第13回国史跡恵解山古墳保存・整備委員会会議録
- ID:3430
日時
平成25年3月27日(水曜日)
場所
市立図書館3階大会議室
出席者
委員
小畑秀夫、高瀬要一、都出比呂志、中尾芳治、福本謙三、増渕徹、石湯俊子、佐藤兼司、中田晃一、中村修
関係機関
京都府教育委員会文化財保護課、乙訓教育局、公益財団法人長岡京市埋蔵文化財センター
事務局
生涯学習課 中尾課長、関主幹、岩﨑専門員、福家技師
公園緑地課 小山課長、向井係長、松永技師
キタイ設計株式会社
鴻池組・山品特定建設工事共同企業体
岩尾磁器工業
欠席
(委員)奈佐保、宮本純二、森良男、佐々谷明光
案件
- 委員長、副委員長の選出について
- 会議録署名人の選任について
- 第12回恵解山古墳保存・整備委員会以降の経過報告
- 第8回専門部会の報告
- 保存整備工事その2の進捗状況報告
- 保存整備工事に伴う調査成果報告
- サイン施設関係について
開会
・委嘱状交付
(教育長あいさつ)
皆様こんにちは。今日は年度末のお忙しい時期にこうしてご参集いただきまして、誠にありがとうございます。季節も寒くなったり暖かくなったり、東海の方では桜が満開だということで、私たちの街も入学式まで桜がもつかなと、桜の花の心配をしている余裕があるのかないのかというところです。桜というのは心をざわめかせる、騒がせるような花でございます。今年も良い花が見ることができればなと思っています。
私は、昨年の10月に教育長に就任させていただきました。9月までは、教育部長でございました。今後ともよろしくお願いいたします。
本委員会につきましては、昨年秋の委員の任期満了に伴いまして、改めて委員を選任させていただきました。以後本委員会の初開催が本日でございまして、先程委嘱状を交付させていただきました。
今日の委員会の内容は、保存整備工事の状況報告、一連の委員会の冒頭の委員会の諸手続きを終えた後、本日の会議に移っていただきたいと思います。あらかじめ、少し状況についてお話しさせていただきます。
この保存整備工事は、平成15年度に基本構想を策定いたしまして、平成18年度に基本計画を策定させていただきました。その後基本計画を見直した上で平成22年度に基本設計、平成23年度に実施設計を策定させていただきました。現在は実施設計に基づきまして、平成26年度の完成を目指しまして、保存整備工事に本格的な取り組みを進めているところでございます。この工事は、久貝地区・勝竜寺地区の地元の皆様方のご理解とご協力をいただきまして、現在のところ順調に展開をいたしております。
今日の会議の中で、現在の工事の進捗状況を報告させていただきまして、平成25年度の工事計画の報告をさせていただきます。合わせまして解説板や模型などのサイン施設につきまして、ご意見を賜りたいと考えております。ここでいただきましたご意見を参考にいたしまして、墓地や学校グラウンドなどのある条件の中で、地元住民の皆様方に開かれた史跡恵解山古墳の保存整備工事が実現できるものになればと思っております。
くしくも第二外環状道路、大山崎から沓掛までの間が4月21日に開通すると聞いております。また秋には阪急の新駅が「西山天王山駅」として開設されると聞いております。この2つの交通結接点が出来上がりまして、市の南部の状況が変貌を遂げております。本市の恵解山古墳が、市南部地域の文教ゾーンの中核的施設として、国史跡の名に恥じないよう、長岡京市のシンボル的な存在にしてまいりたいと考えております。
皆様方のご意見を頂戴いたしまして、より良いものを作り上げたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
(1)委員長、副委員長の選出について
(1)委員長、副委員長の選出について
中尾委員長、奈佐副委員長を選出
(委員長あいさつ)
先程教育長からもお話しがありましたように、恵解山古墳の保存・整備に関しては10年を超える長年にわたって、いろいろ審議をしてきました。わたしは当初の基本計画の策定から、現在の保存・整備計画の立案に至るまで委員長として関わらせていただきました。そして、任期中の26年度で恵解山古墳の整備が一応完成するということになります。
このように、終始一貫、恵解山古墳の基本計画の策定から整備計画の実施に至るまで委員長として関わらせていただいたことを、大変光栄に思っております。恵解山古墳の整備が無事落成しますように、今後も努めてまいりたいと思いますので、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。
(2)会議録署名人の選任について
中尾委員長を選任
(委員長)
議事に入る前に、本日の委員会に3人の方から傍聴の申し入れがありますので、これを許可してよろしいでしょうか。
<傍聴の承認>
<傍聴人3名入場>
(3)第12回恵解山古墳保存・整備委員会以降の経過報告
(委員長)
本日の案件につきましては、皆様のお手元にあります資料をご覧いただきたいと思います。前回の委員会で宿題になっているいくつか案件があります。これを中心に、特に本日はサイン計画について、皆さんの十分なご審議をいただきたいと思います。
まず、案件に従いまして、昨年7月20日に開催いたしました第12回恵解山古墳保存・整備委員会以降の経過報告について、事務局からお願いいたします。
<事務局より報告>
(委員長)
ただ今の報告について、ご質問、ご意見はございますか。
(委員)
いろいろなところにご説明されているようですが、なにか変わった意見とか大きな問題は、ありませんでしたか。
(事務局)
小・中学校ならびに地元自治会の皆様からは、難しいご質問をいただいたということはございません。
(委員長)
他に何かございませんか。
文化庁から3人視察に見えておられるようですが、何かご意見ありましたか。
(事務局)
文部技官が来られた時には、整備計画を中心に説明させていただき、墓地やテニスコートを残しながらの整備であることについて、ご理解を得ております。
文化財調査官が来られた時には、復元できない部分での土留補工をどのように整備するのか、墓地参道を残しながら整備するにあたって、遺跡を壊さずに整備する方法などついてご指導いただいき、それに基づいて整備の施工計画を進めております。
文化財調査官の視察については、恵解山古墳の整備が、現在どのような状況にあるのか、今後の整備計画はどうなっているのかなどを説明させていただき、ご理解いただきました。
(委員長)
補助金のことなどで特に指摘はありませんでしたか。心配はないということでしょうか。
(事務局)
文化庁からの補助金につきましては、京都府のご指導とご尽力によりまして、進めることができている状況です。
(委員長)
他にございませんか。
ないようですので、次の案件、昨年12月25日に開かれました第8回専門部会の報告をお願いします。
(4)第8回専門部会の報告
<事務局より報告>
(委員長)
ただ今の専門部会の報告について、何かございますか。
葺石の復元について、前の整備委員会で委員から、葺石の葺き方について、いろいろ意見がありました。第12回整備委員会会議録の17ページにその内容が記録されています。そこにある葺石復元範囲の形状について、復元する傾斜面の下が広く、上が狭くなるようにという提案がありました。今日の資料の1枚目の折り込みの図面では、傾斜面ごとに上が狭くなっていますが、3段を通して全体的に上を狭くするのか、どちらですか。
(委員)
復元範囲の形状については、下段がもう少し広い面積にして、安定感をもたせる方がよいと思います。
葺石復元端とコクマザサ植栽との境については、私が提案したのは、葺石の石の密度を粗くし、逆にコクマザサをしだいに増やして、自然に溶け込むようにできないかということです。それが、葺石は固定する必要があり、植栽部分は下を柔らかくする必要があるので無理だという説明ですね。葺石を葺く方は、下の土にセメントが入っているのですか。どういう構造なのか分からないのですが。階段側の園路沿い部分は固く固めていいと思いますが、西に向かって植栽に近づくに従って、石を固定するけれども、コクマザサも入りこめるというやり方が出来ないか、検討してほしいと思います。
(事務局)
設計と技術の担当でいろいろ検討していただきましたが、石の密度を少なくして、植栽をしだいに多くしようとすると、葺石として置いた石がしっかり固定できないということです。葺石密度を下げて、石が1つや2つになる部分については、植栽が多くなる部分ですから地面を柔らかくする必要があり、どうしても葺石の石が崩れやすくなります。このようなことから、葺石の密度を変えずに、植栽との境目を波打たせるようにして、植栽への溶け込みを表現したいということです。
(委員)
葺石を固定するところは、土にセメントとか焼石灰か何かを加える工法だと思うのですが、土の固定材になる量を加減してやれば、コクマザサが少しは入り易くなるのではないかと思います。そういうふうな工夫をされたらどうでしょうか。
葺石を復元する範囲の形は、提案されている資料の図より、第1段目と第2段目をもう少し広くすると安定感が出て良いと思います。復元面積が限られているなら、第3段目をもう少し幅狭くしてはどうでしょうか。
(事務局)
葺石復元範囲については、復元面積により石材の量も変化しますので、その辺を考慮に入れながら、見栄えが良くなるように、第1傾斜面が広く、第3傾斜面が狭くなるように検討します。
(事務局)
葺石の固定方法については、焼石灰を土に混ぜて硬くする計画です。
葺石と植栽との境をグラデーション状に表現してはどうかという提案についてですが、いろいろな工法を検討してきました。たとえば、葺石をブロック状にして、植栽方向に向かってそのブロックを小さくあるいは少なくする工法が出来ないかなど。しかし、整備完了後に雨などで崩落する場合や、コクマザサの根が入り込んで石を浮かせるなどのことが起こる可能性があります。そういった危険性を考慮した結果、焼石灰の混入量を調整しても、葺石の端から捲れていくなど、問題解決にならないと思われ、資料に図示したような波打たせた形なら強度や耐久性が保てますので、そのように提案させていただきました。この場合でも、1~2個の葺石が植栽側にあるのではなく、いくつかの石がかみ合うような状況にする必要があります。
葺石復元範囲の形状については、第1斜面を広くし、上斜面を狭くすることは可能です。
(委員長)
前回から提案されているのは、葺石が密に葺かれている部分から、葺石とコクマザサが混在するような部分を経て、コクマザサ密植部分へ漸移的に推移していくようにできないかということでした。これが技術的に難しいから、資料の図面にあるように、葺石復元範囲の西辺の植栽との境を波状にして表現したいということですね。
この図を見た場合、葺石復元範囲の最上段が丈高で、面積的に広いこともあり、下段が狭くなっていて安定感がない。下段を幅広く、上段を狭くした方が安定感がでると思います。この点は、難しくないと思うので、配慮してもらいたいと思います。
(事務局)
葺石範囲については、下段を広く、上段を狭くすることはできます。
(委員長)
葺石を自然に溶け込むようにしたいという提案の中身は、専門的なこともあると思いますし、改めて専門部会でも検討が必要と思います。また、次の案件との重なりもありますので、先に5の案件について説明をしていただいた上で、合わせて皆さんのご意見をうかがいたいと思います。
それでは次の案件、保存整備工事その2の進捗状況報告をお願いします。
(5)保存整備工事その2の進捗状況報告
<事務局より報告>
(委員長)
保存整備工事の進捗状況について説明がありましたが、写真などをご覧になられて、ご意見その他、何かございませんか。
(委員)
10年来の事業が、教育委員会や整備委員会の努力でようやく形になってきたと思います。古墳の形状も、地元のものが見てもわかるようになってきました。また墓地の方も、墓地のあり方などを地元の者が考える状況が見えてきました。これらのことは、勝竜寺地区のものとして喜んでおります。思っていたよりもきれいに整備されてきました。行政当局の努力や、整備委員会の委員の先生方の御意見の集約としての御指導が実っていると思います。本日、自治会長は欠席しておりますが、勝竜寺の地元としては、大変喜んでおります。
保存整備工事その2の進捗状況を聞きましたが、第8回専門部会の資料と今の報告の中から、詳細について3点おうかがいいたします。1点目は、墓地の参道についてです。地元が一番関心のある参道整備について、委員会でも検討されてきました。勝竜寺住民が一番懸念している墓参道の勾配についてお訊ねします。北からの入り口は6%ぐらいで現況の入り口付近にすり付ける計画になっています。古墳復元整備の第1テラス面付近から勾配が12%ときつくなっています。数字的に6%から12%と倍の勾配になっています。地元の意見として、委員会などで、墓参道を出来るだけ緩やかな勾配にしてほしいという意見を述べてきました。この墓参道は、将来的に古墳の維持管理にも利用可能な構造にしておく必要があると思います。そのためにも出来るだけ勾配は緩やかにする必要があるのではないですか。
2点目は、墓地の森についてです。周辺の木はすべて伐っていただいて、森が目立つようになっています。今回の古墳整備では、この森は基本的に現況維持で触らないということになっていますし、勝竜寺墓地管理委員会でも了解していました。しかし、古墳整備に伴って、周辺の木々がなくなり、墓地の森だけが残っています。この森はどのように位置付けられるのでしょうか。古墳の中にある森という位置付けになるのでしょうか。古墳を遠くや近くから眺めた場合、このままでよいのでしょうか。景観的としてこの森を専門的に指導してほしい。地元では、もう少し伐採してほしいという意見があります。この整備事業で伐採できなければ、地元で伐採したいという意見があります。竹藪のあり方とともに、墓地内に残された森について、修景的にどうなのでしょうか。
3点目は、墓地にある焼却施設は現状復旧と聞いています。焼却というよりも墓地のお供えを集め置く仮置き施設です。ご時勢がら、墓地での焼却はできないと考えています。墓地のお供えは、各自持ち帰るようになっています。現状復旧とはいえ、焼却機能はいらないと思います。古墳のあり方と合わせて、墓地管理委員会と調整したうえで検討してほしいと思います。
(委員長)
今の3点の意見について、事務局はどのように考えていますか。
(事務局)
1点目の墓参道については、長岡第三中学校のサブグラウンドテニスコートに挟まれた所は、現在ほぼ平坦になっています。これより墓地に向かっての傾斜がきつくなっています。この傾斜を和らげるために、グラウンドに挟まれた所から緩やかな傾斜で古墳墳丘の第1テラス面にすり付け、これより墓地に至る傾斜を現状より少しでも和らげる計画になっています。また、古墳復元の第1テラス面付近には、手すりを設けて、足に自信のない方でも古墳の第1テラス面を周回していただけ、またお墓参りが出来るように手すりを設置します。第1テラス面への古墳見学路としての利用は、墓地管理委員会のご理解を得ております。墓参道の古墳整備と直接関係する部分については、このように手を入れることができますが、それより上の墓地参道については現状のままになります。
2点目の、墓地の森については、墓地内にあることから古墳整備として手を出せないので、そのままというかたちになります。ご希望はいろいろ聞いていますが、古墳の整備としては、対象外になります。
3点目の墓地にある焼却炉については、墓地管理委員会のご意見をうかがいながら進めさせていただいております。設置場所や構造については、墓地管理委員会と検討させていただいて、工事中は仮設させていただき、後に復旧する計画をしております。また、仮設と復旧施設については、焼却機能がないものを計画しております。これからも、墓地管理委員会と相談しながら進めていきたいと考えております。
(委員長)
今の3点の問題は、墓地管理委員会など地元との話し合いの中で進めてほしいと思います。今までも、いろいろ検討されてきたと思いますし、これからもそういう機会を作って進めてほしいと思います。工事が進んでいけば、新しい問題や細かな問題も出てくると思いますが、その都度、事務局は自治会や関係団体と綿密な調整をしながら進めてほしいと思います。
他に何かありますか。
(委員)
第8回専門部会の報告で、葺石の三段構成の復元表現がばらばらになっています。西側のくびれ部は、前方部側と後円部側両方とも端を直線で終えるようになっています。これはどういうことですか。
(事務局)
くびれ部の葺石の復元について、前方部前面の葺石と同じように上を少し狭め、端はコクマザサに溶け込むように消えていく表現を、後円部側と前方部側の両側にすべきだというご意見ですね。
(委員)
そうです。
(事務局)
ご意見の主旨は、分かりました。
(委員長)
西くびれ部の葺石復元の形状と両端の処理を、傾斜面に対して垂直に直線的にするのでなく、前方部と同じように処理するようにという意見ですね。その方が自然な感じがしますし、それは可能だと思いますので、事務局、よろしくお願いいたします。
他に何かありますか。
(委員)
今の委員のご意見に賛成です。
埴輪列の端の表現について、提案があります。今の計画では、復元範囲の端が突然途絶える計画になっています。これも葺石と同じ考え方からすれば、埴輪列も自然になくなっていく表現が出来ないかという提案です。たとえば、樹立埴輪をまばらにしていく、埴輪の樹立密度を下げていく方法とか、埴輪の上部が少しずつ壊れたものを並べる方法などが考えられます。また、埴輪を置かない部分にも本来あったということが分かる表示を、地面の色を変えて表現するというのはどうでしょうか。10あるものが0に変わるのではなく、漸次的に変化していくという表現のほうが、一般の人にはわかりやすいと思います。埴輪列の端を突然止めると、一般の人は、この古墳の埴輪列はここまでしかなかったと捉えてしまう恐れがあります。その誤解を和らげるためにも、漸次的に無くすほうが効果的だと思います。
(委員長)
今の提案は、葺石と同じように埴輪列も表現すればどうかという提案ですが、難しい問題ではないでしょうね。
(事務局)
埴輪列の復元端の処理については、専門部会の方でも検討していただきながら進めていきたいと思います。ただ、すでに整備を終えている五色塚古墳では、墳頂部埴輪列の復元をされていますように、今回の整備を終えた後、将来的にできないことはないと思います。そういった含みをもたせながら、専門部会で検討していただきながら進めていきたいと思います。
(委員)
今回いろいろな埴輪が並ぶことになりますが、各埴輪の形態配置の順番は決まっているのですか。
(事務局)
小さな図面で見にくいですが、配布資料にそのパターンを掲載しております。このパターンは、西造り出し周辺部の発掘調査で得られた各形態の出土比率を基に割り出しております。ただし、他の古墳の状況から、造り出しの近くの調査で得られたデータであることから、壺形埴輪は造り出しにのみ樹立されていた可能性が高いこと、蓋形埴輪は墳頂部にのみ使われていた可能性が高いことなどを加味しての想定で復元しています。その成果から、西造り出しの埴輪列は、円筒埴輪を主として壺形埴輪を挟みこむようにし、第1段と第2段テラス面の埴輪列は、朝顔形埴輪1本に円筒埴輪6本を一つのパターンとして配置し、墳頂部は、円筒埴輪6本に1本形象埴輪として、形象埴輪は朝顔形埴輪と蓋形埴輪を交互に配置する復元になっています。墳頂部の蓋形埴輪は、埴輪列に組み込まず、埴輪列の外側に飛び飛びに置いている古墳もあります。恵解山古墳の場合、その配置が確認できないことから、埴輪列に組み込む配置としています。調査成果の比率から、基本的に7本に1本の形象埴輪配置として、西造り出しの配置パターンは少し変則的になっています。恵解山古墳の場合、明確に配置が確認できなかったことから、専門部会の中で検討していただきました。
(委員)
分かりました。
(委員長)
第12回委員会の時に、東くびれ部の擁壁工法をジオファイバー工法とウッドブロック工法について検討され、ジオファイバー工法を採用という意見が多かったと思いますが、そのことについて説明をお願いします。
(事務局)
整備委員会と専門部会で検討していただきました墓地の東斜面の工法について、ジオファイバー工法を採用することでご了解いただきました。植栽についても、いろいろな御意見をいただきましたが、一般的な工法で実施したいと考えております。
(委員長)
東側の造り出しについても、表現方法についていろいろ意見が出ていたと思います。グラウンドゴルフ団体との関係で、高低差をあまりつけることができないことや、州浜部分を含めて、芝張りにするという案だったと思います。それでは、本来の州浜部分と造り出し部分との区別がつかないから、本来の造り出し部分は芝張りにしないほうがよいのではないかという意見もありました。かなり前から、どういう表現にするのか。グラウンドゴルフと両立するにはどうすればいいかなどについても検討してきました。最終的に、どのように折り合いがついたのか、確認しておきたいと思いますので、事務局からの説明をお願いいたします。
(事務局)
東側造り出しについては、州浜を含めて芝張りにしたいと考えております。芝張り部分と土の部分との境には、芝が伸びていかないように芝バリアを埋め込みたいと考えております。また、州浜に当たる法面の法肩部分には、調査で石列が観察されておりますので、その表現として、飛び石状に石を埋め込み、形状が分かるように表現したいと考えております。芝の範囲や飛び石状の配石が何を意味しているのかは、説明板の方で解説したいと考えております。
高さについては、平坦なグラウンド面と、造り出し上面が約20センチメートルの差で整備できることになっております。これは、実際の比高差とあまり変わらない高低差で表現できると考えております。
(委員長)
表現方法としては、東造り出しは、州浜を含めて共通の芝張りにして、その境界線上にまばらに石を並べるということですね。
(事務局)
この表現方法で、グラウンドゴルフの方々に了解をいただいております。
(委員長)
たとえば、造り出し部分の州浜より上の部分に芝を張らないという表現方法はどうでしょうか。そうすれば、見た目に区別がはっきりすると思います。また、境を表示する石は、グラウンドゴルフには影響なのですか。
(事務局)
州浜の法肩に置く配石については、コース取りのレイアウトによっては、配石位置を少しずらすことはあり得ますが、石を置くことについてはかまわないというふうに、グラウンドゴルフの方々からご理解をいただいております。
上面に芝を張らないようにしますと、芝がそちらに浸食していかないように、その境にも芝バリアを埋設する必要が出てきます。この芝バリアは、地表面にも少し頭を出す形になりますので、グラウンドゴルフの障害が2重に出来ることになり、グラウンドゴルフの方々にご理解いただけないと思われます。
(委員長)
委員のみなさんで、他に何か意見はありませんか。
今日の委員会のために配布されたこの図面が、だいたい最終的な実施設計図ということですね。こういうふうになると考えていただければよいということです。
(委員)
古墳の西側に、休憩所広場がありますが、ここにアズマヤを建てる計画になっていますが、アズマヤの表現が図にないのはどうしてですか。
(事務局)
アズマヤにつきましては、現在計画しておりますが、この図面はあくまで工事用図面として見ていただきたいと思います。そのため、表現できていないということでございます。
(委員)
分かりました。
(委員)
休憩所は、ここ一か所だけの計画ですか。これだけ広い史跡面積で、多人数が見学に来られた場合、またご年輩の方々のことを考えると、ちょっと心もとないのではないでしょうか。
(事務局)
現在は、ここの休憩広場というところだけを計画しております。それ以外のところは、ベンチを置くなどの計画はありません。将来的に、そういったことが出てくるかと思いますが、移動式のベンチとかもありますので、そういうものを含めて、今後の課題です。
(委員)
将来的な様子を見ながら検討していただきたいと思います。
(委員)
武器の埋納施設がありますね。これも一つの大きなポイントだと思いますが、そこの展示方法は、どのように計画されていますか。
(事務局)
サインのところでご説明させていただきと思います。
(委員長)
他に、特に問題がないようですので、次の案件、保存整備工事に伴う調査成果について事務局から説明をお願いします。
(6)保存整備工事に伴う調査成果報告
<事務局より報告>
(委員長)
ただ今の保存整備工事に伴う調査成果について、何かご質問ご意見はありますか。
なければ、次の案件、サイン施設関係について事務局から説明をお願いいたします。(7)サイン施設関係について
<事務局より報告>
(委員長)
ただ今の説明で、整備が終わった段階で、どのようなサイン施設がどこに設置されるのかが分かったと思います。何かご質問ご意見ありますでしょうか。
(委員)
これから具体的に文章やデザインなどを検討されると思いますが、恵解山古墳のその古墳だけではなく、もうちょっと歴史的な、たとえば明智光秀の本陣に使われたという説がありますが、そのようなことを盛り込んでいただきたい。そうすれば、見学者の興味も古墳以外からも引き立てることができると思います。
また資料の最後の方にあります、遊歩道計画については、道を検討されているとか、具体的な検討はあるのでしょうか。
(事務局)
先程ご説明しましたように、阪急新駅「西山天王山駅」が開設されます。長岡京市の南部地域の文教ゾーンとして、駅からの誘導路の一つとして散策道路ということなどを含めた中で、恵解山古墳を含めて中山修一記念館や勝竜寺城公園などをつなぐ道を、遊歩道として散策される人をサイン施設で誘導するというようなものを現在計画しているということです。
(委員)
そうすると、遊歩道というかたちで歩く道を新たに造ったりとかいう計画はないということですね。
(事務局)
この遊歩道計画の記載は、専門部会の中で出された意見として記録にとどめ、検討課題としているものでして、具体的化して進んでいるものではありませんので、御理解いただきたく思います。とはいえ、長岡京市南部の文教ゾーンとして、恵解山古墳周辺は、長岡京市南部の文化施設と教育施設が集中するところでありますので、そうしたものを利用した形で、恵解山古墳を位置付け、活用していきたいという考え方でございます。
(委員)
私は、ふるさとガイドの会に所属しておりまして、長岡京市へ来られた方々を案内しております。そこでよく聞く意見に、長岡京市は道が狭いということがあります。そういったことから、道を広くしたり、散策路を新たに計画したりしていただいているのかと思いました。
そうではなく、既存の道を使った長岡京市南部文教ゾーンの活用や散策コースの設定であることが分かりました。
(委員長)
長岡京市南部には、ずいぶん沢山の遺跡とか史跡、それに文化施設もたくさんありますから、これらを繋いで遊歩道をつくるというのは、前から意見が出されているところです。恵解山古墳も、その遊歩道計画の中に位置づけるということです。
私が関わった例に、大阪市で取り組んだ「歴史の散歩道」という遊歩道があります。「史跡連絡遊歩道」と呼んでいます。これは、既成の道路の路面を特徴のあるデザインにして、それをたどっていけば史跡に行けるようになっています。その要所要所には、サイン施設があるというふうになっています。こういった例を参考にして、将来的に進めていってほしいと思います。そうすれば、ずいぶん立派な遊歩道が出来ると思います。
他に、デザインや内容、設置位置などについて、皆さんからのご意見はございませんか。
(委員)
このように、たくさんサイン施設を随所に設けられるようにうかがい、完成した時のことを想像すると、いろんなところで楽しめると感じています。説明板があるだけでも楽しいと思いますが、説明板に書かれた内容は、見学者に読んでいただきたい。そう考えますと、説明板の字の大きさについては、万人向きというのはないとは思いますが、せっかくですから読めるぐらいの大きさでお願いしたいと思います。
(委員長)
他に何かありませんか。今までの話をお聞きいただいて、何かございませんか。
(委員)
私は長岡京市に住んで40年ほどになりますが、こういった話を聞かせていただいくまで、ほとんど分かりませんでした。一般の人は、ほとんど何も分からないと思います。そういった方々に周知できるようなものにしてほしい。長岡京市のことを分かってもらうためには、たとえば、明智光秀と恵解山古墳のつながりなど、また他のことに興味をもっておられる方もおられると思いますから、そういった興味をひくものを随所に作っていくことも必要かなと思います。また恵解山古墳のように一つの整備をしていくことも良いことかなと思います。
私が住んでいます久貝自治会の話し合いでは、恵解山古墳の整備が完成して、見学者が来ていただくのはありがたいと思っています。しかし迷惑をこうむるのは困るという意見が多くの人から出ています。そういったことについて、どういうふうに対応しているのか、聞かせていただきたい。
以前にご相談があったトイレを含む便益施設については、否定的な意見が多かったように思います。
(委員長)
トイレの問題とか、駐車場の問題とか、いろいろ話題にあがりました。
トイレの問題は、恵解山古墳の近くに西山天王山駅が出来ますし、勝竜寺城公園などの近在施設を使っていただくことで、少しは解消できると思います。とはいえ、普通だったら、恵解山古墳にも設置すべきものです。
<委員の多くから、トイレの設置を願う声。>
(委員)
私個人的には、恵解山古墳にトイレがあった方がいいと思います。しかし、地元としては否定的な意見が多いようで、受け入れられませんでした。
駐車場については、今でもたびたび路上駐車を見かけます。老ヶ辻陸橋の工事のため、そこのカーブが見にくくなっていたりしていますので、危険だという意見が出たりしています。今回の恵解山古墳の整備工事についても、安全について十分注意してほしい。
(委員長)
山崎の合戦についてはだれもがよく知っていますし、関心も高い事柄だと思います。恵解山古墳が、明智の本陣「御坊塚」だったという説があります。明智光秀の本陣説についても、解説板に一言付け加えることに問題はないと思います。それによって、一層関心が高まると思います。あまり硬い解説ではなく、親しんでもらえるような工夫を取り入れてほしいと思います。
(委員)
サントリービール工場内で、年に1回、山崎の合戦の慰霊祭をしていると聞いています。何時かの自治会総会の中で、山崎の合戦で亡くなられた人たちの慰霊祭を、サントリービールの中で営まれると聞きました。
(委員長)
そうですか。あの辺りは古戦場、あるいは「御坊塚」説のある所ですから、サントリーさんがしておられるのかもしれませんね。
(委員)
昔から続いているのなら、かなり古い行事かもしれませんね。
(委員)
サイン施設についてですが、現在の地図の遺跡分布図で例示されていますが、配布資料サインについての2ページの乙訓の古墳分布図というのは、古墳時代の地形図に古墳の位置を示すのはいいと思います。しかし、見学者は、どこに古墳があるのか分からないので、現在のどこに古墳があるのかを示す必要があります。たとえば、現在の主要な鉄道とか駅、幹線道路などを示した方が分かりやすいと思います。またその表現方法として、トーンを落として重ねるとわかりやすいと思います。
(事務局)
乙訓の古墳群を示す地形図には、ご指摘のありましたように、鉄道や駅、幹線道路など、位置関係が分かるものを重ねて表現するように考えております。表現方法は、立体模型にしたいと思っておりますが、写真や図を用いた平面的表示になるかもしれません。
見学位置を示す表現として、ワークショップで使われていたイラストなどを活用しながら、各解説板に、古墳のどの部分を見学しているのかが分かるように表示したいと思っております。
さらに、恵解山古墳の見どころ(解説板設置位置)がどこにあるのかを示した説明板や、トイレや駐車場が利用可能な施設がどこにあり、周辺の遺跡や(説明板の位置を含む)や推奨散策路コースが分かる解説板も必要だと考えています。
(委員長)
乙訓の古墳の1000分の1立体模型で計画されているものは、委員の研究成果を図に示されているのですね。二兎追って一兎を得ずのような結果にならないように、古墳時代の乙訓がどういう場所だったのかを示し、恵解山古墳が乙訓の古墳群の中でどういう意義があるのかということが分かるようなものに絞ってはどうでしょうか。案内図は、恵解山古墳とか勝竜寺城公園のような拠点的な史跡にパンフレットとして置くようにしてはどうですか。恵解山古墳や勝竜寺城公園への見学者が、近隣の史跡に行けるようになる。このように分けたほうがよいと思います。この両方を1枚の図にするのには無理があると思います。
(委員)
平城宮で、平城宮の説明と現在の主要道路を入れた図を重ねた説明板があります。恵解山古墳の場合、古墳群のところはフルカラーになり、現在の鉄道などの表現は墨にしてはどうですか。平城宮の場合、現在の道路などの表現は完全にトーンを変えて表現してあります。このような事例を参考に検討していただきたい。
(委員長)
一度平城宮の説明板を見学して、検討していただきたい。
他に何かありますでしょうか。どうでしょうか。
(委員)
ガイダンス施設がないということで、各地点に解説板を設置するということでしょうか。たとえば、小学校とかの歴史教育の一環でここを利用するということが多くなってくると思います。そういったときに、アズマヤあたりに、恵解山古墳の内容全体が分かるような説明板はできないのでしょうか。
(委員長)
また、それぞれの説明板の具体的な内容やデザインは、次の委員会で示していただくということにしたいと思います。それを検討していただいて最終的に決定していきたいと思います。
今の整備工事で、ちょっと気になっていることがあります。ずいぶん削られて痩せた残存墳丘に、かなりの盛土をして前方後円墳に復元していただいていますが、現在の地表面の上に、1年で墳丘盛土をした直後に、古墳の残存表面と現在の復元盛土とをなじます期間を置かずに植栽や葺き石などの整備をして完成することになっています。このように、一気呵成に整備工事を行っても、大雨などの自然気象や地震の影響を受けて土砂崩れや地滑りなどの懸念はないのですか。
墳丘の盛土工事については、このようなことについて、どのように留意していますか。
(事務局)
盛土工について、材料検査と試験施工を実施しております。試験施工は、現地で盛土材料に天圧をかけて締め固める度合いを物理試験し、その成果を基に適切な工法で盛土しています。どの強さで何回たたけば、最も強い盛土になるのかを確かめて、工事を進めています。材料を吟味して、強度を確かめています。
(委員長)
全国の復元例で、土砂崩れが起こったというような例はないのですか。
(委員)
あります。
(委員長)
古墳ではありませんが、鬼ノ城の土塁の崩落が思い浮かびます。そのへん、心配な点でありますので、十分検討して、適切な工法でお願いしたいと思います。
墓地への参道を利用して、第1段テラス面は車椅子の方でも周回できるのですが、第2段から上は、基本的に見学には入れないということですね。以前は、墓参道をまっすぐ抜けて、鉄製品埋納施設まで登ることが出来る構想を検討したことがありましたが、現在の案では第1段テラス面までということで、それより上には行けないということですね。
(委員)
車椅子の方は、第1段テラス面までしか行けないのですか。他のところは、見学してはいけないのですか。第2テラス面では、車椅子は通行禁止なのですか。たとえば、介助者が足の不自由な方をそこまで上げてあげれば、車椅子で見学できないのですか。
(事務局)
特別に通行禁止ということではありません。車椅子のままで介助者が付き添えば見学できるのが、第1テラス面の周回路だということです。先程委員長からありましたように、なんとか上まで行けないか検討してきましたが、墓地から頂部に上る経路に距離がとれないことから勾配がきつくなり、車でも登れない角度になりますので、断念いたしました。第2テラス面や墳頂部が車椅子通行禁止ということではありません。
(委員)
ここまではこうで、ここから上はこうだということは、きちんとした決まり事を作らないと最終的な形にならないと思いがちです。ただ、墓地の木々の検討でありましたように、墓地の木を切らないで現状のままにしておこうということを専門部会と委員会で検討してきました。それには、地元の意見として、最初は墓地が見えるのは困るという強い要望から始まりました。それが古墳の整備が始まって、周りがきれいになってくると、墓地そのものが丸見えになるのは困るが、大きな木が残るのは墓地の景観としても良くないだろうという意見も生まれてきました。このように、最初の条件が必ずしも整備が終わってからも普遍的な条件にはならないことがあります。先程の委員の意見から、そういうことを感じました。
今の段階では、日常的に不特定多数の方が墓地の中や側近のところまで入られると、気分的にはまだハードルがあると思います。そういったことから、第1テラス面まではだれでも入れるが、墳頂部まではだれでも入れる状態には見えない。あるいは、見学路の傾斜を緩くすると古墳の墳丘を削ることになるという問題もあります。そういったことから、こういう形にしましたが、これから後の利用方法を実際に見ていく中で、また日常的な管理を考えていく中で、地元の2つの自治会の皆さんと考えていくことを通して、利用法とかが少しずつ変わっていくことがあると思います。そういったことは大事なことですので、検討していくことが必要だと思います。たとえば、身障者の方々が団体で見学したいという要望が出た場合、墓地管理委員会と調整して条件などを説明した上で見ていただくようにするとか、そういったことも管理運営面で必要が出てくる可能性はあります。そういった事例が重なってくれば、対応を検討する時期が来るかもしれません。
恵解山古墳の場合、車椅子の方は第1テラス面だけという限定にはならないで、みんながそれなりに共有できる史跡公園にしていく必要があります。バリアフリーについて、西ヨーロッパの先進国を思い浮かべますが、その先進国でさえ日本鉄道のようにプラットホームと列車の車両の間に段差のない駅はありません。しかし、ウイーンの町並みの市電は、プラットホームはありません。足の不自由な方が乗降する時には、乗客が一度降りて助けてあげます。日本の場合、そういうところでないところから始まっているので、なんでも施設面を充実しようとしています。このように、整備された施設・構造の中で、利用方法を考えて安定的な活用をしていく必要があると思います。
委員のご意見を聞いて、恵解山古墳の保存整備において、地元の方々に、この古墳の整備事業を通じて何かを考えていただくきっかけになったことが、一番大きな成果だと感じました。
もうひとつ、サイン施設の関連です。実際に整備する古墳で、全ての内容を盛り込むことは間違いだと思います。観光情報センターが長岡京駅にあって、長岡天神駅には観光案内所があり、また勝竜寺城公園の管理棟など、拠点的な施設がいくつかあります。その拠点に何を置き、恵解山古墳の現地に何を置くか、機能を分けて検討することが必要だと思います。
そのほか、駐車場やトイレについてです。見学しようとする人は、ご年輩であっても半日かけて、若い人よりもしっかり歩かれます。トイレにしても、トイレがどこにあるのかがきちんとわかればいいと思います。地図を見て、公共のトイレがどこにあるのかが分かればいい。見る人・歩く人は、それを持って自分のペースで立ち寄るところを考えながら散策できます。これは大事なことだと思います。
古墳の現地ガイダンスはなるべく古墳の説明に重点を置き、この古墳の見学に来られた方には、この周辺にもこんな面白いものがありますよという説明は、最初の拠点施設に置き、観光などの市内の拠点施設には持ち歩きやすいパンフレットを置くほうが、より効率的だと思います。
(委員長)
恵解山古墳の整備が進んで次第に姿が変わってきますと、周りの方々の意識も変わってくるとともに、新しい問題がいろいろ出てくると思います。平成26年度に整備が完成し、公開されていく段階でもいろいろと意見が出てくると思いますが、それによって問題が改善されて、良いものにつくり上げていくようになればいいと思います。整備事業が完成して終わりにしないで、公開後も新しい問題に取り組んでいってほしいと思います。そういう意味でこれからは、恵解山古墳の保存と活用に取り組む「恵解山古墳を愛する人」の活動が重要になってくると思います。
教育長と教育部長からも一言ご意見をうかがいたいと思います。
(教育長)
本日は貴重な意見をいただき、ありがとうございます。委員の方々からお話しがありましたトイレの問題についてなど、地元の意見としても賛否あります。いろいろな観光資源所在地の近隣の方々の中には、見学に来てほしくないという意見もあります。長岡京市としては、「住んで良かった、訪れて良かったまちづくり」という観光宣言の中に位置づけ、地図の中に遊歩道的に街を巡っていただきたい。そう思うのですが、長岡京市は閑静な住宅街ということを売りにしていることがありますので、それに魅かれて住まわれる方にとっては、新たな道路開発や騒がしくなりそうな施設は受け入れがたいという意見も強くあります。見学に来られた方々が喧騒だけを残して帰られる。また帰られたあとにはゴミが残る。それを処理するのに、市民が納めている税金が使われるのは理解できないと強くおっしゃられる方もあります。
まちの活性化という面からは、あちこちのまちを見ていますと、人が動くまちというのがまちの活性化につながると思います。当然商工業の関係とか、直接自分に関わらなくてもまちのイメージとして、お金が落ちるとか、商業者の皆さんの場合は町にお金が落ちるということがあります。そういうことから市の税収が少しでも増えることにつながり、それをまちづくりとか動かれる方への奉仕に投資する。周辺におられる方に還元する。そうすることが、公共政策の意義であると思います。住民の方々は、それぞれにいろいろな意見があります。その調整機能をはたすのが行政であると思います。多数決という意味ではないのですが、より良い意見を調整しながら定食を作るのが行政の仕事だと考えています。可能な限り予算の範囲内で、皆さんの意見を尊重しながら、来られる方も、住んでおられる方も満足していただけるまちづくりを進めていきたいと思います。
(教育部長)
近々西山天王山駅が出来ますので、長岡京市南部の文化教育ゾーンという位置付けの中に、恵解山古墳があります。教育部局の中で恵解山古墳の整備が進められています。今後は、長岡京市の都市公団、特に観光資源として、また長岡京市は大河ドラマなどの関係で京都府北部とも連携して広範囲の中で進めてきています。そういった中に恵解山古墳、乙訓だけでなく、全体的に京都府に広がっていけるような中に、どういうかたちでPRしていけるか。平成26年度に整備が完成しますが、西山天王山駅についても、これから全国にPRしていかなくてはいけません。また恵解山古墳もその中の位置付けとして進めていければと強く思っています。
これからのことですが、この場所が無人のところです。今までも、近隣に小中学校がありますが、あまり人が通らないところでした。これから立命館ができますが、西側は人が多いのですが、反対側は夜は照明もなく暗い所です。整備されるところの管理運営や防犯面について考えていく必要があります。行政として、管理運営をどのように進めていくかということがあります。恵解山古墳の保存整備について、せっかく皆さんのお知恵をいただいて、地域の方のご協力とご理解のもとに進めてきたものを、すぐに傷つけられたりするかもしれないといったことを視野に入れて、管理運営や防犯の課題も検討させていただきたいと思います。
(委員長)
最後に、京都府文化財保護課の方、今までの議論をお聞きになってのご感想とご意見をお願いします。
(京都府文化財保護課)
地元の方々のご協力のもと、整備事業が進められています。
この保存整備事業は、文化庁の国庫補助事業として進めておりますが、国庫補助制度は、すべてのご要望に適用できるものではありませんので、ぜひともこうしたいということであっても出来ないことも出てきます。いろいろあるご意見やご要望の中には、出来ないものもありますので、ご理解いただきますようお願いいたします。とはいえ、この制度も時代とともに変わってきております。平成25年度から今計画していただいているものも、新たな制度になりますので、今まで出来なかったこともできるような内容があるかもしれません。特に説明板の関係になるかと思いますが、資料を出し合ってご相談に応じさせていただきたいと思います。
古墳復元模型のところで、ガラス繊維強化セメントのことがありましたが、他市で秋以降に護岸遺構をガラス繊維強化セメントで作られる計画があるようです。どういう仕上がりになるのかなど、参考にしていただければと思います。
(委員長)
京都府下の市町村でいろいろな文化遺産の保存整備・活用のいろいろな例があると思います。そういった情報を教えていただければありがたく思います。
(京都府文化財保護課)
地形模型については、他市が作られ、恵解山古墳より1年早く出来上がる計画がありますので、その出来高がどうかというのも参考になると思います。そういった事例も含めて検討していただきたいと思います。
(委員長)
教育局の方、ご意見やご感想をお願いします。
(乙訓教育局)
恵解山古墳に隣接しております長岡第三中学校とか第八小学校を含めて、長岡京市教育委員会とご相談させていただいて、何か活用できる方法などを含めて考えていきたいと思います。また、向日市や大山崎町など周りを含めた乙訓全体として、乙訓教育局として考えていきたいと思います。こういった取り組みの際には、ご協力いただきますようお願いいたします。
(委員長)
最後に、事務局から付け加えておくことや連絡事項などございますか。
(事務局)
今後の工事関係で、古墳の南側の水路の改修工事を予定しております。久貝の自治会や近隣住民の皆さんとご相談しながら進めていきたいと思います。また、墓地の北側の法面の肩の部分に根株を残しております。この墓地との境のところに生垣の植栽を計画しておりますが、残した根株の位置と重なるものもありますので、墓地管理委員会とご相談させていただくことがあるかもしれませんので、その際には、ご協力くださいますようお願いいたします。
このほか、地域の方々とご相談しながら進めていくことになると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
(委員長)
ありがとうございます。
それでは、時間も大分超過しておりますので、本日はこれで終わりたいと思います。今日はずいぶん色々な意見が提案され、有益な委員会が持てたと思います。これらの意見を参考にして、今後も整備事業を進めていただきたいと思います。私たちは、いろいろな立場がありますが、恵解山古墳の保護と活用を目指して、積極的に意見を出していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
皆さん、今日は長時間にわたりありがとうございました。
<終了>