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令和2年度第1回総合教育会議会議録

  • ID:10728

日時

令和2年10月21日(水曜日)午後4時5分から午後5時35分

場所

長岡京市役所 第一委員会室

出席者

中小路市長、山本教育長、福澤教育委員、

京樂教育委員、大下教育委員、盛永教育委員

事務局

〔教育部〕

教育部長、文化・スポ-ツ振興室長、同室担当主幹

教育部参事兼教育総務課長、教育部次長兼学校教育課長、総括指導主事、学校教育課主幹

生涯学習課長、中央公民館長、図書館長、教育支援センター所長

教育総務課課長補佐、同課総括主査

 

〔総合政策部〕

総合政策部長、総合計画推進課長

傍聴者

なし

議事

市長あいさつ

(市長)

 今年は大変な1年となってしまった。2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、学校現場を含め教育委員会の皆さんは難しい判断や対応を迫られ苦労されたと思うが、適切に進めていただいたことにあらためて感謝する。現在も収束したわけではなく、市内でも散発的に感染事例がある。学校内でクラスターを起こさないよう、今しばらく細心の注意を払っていかねばならない。教育委員会と市長部局が力を合わせてこの難局を乗り切っていきたい。

 市政運営の基本となる長岡京市第4次総合計画は、令和3年度から第2期基本計画に入っていく。教育分野における総合計画といえる教育振興基本計画についても同じく今年度中に第2期計画をまとめていくので、まずその議論をしていきたい。

また、学校ICT環境に関する取り組みについては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、当初思い描いていたより前倒しすることとなったため、ハード面に中身が追い付いていない状況がある。今後どう進めていくか、有意義な議論をしていきたい。

コロナ禍は、いろんな意味で影響を及ぼしてくるが、特に教育という分野において我々が目指すものは揺るがない。方法論は変えていかねばならないが、目指すべき姿を中心に議論していきたい。

 

教育長あいさつ

(教育長)

新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会全体が大きく影響を受けた。全国すべての小中高校へ臨時休校が要請されるという大変な状況であった。本市においても3月初めから6月初めまで、小中学校の臨時休校措置を行った。これまで経験したことのない事態の中、本市教育委員会としても児童生徒の健康を第一に考えながら不安の解消や学習面での支援を行ってきた。また、放課後児童クラブにおいても働く保護者の支援として休校期間も対応も行ってきた。

国ではGIGAスクール構想により児童生徒への一人一台のタブレット端末の実現を掲げているが、本市では市長の決断もあり、当初の予定よりも早く、本年度末には整備が完了する見込みとなった。

また、教育委員会では、長岡京市第4次総合計画・第2期基本計画と同じタイミングで第2期教育振興基本計画を策定することとしており、現在、審議会等で策定作業を進めている。

本日は、第2期教育振興基本計画をベースとして、昨年度の議論をさらに深めて、教育大綱の策定について、本市の教育の今後の方向性を協議したい。また、昨年度も議題となった学校ICT教育について、一人一台のタブレットを活用した学校教育のあるべき姿を共有できればと考えている。

教育大綱について

(市長)

現在策定作業が進んでいる長岡京市第2期教育振興基本計画について、情報共有と方向性の確認を行いたい。

議題1「教育大綱について」事務局からの説明を求める。

 

(事務局)

資料に基づき説明。

 

(市長)

今の説明の通り、「第3章 長岡京市の教育が目指す姿」が新教育大綱の根幹になると思う。今日は総論的なところで、計画案で示されているものに対する意見や感想を聞かせてほしい。

 

(委員)

非常によくできており、理想を描くことはできていると思う。前回も言ったが、子どもたちの能力や可能性を最大限に伸ばすため、個々に応じた指導を行うには教職員の資質の向上が重要である。そのためには、すでに見直しが始まっているが、教員の働き方改革が非常に大事である。教員がいい意味でのゆとりをもたないと、子どもたちと向き合う時間をとることができないので、ぜひとも進めていってほしい。管理職がリーダーシップを発揮していくことも、若い人材を育てるためにも必要だと思う。

目指す人間像はこれでよいが、子どもたちの個性というものも非常に重要だと思う。いろんな子どもがいていいし、やんちゃな子も含め、個性を尊重していってほしい。また、平和を愛する気持ちを育むことも重要であると考えている。

本計画は10年の長期計画である。変化の激しい時代に10年先を見越すことには難しさもある。中間見直しを予定されているが、ぜひとも変化に応じた見直しをしてほしい。

 

(委員)

基本理念等よくできているが、「長岡京らしさ」がもう少し出るとよいと思う。「しなやか」がキーワードとなっており、これは竹のイメージにも重なると思う。「うるおい資源」というのは面白い言葉だと感じた。長岡京の歴史を十分に活用してほしい。いま、大河ドラマで本市も注目されているが、戦国だけではなく市の名前である「長岡京」時代の歴史も重要である。政治の中心部分は向日市にあるが、本市にもいろんな遺構があるので、活用し、子どもも学べる環境を作ってもらえればと思う。興味を持つ分野に集中しがちだが、長岡京や近現代にも学ぶべき歴史があるので目を向けてほしい。

SDGsについて。大学においても重要視して活用している。計画では17のゴールのうち、「4 質の高い教育をみんなに」を取り上げている。他のゴールを軽視しているとは思わないが、ジェンダー平等にも注目してほしいと思う。教育の現場でハラスメントがあってはならないし、ましてや性暴力があってはならない。それらが低年齢化していることも危惧されている。被害者にも加害者にもすることのないよう、子どもも大人も学び合えるようになればと思う。

 

(委員)

総合的に内容が盛り込まれており、教育大綱として良いと思う。

評価すべきところとして、高知工科大学西條教授の「フューチャー・デザイン」を紹介したい。持続可能な自然と社会を残すため、将来的なインフラ計画や教育をどのように考えるか、ということをとりあげたものである。

人間は本質的に、将来のことを考えにくいのだという。人間には4つの特性がある。まず「相対性」、我々の五感は絶対量ではなく、その変化に反応する。何かが起こってから行動する。次に「近視性」、例えば目の前の美味しいものを我慢できないということ。そして「楽観性」、今の快楽を追い求め、将来を楽観的に考えるように我々は進化してきた。この3つから、人間は本質的に将来のことを考えにくい性質があり、民主主義においても経済社会においても、現代社会において将来をおのずと考える仕組みは組み込まれていない。その突破口となるのが、互いに協力する「社会性」である。

その意味では、今回の計画には、「互いの違いを認め合い助け合える人」、「まちが人を育み、人がまちをつくる」、といった社会性を高めていく方針が組み込まれていることが、将来を考えていく上で重要な内容だと評価したい。

指摘しておきたいのは、基本理念と目指す人間像のイメージ図に違和感があったことと、基本理念・目指す人間像・基本目標・施策推進のための横断的な視点と、新たな教育の循環との関係性が分かりにくかったところ。施策の基礎となる視点は、目標を達成するために必要なものというイメージだと思うので、そうした説明を入れてもらえればわかりやすくなると思う。

 

(委員)

理念・人間像・目標・視点・基本施策の一貫性が素晴らしいと思う。今回は母数の大きいアンケートをとり、パブリックコメントも実施するということで、帰納と演繹をセットにし、データを検証しながら計画・大綱を作ることは時間もかかるし大変だが、意味のあることだと思う。

説明の中に「リモートによる地域づくり」という発言があったが、今大学の授業にゲスト講師を招いている。東京から実際に来てもらうなら交通費等で数万円必要となるので何度もできることではないが、リモートなら毎回著名な人に登場してもらうことができ、学生も喜んでいる。今は、全国に散らばっている本市ゆかりの人たちが、実際に来てもらうことができなくてもリモートで関わってもらうことができる。人的資源を活用すれば本市の地域づくりは発展すると思う。

今回、新たな教育の循環に「子どもから大人へ」が追加されている。教育学の視点は、この5から10年で学習者中心主義の流れとなっている。子どもたちの力はすごいとあらためて認識されている。世界的にもノーベル平和賞を若い人たちが受賞したりするなど、子どもたちの発信が力を持つ流れが広がっている。これまでにも、小学生や中学生が本当にいいアイデアを持っていて市政に反映できればと思ってきた。子どもから大人への視点を強めてほしい。

国の動向として、文科省は2030年に向けた議論を行っており、中央教育審議会(初等中等教育分科会)10月7日に「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現 ~」という中間まとめを公表している。これは、2030年に向けての日本の「学校教育の羅針盤となる内容」で、キーワードは「個別最適な学びと協働的な学びの実現」などである。本市の計画は現時点で随分重なっているが、今後の10年に向け、基本施策を補強する際の参考になると思う。

 

(教育長)

この計画では、「まちが人を育み、人がまちをつくる」というテーマや、新しい教育の循環等についてまとめている。

「令和の日本型教育をめざして」では、「正解主義」や「同調圧力」への偏りから脱却し、本来の日本型学校教育の持つ思考を深める「発問」を重視してきたこと、子どもたち一人ひとりの多様性と向き合いながら一つの集団としての学びに高めるという強みを生かしていくことが重要であると指摘し、一人一人の多様性を強調している。自発性や主体性、多様性の尊重は大事だが、個を重要視し過ぎることで、大人も子どもも謙虚に学ぶ、素直に物事を受容する、ということを忘れがちなのではないだろうか。我慢をするということも必要なことの一つである。俗的な表現だが、わがままを通すことで未熟で傲慢な自己中心的な人間に育つことを危惧している。コロナ禍の中、個に閉じこもりICTによって自分の世界に入りこむことが進んでしまう。一方、従来の日本型教育では集団に馴染み個が溶け込んでいく。個人を大事にする一方で全体に溶け込む、という相反するものが含まれているように思う。

個を大事にすることも大事だが、人間はひとりで生きているのではない。我慢をしながらも個性をどう社会に生かしていくのか。学んだ子どもたちが大人になり、人とのつながりを大事にしてその知識を地域に還していく。住んでほしい街をつくるだけでなく、自分の培ったものを地域に還元していくことがこの計画の中に隠されている。学校教育の中で、機械一辺倒になったり、行き過ぎた自主性を重んじたりすると、進むべきでない方向にいくのではと危惧している。子どもと大人の関係、まち全体の学びの循環、時間軸の関連をよく考えていかねばならない。コロナとICTで世の中は大きく変わる。この計画は、その点をうまくまとめられていると思う。

 

(市長)

計画は中間段階にあり、今回の意見を踏まえて考えていきたいが、全体として、よくできた考え方だと思う。「しなやかさ」というキーワードは、あまり行政計画には出てこないという意味で挑戦的な言葉だが、個人的には長岡京らしさという概念を合わせるとすんなり理解できるのではないかと思っている。今回、「子どもから大人へ」が追加されている。教育は大人から子どもへというイメージがあったが決してそれだけではない。この考え方は新しいところだと思う。

この理念と、具体的な施策の推進はセットでなければいけない。まさに、教員の資質や働き方改革、歴史資源の活用などについては、今後総合計画を推進する中心的事業と関連すると思う。今年度の後半で作りこんでいくが、私の仕事は理念に負けない取り組みをいかに推進するかだと思っている。それらと合わせて、再度大綱について確認していければと思う。

ICTを活用した学校教育の推進について

(市長)

議題2「ICTを活用した学校教育の推進について」事務局からの説明を求める。

 

(事務局)

資料に基づき説明。

 

(市長)

昨年の総合教育会議でも意見交換し、次の本市の特徴として取り組むべく進める予定をしていた。本来は3から5年かけてコンテンツや授業の在り方を議論しながら徐々に積み上げていくつもりだったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、オンラインを使った手法への期待感も高まった。国からも導入を進めるようにということで、当初想定より急速にハード整備が進むこととなった。今後緊急事態の状況となった場合、前回のような一斉休校措置とはならないかもしれないが、部分的な休校は想定が必要である。緊急対策としてここまで投資する以上、4月、5月と同じことしかできない、というわけにはいかない。今用意したものの中でこれだけのことができる、ということは、コロナ禍がいつまで続くのかはわからないが、常に委員のみなさんとも共有していきたい。

ICT活用には緊急時の要素と本来の要素があると思うが、ここではハード整備が進んできた中で、本来目指すべき姿を議論していきたい。

 

(委員)

年度末には整備の見通しがついたということで、市長の英断に感謝する。今後大規模な休校があるときに、前回と同じことはできない、ということに共感する。3から5月と同じ対応となれば、保護者の不信感は増幅すると思う。

教員の中にはICTに抵抗感がある人もいるが、きわめて誤った認識だと思う。タブレットは道具に過ぎない、という人もあるが、日本の子どもたちにとってデジタル機器はいまだ学習の道具にすらなっていない。ICTの活用や、対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化による指導の充実、また学校連絡デジタル化は喫緊の課題である。一般市民の目線として、前と同じ対応では納得できない、ということもあるが、インフルエンザの流行時にも活用できるし、不登校児童生徒のフォローや特別支援教育にも活用していくことができる。

中教審の論議で、高校生の多くが休校中に学びを止めてしまったということがあった。つながりと自律的な学びの欠如、格差問題等が指摘されたが、厳しい状況でもオンラインでつなげていくことは必要であると思う。教訓的だったのは、前回は、90%の家庭がICTを活用できても、10%ができない場合にはオンラインをあきらめた。しかし、埼玉県戸田市や熊本市のように先進的な自治体の多くは、できない人がいるからやらないのではなく、少数派のフォロー方法を別途考えるという方法をとった。

本市でも感染防止策と学校教育活動を組み合わせて進めてほしいと強く願っている。

 

(委員)

以前埼玉県戸田市を視察した際、プリンタの購入にあたり、そのメーカーからアプリケーションの活用を含めたサポートがあったという。そのように企業のサポートも重要ではないかと思う。また、ICTサポーターのような人材整備も進めていくことが大事だと思う。大きな投資をしたので、いかに効率よく進めるかに力点を置いて進めてほしい。

 

(委員)

オンライン授業の活用について説明があったが、ぜひ練習をしてほしい。大学でも休校によるオンライン授業があったが、練習ができなかった学生は授業についてこられないケースがあった。導入したからには、休校になった場合どう使うのかを想定しながら進めてほしい。また、家庭環境によって、オンライン授業についていけるかに差が出ることがあるので、サポーター人材も含め、重点的にサポートすべきところを想定してほしい。

 

(委員)

大学も休校になり、オンライン授業を行った。大学ではすでにある程度通信環境が整備されていたのが小中学校と違うところである。今でも、オンラインで緊急に家庭学習となったら、大変だろうと思う。例えば小学1年生が自分でネット環境にアクセスするのは無理なことで、保護者のサポートが不可欠である。また、ネット環境がない人をどうフォローするか。三密を避けながら、教室を開放するようなことも必要ではないだろうか。

今はオンライン授業にスポットが当たっているが、全てをICT活用するのではなく、ICTによって例えば通常授業では体験できないことができるなど、うまく利用することで学習の幅が広がる、という認識がよいのではないか。効率面は教員に対して大きいと思う。アンケートを簡便に実施したり、試験の採点が短時間で行えたりするなど、教員の労力を下げて働き方改革につながる。

一つ気になるのは、10年後に端末が劣化して使えなくなったら何もできない、という事態に陥らないかどうかである。教育分野では、タブレット端末がなくてもしっかり教育できる状態にすることは必要である。

 

(市長)

緊急時の対応でいうと、決して全てのオンライン授業をやれるように、ということではない。環境が整備され、前よりもできることがある、という努力が見えるかどうかが児童生徒や家庭との信頼感の前提になるのではないかと思う。できることをする、が大切である。できない環境の人がいるからやらない、ではなく、どういう支え方ができるかが大事。現場が大変なことは承知しているが、その姿勢で臨まねばコロナ禍において理解を得ることは難しい。計画の新たな教育の循環の中に「子どもから大人へ」という学びがあるが、ICTの活用はまさにその最たるものであろうと思う。

 

(教育長)

ICTを現場で教員がどのように使うか。一斉休校時には、ICT環境が整っておらず一部の学校ではオンライン授業ができても市全体ではできないのでやらない、という消極的な判断をする事例が多かった。拙速も怖いが、今の時代にはスピード感は一定必要であろう。まず実施し、できない部分をどう支援するかを考えていく必要がある。公教育ではボトムアップで遅れる子を支えていくことが重要であるが、プルトップで先頭を走っている子を引っ張っていくことも全体の底上げにつながる。環境整備と教員の資質向上をハイブリッドで進めること、また、ICTだけではなく、停電等でICTが使えないときにはノートと鉛筆でも学習できるようにすることが必要である。筋道を立てて進めていきたい。

 

(市長)

ICTの導入はすでに決まっている。向こう5年間の到達点、ロードマップ、活用計画を策定し、示していく責務がある。公務でも押印を見直す動きがあり、社会の流れからしても、いろんな場面で活用することができる。学校の先生方が主体になり、どのように使っていくか議論していく必要がある。周りにも示していくことができるよう、協力してほしい。

 

(事務局)

以上で閉会する。

 

お問い合わせ

長岡京市 教育部 教育総務課 総務・施設整備担当
電話: 075-955-9532 ファクス: 075-951-8400
長岡京市 総合政策部 総合計画推進課 企画総務・行革担当
電話: 075-955-9502 ファクス: 075-951-5410