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第4回中小企業振興推進会議会議録

  • ID:14080

日時

令和6年2月9日(金曜日)午前10時から

場所

長岡京市立産業文化会館 3階 第2会議室

委員の出欠

※敬称略

京都橘大学 経済学部 教授 岡田 知弘

立命館大学 経営学部 准教授 植田 展大

長岡京市商工会 会長 藤井 宣之

長岡京市商工会 女性部 部長 太田 香

長岡京市商店街連絡協議会 副会長 長岡天神駅前相互会 会長 山添 和富

京都銀行長岡支店 支店長 村谷 昌彦

長岡京市経済協議会 三菱ロジスネクスト株式会社 管理本部 総務部長 公受 正道

長岡京市地産地消推進協議会 会長 小林 茂

社会福祉法人恩賜財団 京都済生会病院 福祉相談室 係長 田島 佳織

市民公募 髙橋 多賀子

市民公募 千葉 紀明

長岡京市環境経済部 部長 木村 靖子

長岡京市教育部 部長 舟岡 衛

〈欠席〉

京都府中小企業総合支援課 課長 浅利 賢司氏

(商業支援係 課長補佐兼係長 西村 一美氏 代理出席)

傍聴者

0名

内容

開会

  • 成立の確認
  • 委員欠席の報告

会長挨拶

正月早々に能登半島地震が起き、被害状況が明らかになる中で、輪島市や珠洲市といった中小事業者が支えていた地域で、生活や営業の再建が大きな課題となっている。

私自身、阪神・淡路大震災以降、被災地に入り災害研究を行ってきた。特に熊本地震の益城町で象徴的だったのは、震災後、大型店は半年から1年閉店していたが、全壊状態の個人商店が先に店を開けていたことである。店では水や食料、灯油等を扱い、商店街が住民の命を繋ぐという大きな役割を果たしていることを再認識した。また道路啓開なしには、避難や補給ができないため、災害のたびに、地元建設業者が貢献していることを再認識している。しかし今回の能登半島地震において、石川県や富山県、新潟県の3県では、事前に行政と建築関係、土木関係の組合で道路啓開計画を立てていなかった。事前復興の形で、事前に対応できれば、塞がった道路を啓開し、補給路や避難路を作ることが可能であった。

3.11以降、中小企業振興基本条例が制定された多くの地域で、災害発生時の中小企業の事前復興や事業活動の支援について議論されている。今回の地震で改めて、中小企業の役割と行政との連携について考える機会となった。本日は重要な案件について、皆様の意見を伺いながら進めていきたい。積極的な議論をお願いしたい。

*道路啓開…緊急車両等の通行のため、早急に最低限の瓦礫処理を行い、簡易な段差修正により救援ルートを開けること。

議事

第3回推進会議の振り返り

(事務局)【資料を基に前回会議の振り返りを共有。】


各団体の取組・成果等の報告

(事務局)【資料を基に前回会議の各団体の取組・成果を報告。】

今回の会議では、その後の進捗や成果、次年度の活動について共有・報告をお願いしたい。

(会長)各団体のところで、共有すべき事項があれば、ご紹介いただきたい。

(委員)前回会議で、空き店舗の見える化について話をした。4商店街で商連協を実施し、長岡天神駅前相互会、長岡中央商店街振興組合、セブン商店会については空き店舗を調査した。

長岡天神駅前相互会は2店舗、長岡中央商店街振興組合は10店舗、セブン商店会は23店舗の空き店舗があった。神足商店会は広いため、おそらく50店舗以上の空き店舗があると推測される。

空き店舗は、テナント募集をしているところもあれば、2階に自宅があるため貸すことができない店舗もある。

これから商店街の空き店舗に関しては、不動産屋任せではなく、間に市や商工会、商店街といった信頼できる所が入ることが大事だと考える。

実際に駅前では、喫茶店が閉店し空き店舗になったが、商工会の力を借り、1店舗入る予定となっている。

(委員)ゼロゼロ融資の動向については、融資を受けていたが、新規融資が不要の事業者は順次返済が進んでいる。一方、経営が厳しい事業所は伴走支援型融資にシフトしている。

ダイハツ工業の生産停止に伴い、相談窓口を設置した。長岡支店のエリアにおいては、二次下請けの事業所はあるが、現時点で相談はない。またダイハツと取引を行っていた事業者で、住宅ローンの負担軽減の相談は、現在のところない。

(事務局・商工会)ゼロゼロ融資については、京都銀行や他の金融機関と連携している。

長岡京市では、倒産については約2件聞いているが、高齢化や土地・店舗の移動に伴う廃業が多い状況である。

コロナが落ち着き、新しい商売のチャンスだと捉える事業者も一定数いるが、店舗を開く土地がない状況である。

コロナの影響による倒産は聞いていないが、一定数、返済猶予や条件変更している事業所がいるため、金融機関や保証協会と連携して伴走支援を行っている。

物価高騰対策や人材確保等の悩みについても、引き続き支援していく。

(委員)京都府では、2月7日に令和6年度当初予算案について記者会見を行った。

今までは、コロナ対策を中心とした予算だったが、コロナ関係の予算を一気に削減し、次年度は「あたたかい京都づくり」を加速化するため、子育て環境日本一の推進に向けた予算編成となっている。

商業関係の予算としては、今年度6月補正で実施したプレミアム付商品券の補助事業を、2月補正で国の予算を活用し、継続予定となっている。

商店街のハード整備も、補正予算で補助をしていきたい。

また、商店街の子育てに関する取組を推進するため、商店街内の個店が行う子育て支援の取組を補助する予算を考えている。

金融・経営一体型事業も継続予定のため、今後も関係団体のご協力をお願いしたい。

(委員)空き店舗の調査結果はどこかで公開予定なのか、それとも手持ちの業務資料になるのか。

(委員)いつか見える化をしたいと思っている。

空き店舗は流動性があるため、後から空き店舗に店が入ったという情報が入る場合もある。商連協として、市と連携しながら見える化を実施したい。

(会長)市の方で補足はあるか。

(事務局・市)商連協に参加する中で、市内の不動産テナントの流動性の低さは気になるところである。

店舗は個人の持ち物のため、活用方法については自由裁量になる。そのため、ニーズや条件面での折り合いを把握するのは、非常に課題だと考える。

市や商工会は、直接斡旋はできないが、斡旋の取りまとめや、不動産団体等と連携し、流動性を高められないか検討している。

市と商工会、不動産団体と連携しながら、事業所のニーズと物件をマッチングできる制度を考えている。本格的に始動する形になれば、この場でもご報告させていただく。

(委員)2023年度の倒産件数・廃業件数は過去最高を記録している。しかし長岡京市の場合は、コロナの影響による倒産は少ないことが判明した。

新型コロナ感染症が第5類となり、医療機関の全数調査が終わり、医療機関は全国で5,000か所、入院患者数の計算にすると500か所となった。

厚生労働省が発表したデータを追跡すると、500医療機関の入院者数は第10波に入り、増加している。高齢者だけでなく、年少者やICUの患者の感染が増加し、重症患者率が上昇している。

都道府県別に見ると、京都府はコロナに加え、インフルエンザB型の感染が増加している。

今後、経済活動と持続的な社会の継続性が課題になると考える。

(委員)京都府の商店街の子育て支援について、セブン商店会ではお店に、おむつ交換台や、おむつを捨てるごみ箱を設置している。

京都府の商店街に対する支援策は、具体的に何か決まっているか。

(委員)こども・青少年総合対策室で実施している事業。

次年度は、商工労働観光部の事業として、商店街内の個店におむつ交換台を置きたいという要望があれば、補助というかたちで支援をしたいと考えている。

現在は制度設計をしているところだが、ぜひ何かご意見があればお聞きしたい。


コロナ禍の動向について(市・商工会等)

(事務局)コロナに関して、昨年に5類に移行し、社会全体の中で平時体制をどう取り戻すかが課題となっている。

一方、経済的な話であると、引き続きエネルギー価格や物価高騰による価格転嫁や消費の低迷、賃上げ等の課題がある。

改めて、コロナ禍とその後について、市が行っている制度融資の状況や、商工会への相談等の状況を報告・共有させていただく。

(事務局・市)【資料を基に長岡京市中小企業振興融資制度の現状を共有。】

長岡京市中小企業振興融資制度、通称マル長は、信用保証協会や市内の金融機関と協力し、無担保で中小企業者の負担を減らす制度融資である。

融資額は800万で、運転資金、設備資金の両方に使うことができる。年利は1.2%であるが、その内0.9%分を市が補給金として支払うため、事業者の実質負担は0.3%である。

融資を受けるのに必要な信用保証料の2分の1についても、市が補給している。

マル長の件数推移は、平成26年度以降、年間で30件前後の利用があったが、令和2年度は減少している。国による無利子無担保のゼロゼロ融資が行われた影響によるものと推測している。

また令和4年度の件数は48件、今年度は92件を見込んでいる。要因として、ゼロゼロ融資の返済開始に伴い、後継の融資の手段の一つとして利用されているためだと考えられる。

制度融資に合わせて行っている利子補給と保証料補給の推移については、令和2年度、3年度は減少したが、令和4年度に増加、令和5年度はさらに増える見込みとなっている。

令和6年度以降も、近年の融資申請の増加に合わせて、当面、高い水準で推移していくと考えられる。

マル長のこれまでの変遷について、利率・利子補給・保証料補給ともに、時代に合わせて変化している。

リーマンショック時には、保証料の補給率を上げているほか、令和3年度以降は、コロナ対応として、年利の自己負担を0.3%まで下げている。

今後、コロナの5類移行に伴い、暫定的に下げていた自己負担額を、元に戻す必要があると考えている。

また金利上昇局面において、市場とのバランスを考え、制度融資も引き上げる必要があると考える。令和6年度に制度融資については、見直しを図っていきたい。

(事務局・商工会)【資料を基にコロナ禍の動向について共有。】

商工会の会員数は、令和元年度の739名から令和5年度現在、964名まで増加している。既存会員による声掛けや、商工会の支援に賛同した事業者の入会が増えていると考えられる。

令和5年度の廃業数は18件だが、長岡京市においてはコロナ禍の影響は少なく、

高齢に伴った廃業や、市外の移転という形での会員の減少は一定数ある。

令和2年度の新型コロナウイルス対策特別相談窓口の相談件数は556件だった。やはりコロナ禍の飲食店において、営業の時短・休業に伴う将来的な不安から相談の窓口が多かったと推測される。

またコロナ禍において、事業復活支援金や飲食店等への協力金支援を行ったほか、商工会としてグルメ券を発行し、飲食業界における消費喚起にも注力した。

小規模事業者経営改善資金、通称マル経は、商工会の経営指導を受け、商工会長の推薦を受けた小規模事業者が利用できる制度である。

令和2年度は15件だったが、その後減少している。民間金融機関からのゼロゼロ融資の申請や、将来的な不安によって、借り入れの申込が減少したと考えられる。

毎年創業塾を開催しており、受講生は20名前後と多くの参加をいただいている。特に介護事業やカフェ等での創業が増加している。

令和2年度の新型コロナウイルス対策事業継続支援補助金の支援件数は416件であった。

令和2年度のコロナ緊急支援補助金の支援件数は119件であった。補助金の相談については、商工会会員、非会員問わず受けていた。非会員については、相談がきっかけで入会した人もいる。

令和2年度の小規模事業者持続化補助金の支援数は115件である。令和3年度以降、支援件数は減っているが、長岡京市は京都府内の商工会においても、支援件数は上位に位置している。

持続化補助金の申請は、事業計画の策定が重要となる。策定にあたり、事業所の持つ強みや市場性等を検討する必要があるため、伴走支援をすることで既存事業を見直すきっかけに繋げている。

商工会は事業者の力になるという認識をしていただき、地域の商工業の発展に結びつけていきたい。

(会長)質問や補足的な話をお願いしたい。

(委員)長岡京市中小企業振興融資制度の使途目的の割合を教えて欲しい。

(事務局・市)基本的に運転資金が多い。

(委員)同じ事業者がマル経を受けるのか、または新規の事業者が申し込むのか。

マル経の経営指導を受けた事業者の成功事例はあるか。また成功事例を共有することはあるのか、教えていただきたい。

(事務局・商工会)マル経は既存の運転資金の継続反復というのが多い。やはり事業するにあたり、一定の運転資金が必要なため、継続的に借りる人が多い。

共有については、現時点で実施していないが、今後情報発信をして、事例報告ができればと思う。

(委員)商工会女性部は今年度、46名の会員がいる。前年度に比べ、10名増加した。

今年度、商工会の創業塾を受けた方で、経営支援員の力を借り、第12回京都女性起業家賞の京都リサーチパーク賞という特別賞を受賞した会員がいる。

業種としては和裁教室で、和裁の事業所に対し、着物の仕立ての指導をしている。

受賞したことで、他の事業所も刺激を受け、今後も活性化をしていけたらと思う。

(委員)マル経の件数に関して、融資を受けた人の事業内容に特徴はあるか。

(事務局・商工会)新たな事業での資金需要もあり、継続的な資金需要もある。例えば、違う地域に販促活動をかけるために、運転資金を借りるケースがある。

(委員)創業塾やセミナーの役割が大きいと感じた。

創業塾受講生の内、どのくらい起業したかというデータがあると、全体像が具体的になると思う。

融資関連について、民間金融機関側からの意見をお願いしたい。加えて、日銀の金利政策の動向について、どのように捉えているのか教えていただきたい。

(委員)金利の見える世界に対して、現在、業界として準備している。

今までは貸し出しについては、金利を調整できる幅は大きかったが、現在は金利が上がり、厳しくなっている。

金利が上がる可能性が高いため、営業担当者は顧客に対し、固定金利の選択を営業している。

そのため必然的に、制度融資の利用が多くなっている。京都銀行だけでなく、他の銀行も同様の動きのため、マル長の利用が多いと考える。

金利が上昇する時期は分からない。しかし今までと、預金に対する見方が変化し、預金の営業にも力を入れている。

しかし、現在の営業担当者は、金利の上昇局面の経験がないため、準備をしている最中である。


消費喚起・地域内経済循環促進施策の現状について

(事務局)【資料を基に、これまでの消費喚起・地域内経済循環促進施策について共有。】

これまでコロナ禍の消費の冷え込み等に対応するために、市民や子育て世帯への商品券の配布等を実施してきた。

令和4年度は市の公式LINEによるクーポン事業を実施した。高齢の方からの使いにくさ等のご意見をいただきながら、窓口での使い方の支援や、市全体としてスマホ教室の開催や相談窓口等で、デジタル化の支援を行ってきた。

結果として幅広い年代でご利用いただき、LINEのお友だち数が、現在9万人弱まで増加した。

デジタル化の流れを受け、商工会によるプレミアム付電子商品券「ガラシャPay」を実施した。また国の経済対策による補助金を活用し、現在、第2回目を実施しているところである。

こうしたデジタル手法による消費喚起と地域内経済循環施策について、ご議論をお願いしたい。

(事務局・商工会)【資料を基にガラシャPayについて共有・報告】

第1回目のガラシャPayは、消費喚起を促進させるために、ガラシャ祭の時期に実施した。

発行形態はデジタルであり、スマートフォンを使用したキャッシュレス決済の形で実施した。

発行総額は約6,000万円であり、その内、1,000万円がプレミアム分になる。総事業費は約6,200万円であり、プレミアム分を含めて、6,000万円が市内に落ちた。

地区別購入者の割合について、91%が長岡京市民の利用だった。年代別購入者割合について、30代、40代といった子育て世代が41%を占めた。

曜日別利用状況について、土曜日、日曜日の利用が3分の1を占めた。

時間帯利用状況について、13時~16時の利用が多かった。また10時や11時台の利用も一定数あった。データ上では把握できないが、スーパーの開店に合わせ購入する人が多いのではないかと推測できる。

ガラシャPayの利用について、大型スーパーでの利用が37.3%、地域専門店が62.7%であった。例年、大型店舗の売上割合が6割を占めていたが、大型店舗で使用できる券面額比率を2分の1にしたことにより、地域専門店の比率が向上した。

今後は、消費喚起効果と、地域のお店の応援とのバランスを踏まえた上で、ご意見をいただきながら考えていきたい。

利用期間をガラシャ祭に併せたことで、商業を中心に消費喚起を促すことができた。登録店からの聞き取りによると、多くのお店で約3%~5%の売上増加につながった。

しかし物価高騰による消費者の買い控え等によって、売上10%以上増となった事業者は少なかった。

一方、利用期間に併せてお店独自の販売促進を行った店舗は、新規顧客の獲得や客単価の向上により、売上20%増となっている。登録店からは、電子化されたことにより、換金に係る手続きが合理化され、好評の声が多かった。

商工会として、商品券の電子化にあたり独自開発を行ったが、購入から決済までの管理運営を一貫して行うシステム化の開発に、時間と労力を要し、一貫した電子のシステムは、次期以降の課題となった。

第1弾ガラシャPayは、申込から換金までの手続きを3段階に分けたため、利用者からは利便性に欠ける手続きとなった。専用アプリの操作に不慣れな方も一定数存在し、専用アプリの開発にあたり、手続の簡素化及び操作性を考慮したシステム機能の装備等が課題となっている。

今後は開発業者とも連携を図り、利用者側の効率を精査し、課題解決を図るとともに、参加登録店の拡充と、登録店独自の販売促進策の導入を促しながら、消費喚起と商工業等の売上拡大に結び付けたい。

第2弾ガラシャPayは、2月10日より利用開始である。

(事務局・市)【資料を基に、今後の消費喚起・地域内経済循環促進施策について説明。】

市としては、デジタル化に対応することが大事だと考えている。事業者支援として、紙の商品券より、電子的に処理する方が負担軽減するのは間違いない。

キャッシュレスの導入が難しい事業者に対して、将来的な社会の流れに置いて行かれないように、フォローすることも重要だと考える。

また市民に対しても、キャッシュレス決済が便利で、場合によってはお得であることを周知し、デジタル活用を促していくことも重要だと考える。

物価高騰やコロナ禍の事業は、国からの補助金があり、できていたところもある。今後、平時の体制に戻った時に、市単独で全て支援するのは、なかなか難しいと感じている。こうした施策の継続性を、どう持たせるかが課題となってくる。

今回、実施したガラシャPayは、利用額の2%から5%の手数料を、事業者が負担している。市民がクレジットカードやコンビニで購入した手数料は約4%前後である。手数料分は賄えても、プレミアム分やシステム運用費等は、どこかが負担する必要がある。

LINEクーポン等のデジタルクーポンは、会計時に提示することで割引を受けることができる。市が実施した場合、割引分は市が補助金として事業者に支払う。

継続的な実施を考えると、各事業者の方で吸収可能なレベルの割引率を設定することで、経費を抑えることができる。しかし業種や店舗によって、吸収可能な割引率が変わる点が課題である。

付与型デジタル商品券は、給付金の給付時に、地域で使えるポイントを対象のキャッシュレスのアカウントに付与するものである。例えば、市が給付金を出すときに、ガラシャPayをダウンロードしていただき、必要に応じて、対象者にポイントを付与するイメージである。ただし給付型デジタル商品券は、行政からの給付が前提となる。

付与型デジタル商品券に派生して、ふるさと納税から原資を持ってくる、「ふるさと納税返礼ポイント」も手段の一つである。

これまでのふるさと納税の返礼品の多くは、物であった。しかし、ふるさと納税返礼ポイントの場合、地域の加盟店での支払いに使用できるポイントが、寄付額の3割分発行される。

手法の特徴として、返礼品の発送が不要となるため、返礼品を設けることが難しい小規模な飲食店でも、恩恵を受けることができる。

長岡京市の場合、市外から市内に働きに来る人は2万人強いるため、市内在勤者や経済圏が重なる近隣自治体住民、観光客の利用が想定される。

今回提案したものは一例ではあるが、デジタルを活用した消費喚起や、地域内の経済循環促進施策の必要性や持続可能な仕組みに関して、ご意見をお願いしたい。

また本市に合った手法やプラットフォームについて、皆様のご意見をお願いしたい。

(会長)ご質問やご意見お願いしたい。

(委員)18ページの購入利用状況で年齢別が出ているが、人口比と比較して20代が少 ないという印象を受けた。

若者の購入が増えると、これまで市外に使ったお金が市内に振り向けてもらえる可能性が高い。情報発信の仕方も含め、少ない理由は考えられるか。

(事務局・商工会)確かに人口比と比べて20代は少ないが、要因までは把握できていない。

広報の手段としては、商工会ホームページや、市の広報紙、市の公式ラインを活用した。

(委員)学生に聞いてみると、行政の広報紙を見ないという声も多い。こうした取組の情報をいかにして若い世代にリーチさせるのか工夫が必要ではないか。

(委員)中学生の時期から、地域内経済循環の仕組みや、市の取組について勉強する機会があると、若者の利用が増える可能性がある。

教育の役割については、条例の中で明文化しているため、教育とも連携する必要があると考える。

第1弾ガラシャPayは192店舗が参加と記載あるが、商工会の会員比率はどのくらいなのか。

(事務局・商工会)ほとんどが会員事業者である。

ガラシャPayを契機に、商工会の会員になった事業所は、2、3件あった。

(委員)業種が理容業のため、第1弾ガラシャPayの時は固定客の利用が多く、新規の客は少なかった。

第2弾ガラシャPayは手数料が取られ、マイナスになる可能性があるため、今回は登録店舗を遠慮した。

ガラシャPayにおいて20代の利用が少ない意見を、利用客に聞き、自分なりに考えた。

一つ目は、どこで使えるのかを調べてから購入する人が多いためだと考える。ある程度、目的を持って購入する人が多い印象である。

二つ目は、独身の男性で購入する人が少ないためだと考える。夫婦で購入した人に聞くと、奥さん主体で購入する人が多かった。

(委員)ガラシャPayの応募者数はどのぐらいの規模か。

(事務局・商工会)発行総額は6,000万円だが、1億1,000万円分の購入の希望があり、申込者数は3,343人だった。

申込の際、1万円から5万円を選択できる形になっているが、購入希望金額が必ずしも当選するわけではない。公平に幅広く使っていただくという趣旨のもと、申込者全員を当選にしている。

(委員)第2弾の申込状況はどうか。

(事務局・商工会)2倍以上の申込があり、金額では約2億2,000万円分、6,000人以上の申込者となっている。

(委員)ちなみに未使用額や未購入額はどういった会計処理だったのか。

(事務局・商工会)プレミアム額を京都府の援助でいただいているため、その部分は未使用でお返しした。

(委員)LINEクーポンに続き、第1回目のガラシャPayも使用し、2回目も使用予定である。新しいお店で使用する動機づけになった。

共通券の使用店舗は、半分は大型店、残りは地域の新しく行ったお店も含めて使用した。

大型店と地域専用券の割合を見ると、大型店で使える枠にも専門店が入っている印象を受ける。

地元にとっては、良い取組だったと思う。

(会長)新しい消費喚起策・地域の経済循環を図るために、ふるさと納税の財源活用を事務局としては検討中である。

消費者や事業所の立場でご意見をお願いしたい。

(委員)先進的なことのため、農家のおばあちゃん、おじいちゃんたちがついて行けていないというのが現状である。

(委員)行政は何か工夫を考える必要がある。

(事務局・市)地域の中にお金を落としつつ、どのように市民生活を支えるかは考える必要がある。

事業を実施する際、原資の確保や経済規模感、事業の継続性について考える必要がある。継続可能性を考え、あくまで一例として、ふるさと納税返礼ポイントを提案した。

利用者が、使用可能店舗によって申込を決めるのは当然である。ただし事業者も同様に、どのくらいの利用者がいるかによって参加登録を決める。

第1弾ガラシャPayスタート時の登録店舗は162件だったが、その後、30件以上増加している。

事業者が、加盟登録の利点や経済効果を実感することで、登録店舗が増える可能性がある。

第2弾ガラシャPayのデータについても、今後の会議の場で共有させていただく。

(委員)現在、ふるさと納税の返礼品の中に特産品のタケノコがあり、非常に好評で、毎年ご応募いただいている。

市内の農産物を市内の飲食店で使っていただき、最終的にふるさと納税で使用していただく循環を作ることも一つの課題と考える。

(委員)財源の確保と、地域内経済循環や農商工連携は、切り離して考えた方がいいのではないかと思う。

ふるさと納税を活用することは、地域内経済循環を太くする手法の一つだと思う。

(委員)長岡京市には、市外から働きに来る人が多いという特徴がある。地域の特性を考慮した形で、飲食店を取り込むのは良いと思う。

ふるさと納税返礼ポイントによって、市外の人が地域のお店を知るきっかけに繋がる。

これまで飲食店がふるさと納税の対象に入っておらず、実際に対象にすると様々なハードルが出る可能性がある。

しかし、ふるさと納税返礼ポイントを通じ、今までふるさと納税を考えてなかった人たちを取り込める可能性があるため、面白いと思う。

(委員)医療福祉の分野で、保険に関わるサービスや物品販売以外の福祉医療系やサービス販売の事業所の多くは、商工会に入っているのか。

以前にも紹介したが、高齢化率35%の与謝野町は、高齢者の年金を推計すると約100億円あり、町の財政規模とほぼ同じであった。現役の雇用者報酬とほぼ同じなため、年金経済と呼んでいるが、いかに地域内で循環するかが重要になる。

そのため医療福祉系と地域内経済をどう繋げるかが課題となる。病院サイドの観点からご意見をお願いしたい。

(委員)相談員の立場のため、病院の中の物品の動きは分からない。

また病院以外の介護関係の事業所が増加しており、商工会に入っているかは分からないが、何か一緒にできると、活性化につながると考える。

(委員)例えば、通院の移動手段はタクシーが多いのか。

(委員)移動についてはタクシーで来られる方が多い。タクシー代が高いという声や、はっぴぃバスの午後の便が少なく帰れないという声がある。

タクシーアプリを入れている利用者はすぐ帰宅できるが、スマホそのものを持っていない人も多く、移動の面で問題がある。

(委員)ライドシェア問題も大きな問題になりつつあるが、公的な公共サービスのあり方も含め、工夫の余地があると考える。

病院周辺の買い物行動は、高齢者の特有の市場の仕組みであるため、そうした問題点にも着目する必要がある。

(委員)今回のガラシャPayは手続きの煩雑さや、デジタルに不慣れな部分もあり、応募していない。

また申込の期間までに自分が購入したいものが見つからず、応募を見送った。

先ほどタクシーの話があったが、高齢者がタクシーを乗りやすい環境が欲しいと思った。

(委員)過疎地ではないので、事業として成り立つ。半ば公的なものも入れながら実施するのも選択肢の一つである。


条例趣旨の理解促進について

(事務局・市)条例の理解促進策については、各団体等で周知の機会を作っていただきたい。

商工会の業種別の部会や各商店街における検討場の設置や、市長が各種団体で行う「対話のわ」で条例をテーマにしながら、意見交換等の考えるきっかけづくりをしていきたい。

また職員が、市の取組を説明する出前ミーティングも活用しながら、周知していきたい。


推進会議の定例、臨時実施期について

(事務局・市)本会議の実施時期について、毎年、予算編成前の8月と予算決定後の共有の場として2月に開催していた。

今年度、本格的に本会議が始まり、1年間運用した結果を見て、少しタイミングが早かったと考えている。

市の本格的な予算編成が10月のため、具体の議論が難しかった部分もあった。

そのため次年度については、予算編成のタイミングに合わせた10月と、予算が確定した後の動き出した段階の5月に共有の場として、年2回の開催を考えている。

また国の経済対策等で、臨時的に1回開催できる枠は設ける予定である。


その他

(事務局)市の公式LINEは、市民の方が欲しいと思う情報が届くように、セグメント配信という形で運用している。

例えば、利用者がイベント情報や子育ての情報、福祉の情報といったセグメントを設定することで、登録した情報が流れる仕組みになっている。

今回、新しく事業者向けの情報という枠を作り、登録していただいた方に、市から事業者向けの情報発信をする予定である。

今後、商工会や商店街へ登録のお願いをさせていただく予定である。


閉会挨拶

【藤井副会長】ここ2年、商工会関係や業界関係等の会議の場で、「長岡京市はいいですね」と言われることが多い。

LINEクーポンやガラシャPay等が活発に行われているのは、他自治体にも知られていることである。

京都市だと約10~15%の割引率だが、長岡京市ではLINEクーポンは30%、ガラシャPayは20%の割引率であり、長岡京市には、商売を広げるチャンスや購買力を上げるチャンス、経済力を上げるチャンスが多い。

その根源は中小企業振興基本条例の考え方にある。根源は条例にあることを皆が理解すれば、条例も浸透していく。

今日の会議で意見もあった農業や医療等の業種をまたがった横の連携をどう図っていくか、また、長岡京市の大企業は地元還元の考えが強いと感じるため、それらの部分で市や商工会、商店街と情報交換をしていくことも大切だと考える。

今後も活発に意見を出していただき、良い会議になればと思う。

本日はどうもありがとうございました。

会議資料

第4回中小企業振興推進会議資料