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令和5年度第1回総合教育会議会議録

  • ID:13929

日時

令和5年10月18日(水曜日)午後1時15分から午後2時15分

場所

長岡京市役所 会議室401

出席者

中小路市長、西村教育長、福澤教育委員、京樂教育委員、大下教育委員、盛永教育委員

事務局

〔教育部〕教育部長、教育総務課長、次長兼学校教育課長、学校教育課主幹、学校教育課総括指導主事、学校教育課指導主事、教育支援センター所長、教育総務課 総括主査、教育総務課主査


〔総合政策部〕総合政策部長、総合計画推進課長、財政課長

〔健康福祉部〕健康福祉部長、健康福祉部次長兼地域福祉連携室長、地域福祉連携室福祉相談員

傍聴者

なし

事前研修会の実施

「不登校・ひきこもりに係る教育と福祉の協働について」

現在の教育現場においては、不登校、非行、いじめなど様々な深刻な問題が起きている。そうした状況の中、長岡京市においても、全国傾向と同じく小中学校における「不登校」の児童生徒数が増加傾向である。また、義務教育以降の退学や未就職・離職などを契機とする「ひきこもり」による様々な課題が明らかになっている。

こうした状況と課題に対し、総合教育会議の事前研修会として、大阪大学大学院の片山泰一教授に、乳幼児期段階、義務教育段階及び義務教育以降も含めた「成長と発達」に対して、教育と福祉の両面からの適切なフォローの在り方等や、最新の科学的知見とそれに基づく支援ツールや具体的な教育・福祉のプログラムの実態(自治体の取組)について講義いただいた。

総合教育会議においては、事前研修会での内容を踏まえ、今後の長岡京市における不登校・ひきこもり対策などについて協議を行った。

<片山泰一教授>

大阪大学大学院・大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科元研究科長、現在、教授・副研究科長。同大学院・5大学からなる「子どものこころの発達研究センター」で研究開発されたカリキュラムや教材、情報などの利用を許された「公益社団法人子どもの発達科学研究所」で普及、理事長を務める。

「かおTV」の開発者。(「かおTV」とは、視線計測装置を使って子どもの視線を計測し、社会性の発達の状態を確認することができるシステムのこと。)

議事

(市長あいさつ)

本日は大変お忙しい中、総合教育会議に出席いただき感謝する。今年度に入り、5月には新型コロナ感染症が5類移行となり、学校現場や子どもたちを取り巻く環境も元に戻りつつある。学校行事等も例年通り行える状況になってきた。そうした中で本市においては、人口が少しずつ増加し、5月1日付で8万2000人を超えた。マンション、宅地の開発が増加し、新たな転入世帯が増え、子どもたちの数も増加している。その一つの大きな要因となるのは、本市の場合は、教育に対する期待が大きいと思う。教育を充実させることは、学力に限らず、様々な課題を抱えておられる方への対応を含め、まちづくり全体にとっても非常に大きなテーマになってきている。今後も、皆さんから忌憚のないご意見を頂戴しながら、よりよい街づくりを進めたい。

(教育長あいさつ)

先日10月4日に文部科学省が「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等 生徒指導上の諸課題に関する調査結果」を発表し、報道でも大きく取り上げられた。 その概要は、「小・中学校における不登校児童生徒数は299,048人であり、前年度から22.1%増加し、過去最多となった。在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は3.2%(前年度2.6%)であり、過去5年間の傾向として、小学校・中学校ともに不登校児童生徒数及びその割合は増加している」という結果であった。この調査結果を踏まえ、国から「不登校・いじめ 緊急対策パッケージ」など緊急対策等が通知された。

本市においても、不登校児童生徒数は年々増加していることから、文部科学省の「誰一人取り残されない学びの保証に向けた不登校対策:COCOROプラン」をもとに、不登校を生まない環境づくり、不登校児童生徒の社会的自立に向けた支援など、取り組みの更なる充実を図っているところである。なお、低学年の不登校児童生徒への支援については、幼児教育から小学校教育との円滑な接続が重要であり、家庭にも幼児期の家庭教育の重要性を伝える必要があると考えている。

一方、国の2016年の調査報告書によると、ひきこもり状態になったきっかけに「不登校」が一定の割合を占めており、2019年調査でその割合は減少したが、学齢期に「不登校の経験がある」方も多くいる。他にも、「職場になじめなかった」「人間関係がうまくいかなかった」「受験に失敗した」「就職活動がうまくいかなかった」など、人間関係の躓きも含めて挫折からの立ち直りが難しかった状況がある。この状況を見据えて、学校教育の中で児童生徒に今後どういう支援・指導が必要かを考える必要があると感じている。本日は、午前中の片山教授のお話も踏まえながら、不登校・ひきこもりに係る教育と福祉との協働について、議論をいただければと思う。

(市長)

まず、本日の事前研修会での内容について、感想を一言ずつ頂戴したい。

(委員)

人によって考え方・見方が違う。「こうでなければいけない」といった固定観念や見方は、実はそうではないと認識を新たにした。また、アンケートについては、質問項目の選定の難しさを認識した。アンケートを出す前には、内容をよく考えて作ることが大事だと感じた。

(委員)

午前中の研修会は、エビデンスに基づく説得力のあるお話だと感じた。総論だけではなく、学校風土をどうするかという話が印象的であり、学校風土を作るためにはどうしたら良いかをよく理解できた。

(委員)

データに基づいた解析の結果、それ自体の解釈が難しく、この問題の難しさを反映していると感じた。また、ひきこもりの反対である、家の外で遊ぶということは、やはり重要だと思った。

(委員)

動的リスクの学校風土に着目された研究は、非常に興味深かった。ただ、不登校=ひきこもり=発達障がい、といった図式については、国のデータも含めて疑問を感じる。現場の感覚や対応策が調和するのかが疑問であり、今後議論が必要だと思う。

(市長)

本市の不登校児童・生徒数は増加している。市の不登校対策について、担当から説明をお願いする。

(事務局)

不登校の児童数は平成25年から徐々に伸びていた。コロナもあり、現在も伸びている。中学校は全国の数値に比べて数は少ない一方、小学校が急激に増加している。これまで小学校での不登校対策は重点的な考え方はしてこなかったが、小中学校両方の支援が必要と考えている。不登校対策について、国がCOCOLOプランを出した。本市の実態、現場の物理的な問題、教職員、生徒含め、市としてどのような施策が効果的か取捨選択する必要がある。本市は5つの柱で取り組んでいる。

1.不登校研究部門の設立。

教育現場と子どもの実態を把握しながらどのような施策を行うかを考える研究部門を作った。

2.国の「校内教育支援センター」に準じるものの設置及び支援の充実。

学校の中で教室以外の居場所を作ることとして、今年度モデルケースとして長岡第四中学校に専属の支援員を配置し、「別室」を作った。現在、他の中学校も同様の部屋はあるが、十分な支援体制とはなっていない。将来的には市内の4つの中学校に支援員を配置したい。また、小学校5校にも短時間支援員を配置し、現在ある不登校児童の居場所での支援の充実を図りたい。

3.心や体の健康観察アプリの試験的導入。

10月から4つの中学校に試験的に導入。無料のアプリ「ここタン」「シャボテンログ」を導入し、「聞いてほしい」「話したい」を学校全体で共有し、見逃さない仕組みや子どもが自身の状態をグラフ等で振り返り、自己管理力を高める機能付き。1年間の試行期間を経て、導入を検討。

4.不登校やいじめについてのスクリーニングと児童生徒理解シートの有効性の検証

専用アプリを使用したアンケートを行い、不登校やいじめの兆候、そして生徒理解を深め、適切な支援につなげる。健康アプリと同様に1年間の試行期間を経て、導入を検討。

5.子どもたちの特性に合った柔軟な学びの実現を目指した取り組み。学校環境づくりや子どもに合った配慮の工夫などの取り組みは社会的自立に向けた近道になる。不登校研究部門で各校の実践をもとに研修を行い、事例集を冊子にして校長会で提示し活用してもらう取り組みを行っている。

(市長)

感想としては、発達障がい・不登校含め、データの蓄積が進みつつあり、エビデンスに基づく政策形成・取り組みが可能だと思った。現在、個々のデータが取りやすくなり、統計処理も容易になっている。一方で、データ提供に対しては、学校現場では否定的な声があるため、そこを乗り越える必要があると感じる。市や教育委員会としての方針を持たないといけないと思う。蓄積されたデータを分析することは本市だけでは難しく、専門家との連携が非常に重要だと思うが、教育現場や教育委員会としては、データ提供に対してどう考えているか聞きたい。

(委員)

国から不登校対策の方針が通知されてはいるが、不登校の要因の分析が不十分だと感じる。不登校対策が先走りしているように思う。市として打てる手は打てば良いが、焦る必要はない。無気力・不安の要因としては、「親子の関わり」「いじめ」「学業についていけない」といった、様々な項目が上がっている。もう少しデータを分析する必要があり、そこから手を打たなければ解決にはならないのでは。また、先生方の負担も気になるところ。

(委員)

アプリを実際に導入することで、現場がどのように変化するかが見えてこないと、議論が進まないのでは。また、現場がかえって忙しくなると困ることもあると思う。蓄積したデータを学校現場で分析することは難しいので、もし、専門家に提供する場合には、生徒や保護者が懸念するのは個人情報を守れるかということ。その不安感をぬぐわないと提供は難しいと感じる。

(委員)

今回、すでに収集に入っているため、「データをどのように保管するか」からが、スタートだと思う。データの保管の義務を徹底すること。また、データを提供・保管することに対して、PTA等への真摯な説明は大事である。私自身としては、データを提供して専門家にしっかり見てもらうことは大事だと思う。

(委員)

不登校児童・生徒数の急増について効果的な解決策を模索し、対応する必要がある。その手段の一つとしてアプリなどを活用することは良いと思う。専門家に丸投げせず、現場がデータをどれだけ利用できるか。データを取ることの意義は否定しないが、慎重に行ってほしい。

(市長)

統計データを専門家に分析してもらうことで、不登校の要因が分析できるようになればよりきめ細かい制度に繋がりうる可能性はあると感じた。市が積極的に参加し、フィードバックをもらうことで取り組みがより良くなる。保護者・学校現場の抵抗があるかもしれないが、大事なことは「何が目的なのか」と、「保護者への伝え方」。データ提供については、全て匿名性の中でデータを分析する。そうした状況も踏まえながら、委員の皆さんから今後の展開についてご意見等お願いしたい。

(委員)

中学校の不登校の児童は17人に1人いる。学校への復帰ではなく、社会的自立に焦点があたったが、学校の元教員としては、教室に来て、少しでも他の児童生徒と交流をしてくれたら嬉しい。2018年に日本財団の大規模な調査で、不登校の傾向を把握した際の結論は、「学習面での苦戦状態」、「成績が悪かった」ことが不登校の要因になっていた。学習面でフォローできる体制を考える必要がある。非認知の重要性は否定しないが、データのリテラシーがないと有効な対応策ができない。学習支援であれば、「さらにわかりやすい授業をする」、「支援員を入れる」など、不登校問題は複合的な要因だと思うので、データも取りながら多方面からアプローチをしないと難しい側面がある。

(委員)

データは保護者等への説明資料のバックグラウンドにもなるため、行う価値はある。現場では取り組みの優先順位が出てくる。新しいデータを取ることについて、教員の負担増加を危惧している。教員の反応も聞いてほしい。

(委員)

今、大学でも不登校は問題になっている。授業に出席できなくなり、うつ状態から退学する問題が起こっている。規模の小さい大学では、現場の教員が対応することを求められている。大学には学生支援センターがあり、心理の専門家がおり、連携をとりながら対応している。早期対応は必要だと思うが、先生の負担を増やさずに対応がうまくいくのであれば、アプリの活用は一つの方法である。また、アプリの活用、データの蓄積と合わせて、予算措置および人的対応を並行して行うことが必要である。

(委員)

先生方の負担にならないことと、早期発見・早期対応が大事である。先生方のゆとりがなければ早期発見には繋がらないので、教員の働き方改革と併せて行うことが望ましい。また、生徒のSOSのタイミングを共有し、早期発見に繋げる。原因が何かを掴んだ上で、対策を効果的に行うことが重要である。

(教育長)

片山教授のお話もあったが、アセスメント(客観的に評価・査定する)が重要。学校現場の先生が、的確なアセスメントができる力量を備えられれば良いのだが、専門家の力を借りることも必要である。各校の発達障がい関係のコーディネーターなど、力量の高い先生から他の先生たちへ伝えていける、校内研修の機会が重要。学校風土の観点では、客観的に先生たちに捉えてもらうためには、データを収集・分析し、アドバイスをいただくためのデータ提供も大事。発達は個々によって違うということを、学校現場の先生にも体感してもらいたい。

学校現場においては、担当者の説明にもあった不登校対策を行っているが、就学前の子どもの中には、保護者の子に対する接し方で子どもが不安定になっている家庭もある。そのような場合は、教育と福祉が連携する機会が必要である。ひきこもりの原因には挫折から非行になるケースが多いが、小中学校においては、躓く前にフォローすることがあるため、大人になってからくじけてしまうこともある。学校教育においても先を見た指導が必要。

(市長)

データですべて解決できるわけではないとは思う。不登校もひきこもりも要因は様々であるが、それぞれに合った対策をする際にはデータの蓄積が必要になる。「不登校対策」「ひきこもり対策」と個々に分けて考えるのではなく、「居心地の悪さ」の理解をしていかなければ進まない。子どもたちへはそれぞれに合った支援が必要ではあるが、教育の現状と、今の人員体制でどこまでできるのか、整合性をとることも非常に難しい。多様性の理解を社会全体で認知する必要性があり、保護者・地域にも理解が必要。多様性をのみこめる社会づくりが大事。学校現場を中心に理解を求めることが大事であり、教育現場のみならず、様々な市の取り組みの中で理解を広げていきたい。

(教育長)

不登校は大きい問題である。今後、市としてどういった取り組みができるのか、市教育委員会で考えていきたい。

(市長)

教育の分野だけでは収まる問題ではなく、就学前からが大事だと思う。教育の分野のみならず、総合的に取り組んでいかなければならない課題と考える。

(事務局)

以上で閉会する。


お問い合わせ

長岡京市 教育部 教育総務課 総務・施設整備担当
電話: 075-955-9532 ファクス: 075-951-8400
長岡京市 総合政策部 総合計画推進課 企画総務・行革担当
電話: 075-955-9502 ファクス: 075-951-5410