ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

現在位置

教育委員会令和5年3月定例会会議録

  • ID:13396
教育委員会会議録


1.日時

令和5年3月29日水曜日 午後3時から午後4時26分


2.場所

市役所 第一委員会室

3.出席者

教育長 西村文則

委員 福澤秀夫

委員 京樂真帆子

委員  大下和徹

委員 盛永俊弘


4.出席説明員

教育部長、教育総務課長、教育総務課主幹、次長兼学校教育課長、学校教育課総括指導主事、学校教育課主幹、生涯学習課長、生涯学習課主幹、文化・スポーツ振興課長、文化財保存活用課長、中央公民館長、図書館長、教育支援センター所長、北開田児童館長

事務局職員 教育総務課 課長補佐

5.傍聴者

9名


6.開会

(教育長)

開会を宣言する。



7.前回の会議録の承認

承認・署名


8.教育長諸報告

新型コロナウィルス感染症について。本市の児童生徒の新規感染者は、1月は176人、2月は28人、3月は24日までに9人と大きく減少した。

先日行われた本市・小中学校の卒業式は、文部科学省、府教委から発出された「卒業式におけるマスクの取り扱いに関する基本的な考え方」を踏まえて実施。4月1日以降は、3月17日付けの文科省通知「新学期以降の学校におけるマスク着用の考え方の見直し等について」に基づいて対応することとし、3月24日、市教委・学校から保護者あてにお知らせを発出したところである。

2月18日(土)には、本市の文化財保存活用地域計画が文化庁に認定されたことを受けてシンポジウムを開催。参加いただいた皆さんとともに本市の歴史文化を活用した今後のまちづくりについて考える機会となった。また、長岡京市小学校美術展を18日・19日に開催し多くの方に見に来ていただいた。

20日(月)には乙訓教育委員会連合会研修会が開催され、委員の皆様にもご参加いただき、國學院大學の杉田洋教授から「これからの時代に求められる資質・能力と教師力・学校力 ~日本式教育の良さを大切にして~」と題した講演をお聴きした。

また、同日は市議会3月定例会の開会日であった。教育委員会関係では、27・28日の一般質問、3月3日(金)の文教厚生常任委員会、10日(金)の予算審査常任委員会第3分科会などを経て、特別教室の空調整備に係る補正予算や、長岡第四小学校の改修に係る予算、放課後児童クラブの情報通信環境を整備する予算など新規事業を含めた5年度の当初予算を認めていただいた。

4日(土)には、長岡京市PTA連絡協議会理事会が4年ぶりに対面で開催された。コロナ禍で制限がある中、役員の皆さんには大変苦労しながらPTA活動を進めてきていただいてきただけに、復活を機に活動がコロナ以前に戻ることを期待している。

8日(水)には校長会議が開催され、来年度に向けて情報を共有した。そして、15日(水)には中学校、20(月)には小学校で卒業式が行われた。中学3年生は全国一斉の休校中に入学した、コロナ禍の影響を大きく受けた学年であり、答辞にも学校に通えない辛さや活動に様々な制限があったことへのもどかしさ、それでも前を向いて仲間とともに頑張ってきたという内容があり、式歌での合唱も含めて、心を打たれるところがあった。24日(金)には小中学校で修了式が行われた。

また、12日(日)には、長岡京展の表彰式が開催され、21日(火)には、バドミントン女子のトップリーグへの昇格を果たしたプレンティ・グローバルリンクスとのホームタウン協定式が開催された。

そして、23日(木)には、市内14小中学校がKES(環境マネジメントシステム・スタンダード)学校版の認証を受けることができた。これからも、各学校が教育活動全体を通して、環境保全や環境の改善に向けて、環境問題について主体的に学び、自ら考え行動する児童生徒の育成に取り組んでいく。


9.議案

・第3号議案「長岡京市立の小学校及び中学校の教職員の勤務時間等に関する規則の一部改正」について


(教育長)

 提案理由の説明を求める。


(事務局)

令和5年度からの地方公務員の定年引上げに伴い、新たに「定年前再任用短時間勤務制」が導入されることなどから、本規則の関連部分について所要の改正を行うものである。改正内容としては、従前の「再任用短時間勤務職員」を「定年前再任用短時間勤務職員」に改めるもの。


(教育長)

質問・意見等はあるか。

(意見なし)

 (教育長)

第3号議案に賛成の委員の挙手を求める。


(全員賛成)


(教育長)

全員賛成。よって第3号議案は承認された。


10.協議事項

・児童生徒の健康診断について

(教育長)

この件については、11月22日に「子どもたちの安心できる健康診断を目指す会」から請願の提出があったことを受け、12月27日の定例教育委員会で、請願者からの趣旨説明を受けた。

請願者に要望事項を確認したところ、①下着を含む着衣での健康診断を実施すること。少なくとも選択できるようにすること、②共通理解ができるよう児童生徒・保護者に対し事前に丁寧な説明をすること、③着衣での健康診断を乙訓医師会に要望すること、の3点であったので、それぞれについて協議を行ったところである。

そして、1点目については、児童生徒や保護者等から意見を聴取することや、高校等の取組を参考に工夫の余地がないかなどを引き続き検討することとし協議は継続すること、2点目については要望を受け止め児童生徒・保護者に対し丁寧な説明を行うこと、3点目については健診方法は医師会が決めているわけではないため要望ということはそぐわないが、医師会と意見交換は行うことになった。

請願の採択・不採択については、1点目についてPTA等も含め意見を聞いてはどうかということになり、来年度の実施に間に合うぎりぎりまで、子どもたちにとって良い方法を検討し最終結論を出すことになった。12月定例会以降、担当課が児童・保護者等への説明、意見聴取、他市等における工夫の把握、医師会との意見交換を行ってきたので、それを報告してもらってから協議にはいりたいと思う。

まず担当課からの説明を求める。

 

(事務局)

前回、12月27日の教育委員会定例会の協議の中で、いくつかご意見をいただいた。「この間の対応」、「子どもや保護者等からの意見」、「乙訓医師会との意見交換」など、内容やその対応について説明する。


【前回からこの間の対応について】

「健診の意義や目的について、子どもや保護者への丁寧な説明」の対応について。

「健診の目的」「脱衣の必要性」「健診時のプライバシーの具体的な配慮」といった、丁寧な説明ができていない反省が担当課としてもあった。

前回協議の中で、「こういったことを正しくお伝えした上で、実施方法に係る意見を聞いてはどうか」といった意見をいただいたので、担当課で、資料1、「【Q&A】学校の児童生徒の健康診断について」の資料を1月に作成したところである。これは、「学校健診の目的や役割、健診方法やその理由」といった学校健診に係る疑問に答える形「Q&A形式」とし、子ども・保護者だけでなく、学校の教職員や地域の方等への説明資料とした。理解を得る方法として今後、専門家の講演等については、ニーズがあれば、検討したいと考えているが、まずこの【Q&A】の資料を基に、学校では2月に入ってから、各校の養護教諭から全児童・生徒に対して、子どもの発達年齢に合わせて、「健診の目的や役割」「不安や心配事がある場合は相談する場があること」などを説明し、子どもの感想や意見を聞いた。

併せて、保護者からもご意見をいただけるよう、こちらのQ&A資料を添付し、「内科健診の実施方法に係る意見聴取」の依頼通知を2月の中旬に小1から中2までのすべての保護者に配付した。

さらに、学校では、PTA役員や学校運営協議会等にもご意見をお聞きしたところである。 

 

【子どもや保護者等からの意見について】

・子どもの意見

養護教諭からの健診の意義や目的などの説明を聞いた後、子どもの様子(その場の声や反応)について、学校から報告があった内容である。子どもは、当たり前のこととして捉えているのか、多くの学校で特に反応が無かったとのことであった。


≪小学校の低学年・中学年≫

・脱衣で行う理由について、「当たり前やん!」、「上着を脱ぐのは恥ずかしいけど、ちゃんとカーテンしてあるやん!」「お医者さんにしっかり見てもらわな!」

・「ちょっとはずかしい」、「ええ、ぬぐの?」という声があったが、その後、体のために健診を受けることを理解していた。

・「ついたてがあっても嫌やなぁ」と女子がつぶやいていた。

・感想文では、「大切さがよくわかった。私たちの安全を見守ってくれる養護の先生や病院の先生がいてよかった。お医者さんがちゃんと聞けるようにするから服を脱ぐんだなと思った。安心して健診が受けられるようにしてくれているんだなと思った。服を脱ぐことがいやな人のことも考えてくれているんだなと思った。」

・「養護の先生は、体重とか言わないように気遣ってくれているんだなと思った。」

・「改めて健康診断の意味を知れてよかった」「安心して受けられるように工夫してくれているのがうれしい」


≪小学校の高学年≫

・健康診断の意義のところや、パーテーションといった配慮のところでは、話をうなずきながら聞いている児童が多かった。

・ただ、「内科健診で、男の先生(医者)にみられるのがいや。」、 「健診で下着を脱ぐ理由がわかって納得できた。事前に相談したい。できるなら脱ぎたくない。」といった意見もあった。

・「いつも個室だし嫌じゃない!」と数名が話していた。

・「中学でも同じ対応」と説明すると、少し安心した様子が見られた。


≪中学校≫

・多くは特に反応がなかった。

・「でも、嫌やなあ」「長岡京市だけなら嫌やな」と言っていた女子がいた。

・また、「ニュースでやってたやつやな。」「なんで上半身が裸なんかってことやん」と生徒同士で内容を交流していた。

・「生徒同士のプライバシーは守れるとしても、男性の学校医に見られるのが嫌な人がいることが問題になっているんじゃないの?」

 

・保護者の意見

意見聴取は、できるだけたくさんのご意見をいただけるよう、匿名でも可能なように学校を通さず、直接教育委員会にメールやFAXでご回答をいただくようにした。今回、60件の意見をいただいた。これは、全体の約1~2%ぐらいの数。

今回いただいた意見は自由記述としたため、「着衣」か「脱衣」か、といった2択の聞き方はしていない。着衣を希望するご意見が38件、脱衣のままでいいといったご意見が16件あった。ただし、この中には、とにかく着衣で無ければだめだといった意見だけでなく、同性の医師であれば脱衣も可など、条件付きで回答されているものもそれぞれ含まれている。また、同性-女性医師での対応を求める意見は22件あり、盗撮の懸念についてのご意見が11件あった。

ご意見の中で、いくつか特徴的なものを抜粋して紹介する。


≪着衣を求める意見≫

・キャミソールやノースリーブなど 薄手のインナーを着て健診は可能だと思う。

・体の痣やその他の疾患も下着で隠れる範囲以外で見つけられるはず。

・医学的な観点から脱衣による健診の重要性を説いたとしても、実際多感な年齢の女児たちが、学校で知らない男性医師の前で上半身裸になるのは心の傷の方が大きいのではないか?

・LGBT問題も大きく取り沙汰される昨今、女子生徒だけでなく男子生徒も健康診断中に裸を強要されることは大変辛い体験として心に残ってしまう。

・端的に以下の説明をしては?『今まで通り脱衣で診察したいと考えています。その理由は時短と正確性のためです。 診察時間を変えずに着衣で診察すると、正確性が減ります。正確性を担保するとなると、診察時間を増やす必要があり、市が支払う費用が増えます。もしそれが許容されるのであれば、その方針でいきます』

・思春期におけるプライバシーの保護も同様に必要不可欠と考えます。

・工夫をすることで、疾病、虐待等の早期発見とプライバシー配慮を両立していただきたいです。

・案としては、出雲市の体操服(首掛け&腰にゴムを巻き、体操服を身体に密着させる)というのが現実的にコスト、時間掛からず良いのでは。また、聴診時には体操服の上からか、もしくは下から手を入れて聴診器をあてる方法はいかがでしょうか。

・絶対に脱衣する必要があるのであれば、女子は女性医師にして欲しい。女性医師さんが確保出来ず、男性医師で健診を行うのであれば、学校で受けずに親が病院へ連れていき結果を提出するという方法が選択出来るようにして頂きたい。

・盗撮の手口も巧妙です。自衛するしか方法はありません。

・今の時代、色んな盗撮機械がある。

 

≪従来のまま脱衣健診を求める意見≫

・私は子どもの健康は何ものにも代え難いものであり、脱衣での健診を行うべきだと考えております。一部の感情的な意見に流されることなく、確実な健診をこれからも宜しくお願いします。

・一年生から説明の通り実施されているのであれば、想像していたよりしっかり配慮されているんだなと思いました。

・首からタオルを下げるだけでも子どもの心理的負担は緩和されるのではないでしょうか。診察の邪魔にもならないと思います。

・このプリントに記載されているように、内科健診で子どもに疾病がないのか正しく診ていただくために、脱衣するのは当然のことと思います。逆に着衣のまま健診し、疾病を見落とし命を落とすようなことがあれば、どうなるのでしょうか。学校では裸を他の人に見られないように配慮されていると聞きます。年頃の子どもたちですし、様々な思いを持っているのはわかりますが、健診は正しく行うのが当然なのではないでしょうか。

・何か心配があるお子さんは、保護者が直接、医療機関に足を運べばよいのではないかと思います。

・盗撮については、ペンなどの持ち物を学校のものを使っていただき、盗撮カメラが持ち込まれないようにご配慮いただければと思います。

・健診は、身体の成長面での問題の早期発見・家庭環境での問題の手がかり(例えば虐待等)を得る意味でも大切な役割を果たしている。

・着衣での健康診断にリスクがあることが分かっていながら、もし、着衣での健康診断に切り替えるのならば、次は脱衣での健康診断を求める請願が出されても不思議ではない。

 ・児童・生徒が自分の体に不調や異常があることを知ることのできる機会を保護者が奪ってよいものか。将来子どもが発見が遅れたことにより重症化した際に、保護者は子どもにどう説明するつもりか。

 ・すべては子ども将来のためであるはずの健康診断で必要とされている行為を否定すること自体に違和感しかない。

 ・盗撮等の犯罪行為自体はあってはならないが、それは、健康診断の脱衣が問題ではなく、行った医師や教師等の人間としての素質の問題である。

 

また、医師である保護者からも意見があった。

・医者としての視点で考えると、小学生の間は、保護者から虐待を受けている子どもの発見のためにも、上半身裸で健康診断をしたほうがいいのではと思っています。中学生以降は体も大きくなりますし、親も反撃されることを考えたらそれほどひどいことはないかと推測しますが、小学生までは火傷やあざなどを発見できる環境がよいと思います。

 どうしても保護者の理解が難しければ、男子生徒は男性医師が、女子生徒は女性医師が健康診断せざるを得ないかと思います。保護者も自分は虐待していなくても、そういう親がいることも理解し、他の子どものためにも上半身裸での健康診断に同意してくれればよいなと思います。


他にも、

・学校で受ける「健康診断」を受けたくない。そんな方もいるでしょう。学校で「健康診断」を受けられる環境を整えている。それに応じる応じないか?応じない場合は、どこか医療機関で受けてくださいと伝える。ただし、自己負担でお願いしますと添えて伝えればすみます。学校は価値を提供しており、その生徒、保護者が考える、まさに社会教育です。

といった、意見があった。

 

・PTA・学校運営協議会の意見

≪PTA役員≫

・児童やその保護者の心配や不安な気持ちに寄り添う面が見られた。

・女子は女性医師に診てもらえないか。

・健診の目的や脱衣の理由をはっきり子どもに示すことは安心につながる。

・本来診ているところを事前にしっかり説明することが大切である。

・どうしても…という子どもには寄り添ってほしい。

・インターネットで情報が拡散し、当時は少し不安に感じていた。「Q&A」を読んで、改めて健康診断の大切さを理解した。子どもにも学校で指導してもらってよかった。

・脱衣は、医療行為として当然のことだと思う。

・体の状態、骨格、栄養状態、虐待など健診でみることが必要であれば、脱衣は仕方がない。脱衣が嫌ならかかりつけの病院で個人で健診をしてもらえばよい。

・「小児科などの主治医のもとで受けた結果を、提出する制度を取り入れてはどうか」

・そもそも健診というのは、「はずかしい」というより自分の命や健康が優先されるべきものではないのか。このように丁寧に説明して、理解を得て……という方向性でいいが、学校教育の中で起こっている様々な問題は、いきすぎた「個人主義」のように思われる。「集団として」という視点が重要ではないだろうか。学校というシステムが正常に機能するためには、「集団」の中で我慢しなければならないこともある、と子どもたちに教えることも大事なのではないか。

・子どもの話を聞いて心配したが、今回の一件で情報がオープンになったことは良かった。

・今まではなかったのであれば、毎回このような説明があれば良い。嫌がっている生徒には配慮が欲しい。 体の異常(健康面)だけではなく、虐待の有無を知るためのものであることがわかる説明が、明確にされていてもいいと思う。

 

≪学校運営協議会≫

・少し前、自分たちの健診と比べるとプライバシーが守られた健診になっていると思う。

・昔のように全員が並んでいるのではないことがわかって、パーテーションで仕切り、配慮していることがわかってホッとした。

・盗撮の事件があったが、やはり先生(医師)を信用してきっちりと診てもらうのが大事だろう。

・LGBTQへの配慮の視点も忘れてはいけない。

・いろいろな意見があって、一つにまとめるのは難しい。

・子どもたちの健康と安全のためには妥当だと思う。

・学校の健診で側弯がわかり、良かったという話を聞いている。服の汚れや体重などから虐待を疑ったり家庭の状況を伺うためのものとなる。

・脱衣については、健診が医療行為であることが前提になる。今回の一件で情報が明らかになったことは良かった。事前に説明資料を配付するのが良い。

・下着をとるということを強制する必要はないのでは。医者の判断に任せるしかないのでは。

といった意見があった。

 

【プライバシーの工夫の範囲】

まず、前回、「脱衣」「着衣」の捉え方が人によって違っていたため、言葉の整理をさせていただきたい。

担当課では、「着衣」とは、(下着を取っていても)Tシャツ・キャミソールや体操服を着た状態や、ブラジャーやスポーツブラなど下着を着けた状態を指す。

現在一部の学校で対応している「ラップタオル(マント型、ポンチョ型、シャワータオル)」は、「脱衣」での健診と扱っている。

学校によっては診察直前までは、このラップタオルで胸部等を隠し、医者の前でスナップボタンを外して受診といった対応もしているところである。

前回、高校など、他ではどういう対応をしているかとのご質問があった。

府立高校でも、京都府教育委員会が昨年12月議会において、「正しく診察するためには原則として脱衣による診断が必要」と、従来通り脱衣での実施方針を維持することとされたが、現時点においては、各校ばらつきがあると聞いている。

また、京都市においても、健診の在り方について、12月に「上半身脱衣での健診を原則とする」といった方針が出されたが、新聞報道によると、先日、京都市教育委員会と京都市学校医会が、新年度を前に、検診等の留意点をまとめた通知を学校に発出し、「上半身脱衣を基本としつつ、胸部を隠す工夫等の配慮を行いながら対応する。」とし、「タオルや下着を着用する場合は、検診に支障が無いよう、すそを上げるなどの対応を行う」といった着衣での対応も示された、とあった。

本市においても、前回、「正確な健診ということでは脱衣が必要だが、プライバシーに配慮した工夫ができないか」といったご意見があった。

現在、本市でも、診察直前までバスタオルや自分の衣服で胸部を隠したり、先ほどのラップタオルを着けて、医者の前でスナップボタンを外して受診するといった配慮はしているところである。

また、前回の協議時にご意見にあった、金太郎のように前を隠すタイプのものとして、タオルにひもをピンで付けたものを「エプロン型タオル」とよばせてもらう。

これを、診察前に着用して、バスタオルやラップタオルを肩にかけるなどして、診察時には医師の前で、下の片方のクリップ等を取って胸部の聴診・視診を受けることができる。また、背部の診断時は前を隠したまま、脊柱側弯症の肩のライン等を確認することができる。

健診時の見落としが無いよう、正確に適切に診察・検査をするため、脱衣での健診は前提となるが、こういったものを利用することで、露出が最小限となり、子どもや保護者からご意見もあった「恥ずかしさやプライバシー」に少しでも配慮できないかと考えている。

 

【乙訓医師会との意見交換について】

次に、前回協議でご意見のあった「乙訓医師会に見解を聞く、どのような方法なら実施が可能かを教えてもらう」ことについて。

今回の件を受け、新年度の学校健診について、保護者や子どもたちのみならず、乙訓医師会や学校医の先生方には、大変ご心配をおかけしてきた。乙訓医師会には、子どもや保護者の方に安心した形で実施するためには、市と乙訓医師会の意思疎通は欠かせないため、この間の経緯の説明と本市の考え方についてお伝えさせていただいたところである。

この間、乙訓医師会内の学校保健委員会において、新年度の学校健診について検討がなされ、正式には4月の理事会承認をもって乙訓医師会の公式見解となるが、大まかな方向性についてお聞きしたところである。その内容を申し上げると、結論としては、

①「正確な健診を行うためには上半身脱衣を原則とする必要がある」という従来の基本方針に変更はないが、配慮は必要と考えている。

また、意見として、

②現在でもプライバシーに配慮した健診が行われている。

③下着を着けた状態や、中に手を突っ込む形では正確な聴診は困難。

④エプロン型タオルであれば聴診時に持ち上げてもらえば支障はない。(皮膚の状態や胸郭の診断については、視診も必要)

⑤学校健診で側弯を指摘され、X線検査の結果、専門医療機関に紹介するといったケースがほぼ毎年ある。

またその他として、

⑥上半身脱衣での健診と盗撮の問題を結びつけられるのは大変遺憾である。

⑦健診の目的を十分説明した上で、受けたくない保護者、生徒については受けないという選択も考えられるのではないか。

といった、学校保健委員会としてのご意見をいただいたところである。

 

今回、保護者からいただいたご意見の中にも、医療行為であっても「異性の医師に裸を見せること」に対する拒否感が強くあった。

本市としては、過去にも同性の医師-女性の医師に診て欲しいといった声もあったことから、市教委から乙訓医師会に「各中学校の内科医の内、1名を女性としてほしい」と依頼したところであるが、「趣旨は理解できるが、医師会内に女性医師が少なく、今の状況下では派遣することが難しい」と回答いただいており、女性医師での対応は、現状では現実的に困難ではないかと考えている。

 

【その他の対応について】

前回の教育委員会定例会で説明した国の対応についてであるが、「国において、科学的根拠に基づく、統一した基準といったものは示されていないことが、地域や学校によって健診方法が異なることになり、混乱を招く要因にもなっているため、国レベルで対応してほしい」と説明した。

今回その対応として、「全国都市教育長協議会」「京都府都市教育長協議会」として、「内科健診の実施方法にかかる国レベルでの科学的根拠(エビデンス)に基づく見解及び統一した基準の整備」を要望事項として掲げるよう、1月に、本市から提案したところである。

 

【今後に向けて】

次年度以降の健康診断については、ここでの協議結果等を踏まえ、保護者宛ての通知を配付し、周知した上で、新年度の健康診断を実施していきたいと考えている。

担当課からの説明は以上である。

 

(教育長)

ただ今の報告に関して、質問等はあるか。

 

(委員)

今の説明における「脱衣」について。ラップタオルやエプロンタオルを用いるが、「脱衣」ということでよいか。

 

(事務局)

医師に胸部の視診を受けるという意味で「脱衣」と定義している。

 

(委員)

Tシャツやノースリーブの下着を着用する場合は「着衣」か。

 

(事務局)

そのとおりである。

 

(委員)

女子児童・生徒は女性医師に診てほしいという意見があったが現状では難しい、とあったが、その点についてもう少し詳しく説明してほしい。

 

(事務局)

令和3年3月10日に、市教委から乙訓医師会へ依頼文を送っている。内容としては、「特に、思春期の女子児童・生徒は脱衣での健診にストレスを感じていることから、各中学校に内科医が1名入るように学校医の推薦をいただけないか」というものである。医師会も、依頼の趣旨は理解してくれたが、現時点では女性の内科医が少ないため、各中学校1名の推薦は難しいとの回答であった。

 

(委員)

「脱衣」と「着衣」の定義について。エプロンタオルを使用する場合に、タオルを上げず、下から聴診器を当てて心音を聞くのは「着衣」ということか。

 

(事務局)

聴診だけでなく、胸部の異常を見つけるには、タオルを上げて視診する必要がある。タオルを上げないものは「着衣」であるという整理。

 

(委員)

バストトップを出すのが「脱衣」で、出さないのが「着衣」ということか。

 

(事務局)

今回の言葉の定義としては、そのとおりである。

 

(委員)

女性医師の件については、日本全国の傾向である。医学部に進学する女性が少なく、診療科では眼科と耳鼻科が多いそうだ。今後も、女性医師の推薦依頼は継続的に行うということでよいか。

 

(事務局)

継続的に行うが、女性医師の割合に変化のないうちに行っても結果は変わらないと思われるため、頻度はその時の状況に合わせてということになる。

 

(委員)

乙訓地域だけの問題ではなく、日本全国で取り組んでほしいと思う。

 

(委員)

ラップタオルやエプロンタオルの準備についてはどのようなイメージか。児童生徒、保護者がそれぞれ準備するのか、学校でするのか。

 

(事務局)

ラップタオルは、水泳の着替えに使用するためほぼ全員が持っている。

エプロンタオルは、今回用意したものは、タオル、ループ紐、安全ピン、ダブルクリップで作っている。学校で用意することも可能であるが、共用を避けたいという意見が出るようであれば、各家庭で用意いただくことも可能ではないかと考えている。

 

(教育長)

それでは協議に入る。

継続協議となっていた要望の1点目、「下着を含む着衣での健康診断を実施すること。少なくとも選択できるようにすること」について協議を行った後、請願の採択・不採択を決定したい。

要望の1点目について、意見を問う。

 

(委員)

エプロン型タオルは、プライバシーに配慮されている。定義として「脱衣」と呼ぶが、この着用によってできるだけ抵抗感を減らしてもらう、ということでよいのではないか。

 

(委員)

子どもたちの不安や嫌がる気持ちについては理解する。一方、医師側からすると、限られた時間の中で大勢の子どもたちの診察を行う必要があること、見落としのないよう診察を行うことへの責任もある。「脱衣」の中で子どもたちに配慮した対応を行おうとすることは理解できる。

 

(委員)

PTAや学校運営協議会等の意見も聞き、本当にいろんな意見があると感じた。原則「脱衣」としながらも、配慮は重要である。とにかく「脱衣」、という考え方は現状にそぐわないと思うので、このような保護具のようなものの提案は実現の可能性があると思っている。今回のエプロンタオルであれば、タオルは各家庭で用意し、紐等は学校で用意することもできるのではないかと思う。

 

(委員)

12月の定例会以降、事務局を中心に児童生徒、保護者、医師会等の意見を十分に聴取してもらい、経過がよく理解できた。

正直難しい問題だと思う。個人的にも、賛成の立場や反対の立場からの意見をもらった。学校健診という目的に照らし、どういう手段が一番良いのかというこの議論のきっかけとして、12月の説明があってよかったと思う。実際には、現場で行われていることとかなり重なっていると感じた。本日事務局からなされたラップタオル等に関する説明も重なっている。会の意向も尊重しながら、多方面のヒアリングを整理されたものであり、医師会の意見も、エプロン型タオルの着用は支障がないような趣旨であった。二項対立ではなく、重なった意見だと思う。

人権尊重、子どもたちの意向、自己決定、自己選択というのが時代の流れである。事務局の説明は、一律的に強制するものではなく、選択的な要素も含め、人権を尊重した脱衣、プライバシーを考慮した脱衣ととらえた。

 

(教育長)

意見も尽きたようなので、要望の1点目についてまとめる。

原則脱衣での実施とするが、プライバシーへの配慮として希望者はエプロン型タオルで実施するものとする、ということでよいか。

 

(全員賛成)

 

(教育長)

では、1点目の要望「着衣での健診」については、原則脱衣での実施とするが、プライバシーへの配慮として希望者はエプロン型タオルで実施するものとする。1点目の要望については結論が出た。次に、請願の採択・不採択に関わって、意見を問う。

 

(委員)

請願は「着衣」というものであった。今回、脱衣を原則とし、エプロン型タオルでもごく短い時間は脱衣となるが、内容としては要望にかなっているのではないか。

 

(委員)

病気で医師の診断を受ける場合、完全な脱衣となることもある。定期的な学校健診において、児童生徒の心情を理解する必要もあるが、正しく健診をするために原則脱衣での健診を行うということを児童生徒や保護者に理解をいただく必要がある。

 

(委員)

採択・不採択という行政的な用語を使うと齟齬が生じるが、請願者の説明内容と事務局の提案に大きな差はないと思う。今回の内容を脱衣と呼ぶが、実態はほぼ同じと考える。不採択という言葉を使うとシャットアウトしたように聞こえるかもしれないが、考えている内容はほぼ同じである。

また、乙訓医師会への要望という形にはならないが、今後も女性医師の校医推薦の依頼は継続されるということなので、医師会との意見交換の場をもってもらいたい。

 

(委員)

本市の14校で対応がバラバラであったことについて、今後は統一的な視点で丁寧に説明することが大前提である。もうすぐ4月に入るが、今日の議論を踏まえたうえで、児童生徒、保護者、教職員にもわかりやすい説明をしてもらいたい。医師会とは引き続き協議してもらえたらと思う。

 

(委員)

本日の内容であっても、受け入れ難い人が一定数いると思われるので、その対応を考えねばならない。個別に対応することは一つ議論にいれていかないといけないのではないか。エプロン型タオルでの対応でも受け入れられない場合、個別の対応が必要では、ということを申し上げておく。

 

(教育長)

請願の中の3つの要望の1つ目「下着を含む着衣での健康診断を実施すること。少なくとも選択できるようにすること」については、今結論が出た。

要望の2つ目「共通理解ができるよう児童生徒・保護者に対し事前に丁寧な説明をすること」については、前回「要望を踏まえて、子どもや保護者に丁寧な説明をしていくこと」となった。

要望の3つ目「着衣での健康診断を乙訓医師会に要望すること」については、前回「健診方法は市教委が定めているため、医師会は要望の対象とはならない。意見交換はしていく」となり、この間、意見交換が行われた。

それでは採決に入る。請願を採択することに賛成の委員は挙手願う。 

 

(挙手なし)

 

(教育長)

賛成なし。よって請願は不採択とする。

請願としては不採択ではあるが、申しあげたとおり、子どもや保護者へ丁寧な説明をすることは今後も行っていくし、医師会の決定ではないので医師会への要望ということにはならないが、引き続き意見交換は行い、女性医師に来ていただけるようなお願いもしていく。

1点目の着衣での実施ということについて、正確に健診するという目的に照らしたとき、原則脱衣での実施ということになるが、子どものプライバシー、心情、人権を考えていく中で、エプロン型タオルやラップタオルなどで対応していく。これまで学校によってバラバラであった対応を統一していく。それでも難しい場合は個々に配慮していくものとする。


11.報告事項

(教育長)

「長岡京市教育委員会事務決裁規程の一部改正について」報告願う。

 

(事務局)

「個人情報保護法」の改正に伴い、令和5年4月1日以降は「長岡京市個人情報保護条例」は廃止され、「個人情報保護法」及び「個人情報保護法施行規則条例」に基づき個人情報に関する事務を行うこととなる。

これまで、保有個人情報を提供する場合は、個人情報保護審議会に諮問・答申を受け目的外利用や外部提供をしていたが、4月1日以降は実施機関において目的外利用の承認を決定することとなるため、目的外利用の承認について事務決裁規程に加えるものである。

 

(教育長)

ただ今の報告に関して、質問等はあるか。

 

(質問なし)

 

(教育長)

了解いただき次に進める。


12.行事・会議結果報告

(事務局)

行事・会議結果(2月16日~3月29日)について報告。

 

(委員)

2月20日の乙訓教育委員会連合会研修会について。子どもたちと接する機会や時間を増やし、子どもたちと対等に接し、ともに考えともに悩む、その姿勢が大切である、と改めて認識したが、これができるには教員が良い意味でのゆとりを持つ必要がある。働き方改革を進めていく必要があるし、学校の管理職、保護者、教育委員会で取り組まないと難しいと認識した。

 

13. 次回定例会までの行事・会議予定

(事務局)

行事・会議予定(3月30日~4月19日)について説明。




14.意見交換

(委員)

昨日の新聞記事に、長九小の5年生約70人が、三菱ロジスネクスト社の工場見学をさせてもらったとあった。Withコロナとなり、企業訪問、職場体験もできるだけ復活させてほしいと思っている。工場のようにモノづくりをされているところでは、品質管理、オペレーションシステムなど、勉強になることが多いと思う。受け入れてもらえる企業、職場、お店があれば積極的にお願いしたい。

 

(委員)

旧庁舎のアートイベントは、参加者8100人程度とのことであったが、もっと多かったのではないかと思う。長岡京市に才能豊かなアーティストがおられることに感動したし、アートの力を思い知ることとなる良い企画だった。

文化財について。発掘調査は、次年度も都市開発や道路の拡張工事に伴っての調査が行われ、長岡京の五条条間小路が出てくるだろうと考えている。コロナが落ち着いたとはいえ、まだまだ感染には注意が必要なため、発掘調査が安全に行われるよう留意してほしい。また、発掘の成果については途中経過も含めて広報してほしい。発掘調査だけでなく、古文書や仏像等の調査についても、引き続き行ってほしい。

調査、研究を経て位置づけが行われるが、その評価により失われてもよい文化財があるはずもない。昨年、長岡京市文化財保存活用地域計画が策定された。市制50周年を通過点とし、次の50年を見据える計画だが、引き続き、50年後、100年後、200年後と人間が亡くなった後も遺されるものを大切にするよう努めてほしい。

 

(事務局)

今年度、文化財保存活用地域計画をとりまとめた。歴史文化でつながるまちづくりを「めぐる」という言葉をキーワードとした。このたび、シンポジウムを開催し、多くの来場をいただいたが、そのアンケートでは、文化財の重要性を再認識したという意見が多くあった。

市民には、文化財を保存していく義務もあるが、活用していく権利もある。先人から大切に引き継いできたものを、次世代に伝えていくことに今後も取り組んでいきたい。

 

(委員)

先日の小学校卒業式は、卒業証書を一人ひとりに手渡し、合唱や、議員も含め地域からの出席者もあり、充実した時間となった。今回卒業する6年生は、3年生の終わり頃からコロナ禍を過ごしてきた。ここでの経験を大事にしながら、中学校生活をがんばってほしい。

イベントも開催されつつあるが、次年度の学校での行事予定はコロナ前の状態に近づいたものとなるのか。

 

(事務局)

まだ行事予定が出そろっているわけではないが、4月からはマスク着用の見直しがされ、その後5類に移行する方針である。できる限り、年度当初からコロナ前の状態に戻していくよう、教育委員会から学校に伝えている。子どもたちの学び、体験が充実した内容となるよう、各学校で計画していく。

 

(委員)

コロナ禍でオンライン会議のあり方も進化した。子どもたちの学びが失わないようにしてほしい。

PTAについて。コロナ禍でいろんな行事が中止となり、保護者が主体的にしてきたものもストップした。それを動かすには多大なエネルギーが必要である。PTAとしての作業は実はそこまでではないものの、責任を伴う、重圧がポイントなのではないだろうか。

 

(事務局)

コロナ禍で一度活動はストップした。当たり前にやってきたことを、改めてその目的、方法について考える機会になったと思っている。

現在もいろんな意見があるが、負担の少ないPTA活動の在り方について検討がなされているところである。市としては、活動中の事故に対し補償を行う安全基金の独自制度もあるので、活動について引き続きバックアップしていきたい。

 

(委員)

新年度からスタートする「京都府学力・学習状況調査〜学びのパスポート〜」について。京都府下の小・中学生(小4~中3)を対象としたこの調査の実施時期を教えてほしい。
また、この調査が本市の児童生徒にもたらす効果を、現時点でどのように考えておられるか。

 

(事務局)

効果については、これまで平均正答率だけが出ていたが、個の伸びに焦点をあてることができるようになる。児童生徒それぞれに、どういう手立てが必要かを把握して指導していく一助になると考えている。

 

(委員)

調査が終わったらまた内容について聞きたいと思う。本市の子どもたちにとってプラスになる取り組みであってほしい。

 

(事務局)

実施時期は5月中旬の予定である。



15.閉会

(教育長)

午後4時26分に閉会を宣言する。

お問い合わせ

長岡京市教育部教育総務課総務・施設整備担当

電話: 075-955-9532

ファクス: 075-951-8400

電話番号のかけ間違いにご注意ください!

お問い合わせフォーム