令和3年度 第1回長岡京市文化財保護審議会会議録
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日時と場所
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日時
令和3年10月8日(金曜日)
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場所
図書館3階大会議室
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出席者
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委員
井上委員、仁木委員、中尾委員、礪波委員、湯川委員、井上委員
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事務局
西村教育長、荻久保課長、篠原課長補佐、福家主査、橋本主査、鈴木主事
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オブザーバー
中島埋蔵文化財センター事務局長、(株)スペースビジョン宮前氏
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案件
1.令和2年度文化財保護事業の報告および令和3年度文化財保護事業の計画について
2.長岡京市文化財保存活用地域計画について
3.その他
・市指定「(勝龍寺)木造 聖観音立像」の府指定について
・市指定「(乙訓寺)木造 十一面観音立像」の修理について
・旧今尾景年別邸の国登録有形文化財への申請に向けて
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開会
・教育長あいさつ
・会長選出
・会議成立状況の確認
・委員9名のうち6名出席
・傍聴者の確認
傍聴者なし
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議事
(会長)
それでは、議事に入ります。案件1は、令和2年度文化財保護事業の報告および令和3年度文化財保護事業の計画について。事務局から説明をお願いします。
(事務局)
【案件1 令和2年度文化財保護事業の報告および令和3年度文化財保護事業の計画について説明】
(会長)
案件1について、ご意見、質問はありますか。
(委員)
文化財保存活用地域計画についてお聞きしたい。文化財保護審議会での議論の枠組と何が違うのか。また、地域計画作成に長岡京市が着手するに至った経緯をお聞きしたい。
(事務局)
平成30年に文化財保護法が改正され、各市町村が文化財の保存活用について取り組むため、地域計画を作成し、文化庁から認定を受けるという仕組みができた。長岡京市はこれまでも歴史文化を活かしたまちづくりを進めてきたが、多様な主体が参画しながら、歴史文化を活かしたまちづくりを、さらに進めていくため、計画づくりに着手した。計画作成過程では当文化財保護審議会委員のご意見をお聴きするが、その前提となる地域計画の素案づくりは、審議会とは別の組織をたちあげ、議論を進めていくこととした。
(委員)
審議会との関係は後の案件でお聞きする。
もう1点、ふるさと資料館の最新の状況をお聞きしたい。
(事務局)
ふるさと資料館は、新庁舎に展示室、収蔵庫を整備することで実現していきたいと考えている。具体的な内容については整備計画等を作成し、審議会からの意見もいただく予定である。
(委員)
これまでのふるさと資料館に関する報告と変わっていないと考えてよいのか。展示などは今後、検討するということか。
(事務局)
そのとおりである。2階に100平方メートル程度の展示室、7階に100平方メートル程度の収蔵庫を現在確保しており、それは変わっていない。
(会長)
質問がなければ、案件1については、ご了承いただいたということでよいか。
(各委員)
【異議なし】
(会長)
それでは案件2、「長岡京市文化財保存活用地域計画作成について」、事務局は説明をお願いします。
(事務局)
【長岡京市文化財保存活用地域計画作成についての説明】
(会長)
案件2について、ご意見、質問はありますか。
(委員)
資料3に示されている章立てで、来年8月頃までに計画をまとめるということか。
(事務局)
そのとおりである。
(委員)
地域計画作成にあたって、文化財保護審議会はどのように意見を述べ、その意見が計画にどのように反映させることになっているのか。
(事務局)
地域計画は文化財保護法で位置付けられるもので、どのような記載事項が必要か、どのような体制で検討するかなどが文化庁の指針に示されている。資料にあるように、「地域計画作成の際には文化財保護審議会の意見を聴かなければならない」となっており、文化財保護審議会の意見を聴きながら、作成を進めていく。素案については推進会議の場で検討したいと考えている。
(委員)
念のために確認した。将来的にも長岡京市の文化財の保存活用を担っていくのは文化財保護審議会であるので、推進会議での議論の内容など情報提供頂きたい。
(会長)
推進会議での議論も踏まえて、文化財保護審議会でも議論すれば良いのではないかと思う。文化庁は活用に前のめりになっている印象を受けるが、文化財の保存が第一であることには変わりない。
(委員)
市で作成した地域計画が、文化庁から認定される場合と認定されない場合では何が違うのか。
(事務局)
地域計画は文化財担当課以外の他部署とも一緒に地域の文化財を守ろう、活用しよう、議論をしていこうとする計画である。認定を受け、いわばお墨付きを国から頂くことで、文化財保護に関する取り組みへの支援も要求していくことができるといったメリットがある。
(委員)
この計画を作成しないという選択肢はあるのか。
(事務局)
作成しない選択肢もあるが、本市として積極的に取り組むものである。
(会長)
行政として調整は必要だが、個人的には作成する方が良いと考える。
(委員)
文化財保存活用地域計画は、いつから制度ができたのか。
(事務局)
文化財保存活用地域計画は、平成30年の文化財保護法の改正で位置づけられた。この前段階では歴史文化基本構想という形で取り組まれていた。しかし、構想だけでは具体的な行動が伴わないため、法的にもこの計画を位置付けるために、平成30年に地域計画という仕組みができた。
(委員)
作成に取り組む組織としては、推進会議が位置付けられているのか。この文化財保護審議会は推進会議が検討してきた計画の方針などに意見を述べるということでよいのか。
(事務局)
そのとおりである。
(委員)
私も推進会議のメンバーであるが、第1回会議は所用で欠席した。審議会と推進会議の連携は大事であり、慎重に進める必要があると考えている。市民に、未指定も含めて多くの文化財があるということを知ってもらうことは大事なことであるし、今までにない取り組みなので、進めていく方が良いと思う。一方で、推進会議の議事録を読ませて頂いたが、文化財所有者の方が、防災、防犯上の懸念を示されており、審議会としても重要なこととして、考えていかなければならない。最近は、3Dスキャナーでレプリカを作成して、本物は博物館に収蔵するなどの防犯対策をとるところも出てきている。こういったことも含め、審議会の役割として、文化財を大事にするという気運を盛り上げ、なおかつ後世に伝えていくため、防災・防犯についても考えていく必要がある。
(会長)
非常に重要な指摘で、計画の基本になると思う。文化財がどこにあるかを把握することは重要である。しかし、以前に仏像の所在地を公表したために、盗難事件が頻発したこともあった。こうした前例を踏まえ、しっかり対策しなければならない。
(委員)
今の話でいうと、資料のなかに文化財の所在情報が入っているのが気になる。情報をこのように公開すると防犯上の危険度が高くなるのではないのか。
(事務局)
この資料に示した所在地はすべて指定文化財で、すでに知られているものである。また、指定文化財であっても位置を特定しないものもある。個別に所有者に確認し、公開しないものは所在地を明らかにしていない。
(会長)
十分に注意してほしい。
(委員)
資料の歴史文化の特徴であるが、違和感がある。9つの各テーマは時代を超えているとは思うが、歴史は古代から始まるのが普通ではないか。時代順が意識されていないが、何か理由があるのか。
(事務局)
まだ素案であるが、大きく自然的特徴、社会的特徴、文化的特徴の順で、それぞれの歴史文化の特徴をとらえている。長岡京市の歴史は重層的である。今後、時代の縦軸、歴史文化の特徴を横軸に、さらに検討したいと思う。
(会長)
時代順と共に、地域的にも偏りなくすることも重要であると思う。
(委員)
地域計画作成を進めていることについて、市民には情報発信しているのか。また、地域計画作成にあたって、行政と文化財所有者はどのように連携しているのか。所有者同士が連携を取り合う場はあるのか。推進会議は「保存活用」となっているが、今後、文化財保護審議会も文化財保存活用審議会に変わるのか。
(事務局)
地域計画の検討の進捗に応じて、情報発信したいと考えている。今後、市民・所有者の意見も反映していきたい。審議会の名称に関しては、保護ということばのなかには保存と活用の概念も含まれていると考えているため、審議会の名称を変更する考えはない。
(会長)
市民への広報はどうするのか。
(事務局)
タイトなスケジュールのなかで計画を作成しているので、今年度は素案づくりにしっかりと取り組みたいと考えている。そのため、計画作成後に、シンポジウムの開催など広報活動を展開していく予定である。
(会長)
パブリックコメントでも市民の意見を聴く機会はある。
(委員)
本日の資料にある「Moshi-Mosu(もしもす)」は市民への広報活動として作成されたのか。なぜ、英語を多用しているのか。「Moshi-Mosu」というのは市民が親しみを感じる名称となっているのか。どのような意図で作成しているのか。
(事務局)
色々な年齢層の市民に、わかりやすい発信をしたいと考えて情報紙を作成している。これまで文化財にあまり関心がなかった方にも、まず手に取ってもらいたいというコンセプトでデザインしている。多様なご意見を反映させながら、わかりやすい発信に努めたい。
(会長)
長岡京市在住の外国人の方もいるので、英語の使用も有効であると思う。
(委員)
配布はどうなっているのか。戸別に配布も行っているのか。
(事務局)
「Moshi-Mosu」は文化財情報紙として、以前から発行してきたものである。市民への配布について世帯別配布は行っていないが、観光案内所、市の公共施設に配架している他、市のホームページでも公開している。
(委員)
市の広報紙では紹介しているのか。
(事務局)
今後、地域計画の素案がまとまってきた段階で、特集を組んで広報していきたいと考えている。
(会長)
今後、市の広報紙なども活用して頂きたい。
それでは、案件2について、ご了承いただいたということでよいか。
(各委員)
【異議なし】
(会長)
それでは議案3、「その他」について事務局は説明をお願いします。
(事務局)
【その他についての説明】
・市指定「(勝龍寺)木造 聖観音立像」の府指定について
・市指定「(乙訓寺)木造 十一面観音立像」の修理について
・旧今尾景年別邸の国登録有形文化財への申請に向けて
(会長)
案件3について、ご意見、質問はありますか。
(委員)
事務局説明にあったように、1件目の勝龍寺の木造聖観音立像は快慶の初期の様式に近いもので、制作年代は鎌倉時代初期1180~90年代のものだと考えている。快慶の初期に近いものは全国にもそれほどないので、非常に重要な作品である。2件目の乙訓寺の十一面観音立像も鎌倉時代の作品で、展覧会にも出展されていた。胎内納入品から制作年代や制作地がわかる文書が出てきたということで、鎌倉時代の仏像を考える上で大変重要な史料が加わったといえる。
(委員)
乙訓寺の観音像の寄進主体について、写真も資料に添付されているが判読しがたい。実際の奉加者の社会的な身分や位置づけが明らかになるのか。
(委員)
文書の全容がまだ明らかになっていない。鎌倉時代の仏像で納入文書のあるものが近年相次いで発見されている。有名な人名が明らかになればそれはそれで興味深いが、それよりもこうした仏像をどういう形で結縁したかが明らかになればと期待している。
(会長)
文書は現在、解読しているところか。
(事務局)
現在は、文書を開けようとしているところである。
(委員)
開けられそうか。
(事務局)
古い史料なので、扱いが難しいところではあるが、膠で個着しているものの数は少ないので、凡そは開けられると思われる。
(委員)
地元で制作されたものでないのは残念だが、貴重である。
(会長)
制作された時代的に、この時期を研究しておられる委員にもご意見を伺っていきたいものである。
(委員)
仏像の修理過程を市民に公開してもらうことはできないのか。埋蔵文化財の発掘調査では現地説明会があるが、仏像の保存修理も見学ができれば、市民に理解してもらう絶好の機会ではないかと思う。
(会長)
修理工房は見学会を行うことを想定していないので、実現は難しい。そうした希望があったということについては事務局でも検討して頂きたい。
(委員)
先ほど話題になっていた、「Moshi-Mosu」などで取り上げても面白そうだと思う。
(委員)
彫刻の修理は基本的には公開していない。修理工房では、いろいろな仏像を同時平行で修理しているので、どれかだけを見せるのは難しい。ただ、近年は保存修理をテーマとした展覧会なども開催されており、なかには修理道具も展示されている展覧会もある。美術工芸品の保存修理について興味のある市民は、そうした展覧会などを参考にして頂きたい。この仏像の保存修理に関しては、長岡京市と修理工房の協力で、その経過の記録を公開することは可能かもしれない。数年前に、奈良国立博物館美術院では、修理の様子をガラス越しに一部公開したこともある。修理工房で、個別に美術工芸品の修理を公開することは現実的には難しい。
(会長)
考古学では、保存修復の作業も市民に見てもらえるようにしているところもあるが、まだ多くはない。しかし、ご意見はもっともである。
他になければ、案件3の報告にご了承いただいたということでよいか。
(各委員)
【異議なし】
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閉会
- 今後の審議会開催予定の確認