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令和4年度第1回総合教育会議会議録

  • ID:13243

日時

令和4年5月18日(水曜日)午前9時45分から午前10時45分

場所

長岡京市役所 第一委員会室

出席者

中小路市長、西村教育長、福澤教育委員、京樂教育委員、大下教育委員、盛永教育委員

事務局

〔教育部〕教育部長、教育総務課長、次長兼学校教育課長、文化財保存活用課長、文化財保存活用課 課長補佐、教育総務課 課長補佐、教育総務課主査
〔総合政策部〕総合政策部長、総合計画推進課長

傍聴者

なし

議事

(市長あいさつ)

本日は、令和4年度第1回の総合教育会議を招集したところ、ご参集いただき感謝する。今年、本市は市制施行50周年を迎える。この50年、都市化が急激に進む一方で、市のうるおい資源である、歴史文化や水と緑、景観などとの調和を図りながら、市民の皆様とともに力強く歩みを進めてきた。次の50年への新たなスタートにあたり、ゼロカーボンシティ宣言、中小企業振興条例、自治振興条例など様々な市政の課題に取り組んでいるが、その一つが今回の文化財の計画づくりである。これまでから、文化財の保護保存を進めてきており、それはこれからも守り続けていかねばならない。また、その文化財をより多くの人に知ってもらい、活用していくことも必要である。文化財保存活用地域計画の策定作業が最終段階まできた。本日は、いつもと違う観点から活発な意見交換をしていきたい。

(教育長あいさつ)

昨年10月の総合教育会議ではICTをテーマに、一人一台端末が導入された学校現場での活用の状況を確認し、今後の在り方を含めて意見交換した。その後、本市教育支援センターが12月に教員や保護者にアンケートをとったところ、タブレットの導入によって学習に向かう喜びや楽しさが増加した、交流が進んだなどの意見があった。ICTの導入はかなり進んできており、いかに効率的に使うかに力を入れて進めているところである。本日は、今後の文化財行政がテーマである。文化財をまずは保護し、そしてどう活用するか。人口減少時代において、継承されない個人の家屋が売却される際などに、個人所有の貴重な資料が散逸する危険性が高まっている。先人の貴重な文化財を守っていくことが大切であるが、そのためには財源も必要である。市民の皆さんにもその重要性を理解いただけるよう、啓発活動も必要である。市制50周年という節目の年に、専門家に参画いただきながら、文化財保存活用地域計画の策定作業を進めている。今後の50年、文化財を保護し、どう活用していくかを議論していただいている。その内容を踏まえ、今後の文化財行政がどうあるべきか、意見交換をさせていただきたい。

今後の文化財行政(文化財保存活用地域計画の具現化)について

(市長)

まず、文化財の保存・活用に関する本市の取組状況について、担当からの説明を求める。

(事務局)

資料に基づき説明。

(市長)

意見交換にうつる。

(委員)

今回の文化財保存活用地域計画の目的は、文化財を保存して、活用していく、ということだが、文化財の保存・保護には経費がかかるため、市民の皆さんの理解や納得を得ることが非常に重要であろう。そのためには、市民の皆さんが文化財に親しみを感じられることが重要で、行政の自己満足になってはいけない。アンケートの結果では、文化財が重要だという認識はあるものの、本市にどんな文化財があるのかはわからない方が多かったということなので、PRが重要だと思う。計画の基本方針に、「学校教育や社会教育と連携した取組」とあった。すでに学校教育では取り組まれているが、道徳でも文化財を題材とするころができるのではないか。細川ガラシャの生き方などを題材にすることで、家庭でも話題になれば広く伝わり、関心をもっていただけるかもしれない。道徳の教科書に取り上げられるのは難しいかもしれないが、副読本のテーマにしたり、学校での舞台劇の演目に取り上げたり、私立も含め、中学校や高等学校でも研究テーマに取り上げてもらうなどすることで、広く関心を持ち、親しみをもってもらえるのではないだろうか。
(市長)確かに市民の理解は非常に重要だと考えている。アンケート結果では、文化財を大切に次の世代につなげていきたいと答えた方が約80%と高い割合であるが、「自慢したい文化財がある」と答えた方は約20%である。この20%の方々が自慢したいと考えている文化財が何か、ということはわかっているのか。


(事務局)

勝龍寺城や古墳という回答が多かった。

(市長)

まずは市民にファンを増やしていくことが重要である。

(委員)

私からは2点、保護者目線で意見を述べたい。小中学校の教育では、校区探検やフィールド調査が積極的に行われているということを事務局から聞いている。タブレットやIotなど、便利なツールも出てきているが、そういったツールはコロナ禍にとどめ、現場に出て実際にものに触れる、ということはこれまで以上に堅持すべきであろう。全体的な歴史の流れを学ぶ中で、フィールド調査や副読本等による府内の歴史教育が同時期に行われることによって効果が増すと思う。 計画の中で、めぐり紡いできた「7つのものがたり」に挙がっている、タケノコについて。私は長岡京市外の出身で、タケノコは苦みがあって美味しくないと感じ、好きではなかった。しかし、本市に住むようになり、こちらで食べてみると、とても美味しかった。これまで築きあげられてきた伝統の栽培法や調理法によるもので、全国、全世界に誇りをもって自慢してほしい文化だと思う。学校給食に出るタケノコ料理は、メニューによって評判はいろいろのようだが、児童生徒たちへの食文化もしっかり構築し、食育という観点からも、文化財の発展につなげてもらえればと思う。


(市長)

文化財の中に竹やタケノコという切り口が入るというのは、今回の計画の特色かと思う。先日、テレビに本市のタケノコが取り上げられ、かなりの反響があったようだ。

(委員)

長岡京遷都の784年の数字を上手く利用した「7つのものがたり」など、さまざまな工夫がこらされた分かりやすいビジョンになっていると感じた。但し、スライド22番で紹介されている市民アンケート調査の「本市の文化財に対して、あなたができることは?」の質問に対して、「ゴミ拾いなどの清掃活動」や「特にない」が多く、まだまだ啓発、活用への意識や行動が不十分ではないかと考える。そのため、次の2点を提案したい。1つは、本市の素晴らしい歴史文化を小・中学生に身近に感じてもらえるように、マンガ版での啓発リーフレットなどを作成してはいかがか。例えば、京都には、日本で唯一のマンガ学部がある京都精華大学がある。先日、その大学に勤務する教員にお伺いすると、「社会連携」としてコラボできるとのこと。2つ目は、小・中学生に文化財に関する保存と活用に関する意見、アイデアを募ってはいかがか。以前、国語の意見文作成の単元で、「中学生が考える街づくり」を書いてもらったらさまざまなアイデアが集まった。それを市長へ届けると、地元の新聞がその意見文を詳細な記事にしてくださった経緯がある。こうした件も、ご検討いただけたら幸いである。

(市長)

「わかりやすさ」は非常に大切である。漫画も含め、ビジュアルに訴えていくのは入り口として大事だと思う。

(委員)

目配りの利いた計画だと思う。何かを加えてほしい、ということはないが、歴史研究者としてアクセントをつける、という視点から3点申し上げたい。1点目、冒頭に市長が保護保存はこれまでもやってきた、これからもやっていくとの発言があったが、まさにその通りで、保存あっての活用だということをいま一度確認したい。文化財には保存保護、活用だけでなく、基本方針に示されているとおり「調査研究」がある。調査、研究、保存、活用の4つの輪がうまく運用されることが求められる。調査研究は歴史研究者だけでなく、中学生や高校生らの活動も含まれる。自由研究で地元の歴史や文化を調べることは今までもされているだろうし、これからもやってほしい。フィールドワークの活用も研究の一環である。子どもが参加すると家庭に波及するので、大きな効果が期待される。郷土史家の活躍にも期待する。調査研究へのサポート体制の確立、成果発表の機会確保も必要である。市全体で文化財調査をし、研究を極め、保存の知恵を絞って、活用していく、ということを、いま一度確認してほしい。本計画は、市を挙げて文化財に向き合う契機としてほしい。2点目は、この計画が文化財の「活用」だけを主軸とするものではないことを確認しておきたい。観光への活用だけを主軸にしてはならない。文化財を観光にどう活用するかばかりに目を向けると、観光資源になるものとならないものに分割してしまう。それは絶対にしてはならない。文化財は市の宝というだけでなく、人類の宝である。どれも等しく価値がある、ということを大前提にしてほしい。未指定のものや、文化財と呼べるのかどうか、というものへの目配りが必要だということにもつながる。この計画は法律に基づくため、主に指定等の文化財を対象とするものだが、価値が確定されていないものに対しても配慮がいる。未指定のものが廃棄されたり、ネットオークションに出品されたりする可能性もある。市の文化財が市外へ流出することは防がねばならない。そのためには調査研究が必要であるし、それは市民の皆さんに文化財を身近に感じてもらうことにつながる。これが啓発だと思う。建築前の埋蔵文化財調査を行った結果、文化財が出てくることで思うように工事が進まない、といった理由で文化財を嫌う風潮もあるが、そうならないよう理解を深めてほしい。3点目は、本計画に基づき、「まちなか博物館」の有効活用をはかってほしい。その方法として、展示室の充実、各施設の連関、ICTを活用しての情報提供などが挙げられる。計画のなかの「めぐる」は歩くことだけではない、と説明があったが、あえて歩くことに限定してみると、説明看板の設置やQRコードでの情報発信がある。QRコードであれば、情報を更新するのも容易である。ドイツのハーメルンの事例だが、鉄道駅から旧市街に向けて歩くとき、道にフットサインがついていた。「ハーメルンの笛吹き男」を題材としたサインに沿って歩くと、教会、博物館、資料館など史跡を巡れる仕組みで、現在地と他の史跡との位置関係を確認できるようになっていた。「めぐる」のモデルケースといえるだろう。10年以上前のことなので、今ならスマートフォンを活用しての情報提供があるだろう。それならば多言語による情報提供も可能である。歩いて見て周れるということは強みである。フランスでもナポレオンの顔がサインになっていたし、「めぐる」先進事例はたくさんある。広い視野で学んでほしい。本計画の実施によって、文化財行政がますます発展することに期待したい。


(市長)

調査研究も大切である。例えば、学会がゆかりの地で開催される、ということはあるのか。

(委員)

長岡京に関わるものとして、条里制・古代都市研究会がある。昨年及び一昨年は長岡京の調査研究をテーマに、本市の埋蔵文化財センターの職員からも発表があった。


(市長)

この学会は長岡京市で開催される、というようなことがあれば、それも一つの発信の方法になるのではないか。そういうことも考えていければと思う。

(教育長)

前職での経験だが、文化財の講演会参加者の8~9割が60代以上である。いかに若い年代の人に興味を持ってもらうかが課題であった。YouTubeでの発掘現場現地説明会なども行ったが、そもそも見てもらうことができなかった。若い年代の人に関心を持ってもらうには、見える化をもっと進めていく必要がある。自慢したい文化財に関するアンケートがあったが、たとえば長岡天満宮は身近すぎて文化財ととらえていないのかもしれない。また、無形のもの、例えば各地に伝わる盆踊りなど、自治会の中でも特色のあるものがあったりするが、そういうことが伝わっていないものもある。先日ある会議で、この計画は一般市民に対して発信するのであれば、言葉が難しすぎるのではないか、というご意見もあった。本日、委員からもご意見いただいたように、若い世代が親しみやすい仕掛けを考えていく必要がある。先日、市内小学校の5年生のICTの授業で、自慢できる地域に関するプレゼンテーションがあった。近くの神社の写真を見せて紹介し、それに対して質問意見を出していたが、ああいう取り組みが非常に重要だと感じた。本日、道徳で取り上げては、という意見もあった、文化財を活用して郷土愛に迫る取組も可能だと思う。図工で神社仏閣を描くなどの取り組みを行っている学校もあるが、そういうことを通じて無形有形の文化財に関心を持ってもらうことが重要だと思う。また、調査研究も重要である。有形の大きな文化財は目に見えるが、個人所有の文書など、重要と知らなければ処分してしまうこともある。重要と知った上での活用が大切である。学校教育や社会教育の中で本市の魅力を見える化し、知ってもらうことが、これから先も文化財を守ることにつながる。本市に対する郷土愛や誇りを培うことで、どこに行っても本市のことを堂々と語れることにつながってくるのではないだろうか。


(市長)

計画に基づく具体的な取組については、まだまだ知恵を出していかねばならない。本日の意見を参考に、より良い計画の実施、具体化を目指していきたい。私は本市で生まれ育った。下海印寺と奥海印寺の境界争いのことなど、小学校の社会科で郷土史を学んだことは今でもよく覚えている。子どもの頃の記憶は、大人になっても残っていく。本日のご意見を受け止めながら、取組を展開していきたい。

(事務局)

以上で閉会する。

お問い合わせ

長岡京市 教育部 教育総務課 総務・施設整備担当
電話: 075-955-9532 ファクス: 075-951-8400
長岡京市 総合政策部 総合計画推進課 企画総務・行革担当
電話: 075-955-9502 ファクス: 075-951-5410