしょうか。次に、先ほどスライドで見せていただいた5つの施設の関係について、何かございますか。

(委員)

今の発言の続きで、14ページ中段のところで「国や府の指定文化財を収蔵し、展示するためには、設備を整備した施設もしくは博物館相当施設でなければなりません。」と書いてありますが、そんなことはありません。博物館相当施設でなくても展示はできます。それよりも先ほどのパワーポイントの説明にもあったように、防火・防災・保存環境が不十分ということを強調していただきたい。今後つくる施設は、博物館法の設置及び運営上の望ましい基準の適用で、耐震・耐火構造の施設になると思います。よって、「防犯・防災を整備した施設でなければなりません。」という書き方ならいいと思います。明らかに不正確な書き方ですから、そのあたりの文言を整理してほしいと思います。

(会長)

他にどうですか。今回、国の登録有形文化財となった石田家住宅は、市内で何軒目の登録ですか。また、ほかに現在申請中のものはありませんか。あと、文化財の展示では、バンビオの2階に展示コーナーがありますよね。

(事務局)

石田家住宅は6軒目です。現在申請中の住宅はございません。バンビオには展示ケースを3つほど並べて、駅前周辺の神足遺跡について紹介をしております。

それ以外に、会社のご協力によって駅前東口の日本輸送機の本社ビルにも文化財を展示させていただいております。その他では、市内の小学校で展示しています。今里の自治会館にも、自治会館を建てる時に出土した遺物を展示させていただいております。展示替えができていないという課題もありますが、できるだけ人の目に触れる所で展示しております。

(会長)

収蔵しきれずに民間の倉庫に入れてあるものは、どれくらいありますか。

(事務局)

考古関係がほとんどでございます。3か所に分けて置いております。一つは埋蔵文化財センターです。あとは、市役所横の民間の倉庫を年間130万円ほど支払って借りて置いております。もう一つは、恵解山古墳にあったプレハブ倉庫で、現在はスポーツセンターに移転して建てております。これらには発掘で出てきた土器を1万箱置いております。

それ以外の資料として、民俗関係資料がございます。それらは市役所隣の民間から借りている倉庫以外に、子どもたちが活用できるような形で、長法寺小学校、長岡第三小学校、神足小学校の3校に置かせていただいています。ただ、倉庫代わりに置いた状態ですので、もっと活用ができるようにしたいと考えています。民俗資料等については、小学校3年生が暮らしの学習で勉強する機会がありますが、市内10校のうち7校ぐらいが、わざわざ向日市文化資料館まで観に行かれていると聞いております。もらった資料が眠ったままで、虫の発生等といった保管環境の課題もあり、あまりいい状態ではありません。

(会長)

子どもが少なかった時は、各教室に市民から出していただいた民具を展示して説明しました。しかし、だんだんクラスが増えて教室が足らなくなったために倉庫へ移管してあるから、なかなか有効活用できない状況です。貴重な資料がゴミのように扱われている状況ですから、非常に勿体ない話です。我々が向日市まで観に行かなければならないということも、何かおかしな話です。他にもご意見はございませんか。

(委員)

この間ガイドの会で今井用水を歩いた時に、今里の自治会館に初めて立ち寄り、住民の皆さんが展示を管理されていることを知りました。こういうのは、私たち市民になかなか情報が入ってきません。また、いろんな場所に資料が点在している現状を今回初めて知りました。

(委員)

この間、にそと(京都第二外環状道路)が開通しましたが、下海印寺のにそと工事館に、府調査の埋蔵文化財の一部が展示してありました。開通後はどうなるかご存知ないでしょうか。

(事務局)

開通後は、施設自体は下海印寺の自治会に移管されると聞いております。中には、京都府埋文センターが発掘調査しました出土遺物が一部入っておりました。3月31日をもちまして工事館は閉館になりましたが、中にあった土器類については、すでに持ち出しが終わっているのか、しばらくしてから引き上げるのか状況はわかりません。

それと工事館には、にそとの模型と立体的に見える映像がありました。これらもどこに持っていくのか、まだ決まっていないという話も聞きます。ふるさと資料館で貰ったらという話も冗談交じりでしています。

(委員)

分散して保存されている資料は、どこかで一ヶ所にまとめるか、まとめられなくてもどこに何があるかを掌握しておく施設が必要です。

ずいぶん昔の話ですが、宮内庁書陵部へ古文書を見に行ったときは、ものすごくナフタリンが入れられていて、10分もすると気持ち悪くなるぐらいでした。保存管理はこのようにやりすぎるということはありません。こちらにある貴重な資料も、放置しておいたらどんどん劣化していきます。何とかしないといけないという現状を市民の方に訴えたらよいかと思います。

(委員)

今のお話と関連して、第3部の「ふるさと資料館へのみちのり」で、今の時代に必要な、情報発信という機能も含めたほうがよいのではないかという印象を持ちました。

それから、基本構想のなかで公文書館機能のことが書かれていますが、第3部では全然出てきません。既存施設とは全く違う位置付けになるとは思いますが、何らかの形で触れていただくとよいのではないかと感じました。

(会長)

ありがとうございます。前回も情報発信についてはかなりご意見が出ていましたが、情報発信や公文書館について文章が抜けているというご指摘でした。

(事務局)

公文書の管理状況ですが、長岡京市では文書を、保存文書と廃棄文書という形で整理しております。廃棄文書のなかで永年文書につきましては、歴史的な文書かどうかを判断して、歴史的な文書があれば残しています。もう少し整理して言いますと、有期限文書で、1年・5年・10年、それから永年で分けております。永年文書のみ歴史的文書かどうかの判断をして残しており、5年・10年については保存できていないのが現状です。情報広報課と、文書を管理している総務課、そして生涯学習課の三者が相談をしながら、整理・保存の対応を図っています。

ただ、置いている場所は市役所横の倉庫で、非常に劣悪な状況にあります。段ボール200箱ほどあるのですが、雨などかからないよう、少しでも改善できないか検討しております。先ほど申しましたスポーツセンターの倉庫へ移すことも考えておりますが、適切な施設が無いので、現在よりも良い条件を探しては対応するという状況です。今後、ふるさと資料館の検討の中で、公文書の取り扱いも抜本的に改善できればと考えております。

(会長)

それと合わせて、市内にもたくさん文化財が分散しております。山城郷土資料館や他の施設に預けている文化財は何点ぐらいあるのですか。

(事務局)

山城郷土資料館のみで、平地に置いたとして、20畳ぐらいの面積です。二つありまして、一つは古文書の関係で50箱ぐらいです。もう一つは考古遺物で、ミカン箱よりも少し大きな箱ですが、20箱ぐらいあります。具体的には、府の指定文化財となっている鉄剣などの恵解山古墳の遺物と、市の指定文化財になっている絵図類や未指定の古文書類です。府の指定文化財になっている調子家文書もあります。大事な資料は山城郷土資料館にお願いするという形になっておりますが、資料館も倉庫代わりに使われてはかなわないので、資料館ができたら引き上げるという念書も渡しております。

(会長)

こういう状況でございます。他に何かございませんでしょうか。

(委員)

現在、恵解山古墳が整備されていて、もうすぐ完成します。その時点で、預けてある鉄剣などをこちらで記念展示するようなことは考えていませんか。

(事務局)

オープニングに合わせてどういう催しをするのか、今年度に計画していく段階で、まだ具体的には考えておりません。

(委員)

では、その方向性もあるわけですね。

(事務局)

そうです。構想段階ですが、これから具体案の作成を進めていくところです。恵解山古墳から出たものは山城郷土資料館に預けてありますが、いつまでも置いておくことができないという状況もあります。

(会長)

他にどうですか。

(委員)

第3部13ページの「さらに生涯学習施設として多様なニーズをふまえた」というところは、大変いいことだと思います。先ほども意見が出ましたように、今までにも市民目線で文化財の保護についていろいろな活動をしており、これからはここを拠点としてさらに大きな活動ができるという言葉をここの説明に入れたらどうでしょうか。

それこそ、今の鉄剣の話もそうですが、実物を見てイメージしないとわかりません。文化財をしっかり見て、理解を深めて、新しい発見につながっていく、そういう場として今後運営していく上で、重要なキーワードになると思います。

(会長)

ありがとうございます。当委員会としては、博物館法に基づく施設をつくる必要がある、という意見です。それをまとめたうえで提起して、市民の方がなるほどと仰っていただけるような、文章・文案を作成していく必要があると思います。

まだ少し時間がございますので、ご意見はございませんか。

(委員)

府の話をして恐縮ですが、昨日突然、副知事が来られました。また、議員の方々の視察も増えており、予算をかけているわりには人が入っていないと指摘されます。ですが、副知事も議員の方も来館すると喜ばれます。勉強になりましたとか、良かったですと感想を述べて帰られます。ただ、議会での発言になると、予算を減らせという発言になります。そういうこともあるので、市の幹部や議員の方々を何とか味方に引き込んでいただきたいと思います。来ていただくと喜んで帰られますので、本当は歴史が好きなのだと思います。

そのほか、先ほどもお話があった通り、コンセプトは何かとよく聞かれます。丹後郷土資料館であれば「海と丹後」と答えられますが、山城郷土資料館は答えにくくて「お茶」「木津川」などと答えています。そういった意味で、長岡京市ふるさと資料館のコンセプトは、例えば、都の長岡京のことは何でもわかるといった、目玉を入れていただけたらと思います。あれもこれもではなくて、資料館の軸足がどこにあるのかということを強調していただくと、市民も味方になっていただける気がします。

(会長)

なるほど、何かヒントはございませんか。

(委員)

あれもこれもになりますと、例えば先ほどの東部地区の文化財もバランスよく出さなくてはいけないといった、少し行政的な発想になってしまいます。やはり都の長岡京をメインにしてどうするかということですが、私があまり言うといけないのかも知れません。

(事務局)

そのあたりのヒントを皆様からいただきたいと思っております。今のコンセプトとしては、長岡京・ガラシャ・勝龍寺城、それ以外では天満宮や光明寺、乙訓寺などがあります。ただ、一つに絞るとなるとなかなか難しい部分もございます。どれかを選び出す方式もありますが、もう少し違う視点から切り口を見出したいと思います。是非ヒントをいただければと思います。

(委員)

ガラシャだけでなく、革嶋氏・調子氏・鶏冠井氏などの国人領主や土豪がいて、室町時代には室町幕府の御家人になっています。それが、戦国時代を迎えてどのように変わっていくのか、京都近郊の地域の様子が非常によくわかる珍しい所だと思います。ガラシャだけというよりも、もう少し幅広く、長岡京と平安京との関係などと一緒に捉えた方がよいかと思いました。

(会長)

一つのヒントをいただきました。

(委員)

市民との関係が出ていますが、やはり読んでいると、市民のための博物館・資料館をつくろうという意識が感じられます。それは、山城郷土資料館で約20年前に議論していたことです。今はやはり、市民が主人公の資料館という意識を打ち出していくことが必要です。体験型の企画も含め、市民と一緒につくるということを強く打ち出していかないと、21世紀型ではないという気がします。

(会長)

開かれた博物館であって欲しいということですか。

(委員)

開かれたというのもひとつ前の議論で、今はボランティア活動をされたり、生涯学習に来られたりすることが主流です。

(会長)

市民に支えられるということですか。

(委員)

そうです。

(委員)

私の体験なのですが、岡山県新見市にある中世の庄園を勉強していたので、市民にもわかる新見庄の本を書くよう依頼されました。しかも庄園の大きな歴史のなかで新見庄を位置付けるという、大変難しい学説史を書かなければならないような課題でした。3年掛かって、大学院を出た人と一緒にこれを書きました。こちらにも立派な『長岡京市史』がありますが、もう少し手軽に市民の方に読んでもらえるような小冊子を、もう一度つくられたらよいかと思います。

本が出る前に、新見市では小学校の先生が合同で集まりました。そこには歴史好きの方が多く、小学生でも読めるように全ての漢字に仮名を振るなど、レベルは高いけれども平易な『ふるさと新見庄』というパンフレットをつくられました。博物館をつくれば、今言ったような事業など、いろんな展開をしていく基礎ができるという趣旨を入れていただくと、市民の賛同を得やすいし、参加したいという意欲も湧いてくると思います。

小学校の先生がパンフレットをつくられた時、最初にそれを活用したのは観光協会です。観光協会には、スーパーの店長さんや自動車屋さん、出版社の方など、いろんな人が参加しています。また、村落の宮座を再現するなど、市民の方が活発に活動されているところでした。私たちもこうした機運に乗って書くことができました。新見市の例のように、市民の活動を大事に汲み取りながら、生涯学習ができる施設と位置付けて取り組んでもらえたらと思います。

(会長)

なるほど、有機的に繋がりながら活動できればいいということです。

(委員)

確か2、3年前、恵解山古墳の遺物が、大阪府立近つ飛鳥博物館の展覧会に出展されたことがあったと思います。長岡京市内に関係する埋蔵文化財は、長岡京市内でぜひ見たいという気持ちはあります。

それとはまた違いますが、京都市内で出土した長岡京の祭祀遺物だと言われている大量の墨書人面土器があります。土器に顔が描いてあるものですが、京都市埋蔵文化財研究所が調査して、昨年くらいに京都市の指定文化財に指定され、京都市考古資料館で展示されています。この間のニュースで、京都市考古資料館の昨年の入館者数が2割から3割アップしたということです。

この長岡京の東南の角で出たお祓いの遺物に対応するように、西南の角でも長岡京祭祀関係の大量の遺物が出ています。しかし、長岡京関連の遺物が、京都市では結構な人気を博しているのに対して、長岡京市埋文センターで常設展示されていることはあまり知られていません。この現状がとても惜しいです。大阪府の場合もそうですけれども、情報発信を工夫して、長岡京市内でも観たいという気持ちを掻き立てるような効果は期待できませんか。

(事務局)

情報発信については、現在埋文センターでやっていただいております。

(埋蔵文化財センター局長)

京都市が調査した水垂遺跡の資料はたくさんあります。しかし、それらが京都市の指定文化財になった時点で、長岡京市埋文センターで借りて展示することはできません。他の自治体が発掘調査した文化財を展示する施設がうちにはありません。奥海印寺の埋蔵文化財調査センターで展示しているのは、全て長岡京市埋文センターが調査したものです。

水垂遺跡の近くで出た同じ墨書人面土器で、甕が3個、三角形に伏せて置かれていたものがあります。一つは顔が1面、一つは顔が2面、一つは顔が3面描かれており、おそらく長岡京の造営・設置作業に伴って埋め置いたものと思われます。これらの遺物を、今月初めから展示に出しております。

長岡京市埋文センターでは、年1回の企画展示をしています。それとは別に、今年から春と冬に、整理が終了して報告書を出したものからピックアップして展示に出しております。長岡京市埋文センターのホームページでPRしていますが、秋の企画展示まではそれを出しておく予定です。とにかく、どんどん展示に出していこうと取り組んでいるところです。

(事務局)

ちょっと補足させていただきます。この3年間ほど埋文センターでも特別展示をされていて、「文字の世界」というテーマで木簡や墨書土器を展示しております。その前は埴輪を展示して、恵解山古墳からの出土物や、形象埴輪・家形埴輪などを展示しています。それと、去年は古墳から出た首飾りの珠などを展示させていただきました。新聞に大きく出て、一昨年くらいから来館者数が大幅に増えてきている状況です。

埋文センターでは、ここ3年間ほど、お宝を市民に観ていただく取り組みを続けておられます。今年は「動物」をテーマにした展示会をされると聞いております。秋の展示をご期待いただきたいと思います。

(埋蔵文化財センター局長)

ちょっと付け加えておきます。どんどん展示に出そうと取り組みをしておりますが、長い間しまってあるのを引っ張り出しますとカビが生えていたりします。日干しや、カビを落とす作業を経た上で展示している現状も知っておいていただきたいと思います。

(委員)

基本構想にそういう具体的な現状を書いてはいけないのでしょうか。せっかくのお宝にカビが生えている状況を書くことで、むしろ私のような素人の一般市民にアピールできると思います。カビが生えているといった具体的に現場での差し迫った保存の課題を書いてあれば、人に訴える文章として効果があると思います。埋蔵文化財だけではなく、紙の文書も保存環境として最適でなく、虫干しなどもできていない状態かもしれないし、そういったことを具体的に訴えたらわかりやすいと思います。

あとテーマや焦点の問題ですが、例えば全国的にキャッチーなものと、農村の暮らしなど地元に密着したものでは、テーマによって需要層が違います。しかし、全部を展示する施設がないということなので、そのあたりの関係をどう整理し、資料館のどのスペースで何を展示するのかということが課題になります。

資料館で展示できない資料については、地域の人たちにわかるようにすればよいと思います。資料館は、分散した情報を集約する場所として、情報は電子媒体で発信して活用してもらうというイメージです。やはり、歴史情報も需要層に合わせて段階的に提供することも考えたほうがいいと思います。

長岡京と勝龍寺城というのは、全国的にキャッチーです。それこそ、お客を呼ぶのであればガラシャさんで、ロマンだけのミーハー層が来てくれたらお金を落としてくれます。しかし、それだけでは情けない。それこそ資料館に行けば中世史全体が勉強できるといったコンセプトを出すのも一つの考えです。需要層によって段階は違うと思うので、どれが良い悪いではなく、どこに行けば、どういう人の為に、どういう情報が手に入るという、段階を分けた構想が良いと思います。

(会長)

常設部分とあわせて、リピーターを増やすための特別な企画やテーマのもとに展示していく形になると思います。できるだけたくさんの人に来ていただき、交流していただく場になればと思います。

他にご意見はございますか。無いようでしたら、この第3部「ふるさと資料館へのみちのり」までを含めた全体について、本日のご意見を参考として事務局に文言の加筆・修正をしていただきます。そして、6月上旬くらいまでに修正した文案を各委員宛てに送っていただき、それに対して委員の皆様方からメール等でご意見を賜ってから改めてまとめてもらいきます。それをパブリックコメントに諮るのが7月くらいになるかと思います。それでは次回の日程について、事務局からご提案をお願いします。

<次回の日程調整>

(会長)

それでは第3回目を終わりにさせていただきたいと思います。2時間にわたりご苦労さまでした。ありがとうございました。

<閉会>