令和3年度 第1回 長岡京市建築紛争調整委員会 会議録
- ID:11815
日時
令和3年9月30日(水) 午前10時00分から
場所
長岡京市役所 会議室2
出席者
(委員)
及川 清昭
島多 玲子
(市長)
中小路 健吾
(事務局)
市民協働部長 城田 賢二
総務課長 秦谷 耕平
総務課 市民相談担当 主幹 馬場 愛
総務課 市民相談担当 課長補佐 木村 映美
建設交通部長 八木 篤己
都市計画課長 井上 健司
都市計画課 開発指導・空き家対策係 総括主査 西河 泰典
(欠席者)
委員長 若城 光柾
配布資料
年度別まちづくり協議件数状況一覧表
長岡京市まちづくり条例
長岡京市建築紛争調整委員会条例及び規則
委員名簿
議事
1.委員長の選出について
2.委員長職務代理者の指定について
3.長岡京市の開発指導の現状について
審議内容
(概要):
1.委員長の選出について
若城光柾委員を委員長に互選する。
2、委員長職務代理の指定について
委員長より及川清昭委員を委員長職務代理に指名する。
3.長岡京市の開発指導の現状について
【都市計画課より配布資料に基づき説明】
*資料「年度別まちづくり協議件数状況一覧表」
平成23年度から令和2年度までのまちづくり協議件数等の状況について
・長岡京市まちづくり条例の改正について
令和2年12月25日付で第20条の「単身者向け住戸」について一部改正をした。
従前の単身者向けの共同住宅について、居住専用面積37㎡未満、間取りをワンルームに限定していたが、住戸専用面積を37㎡未満から40㎡未満に引き上げ、ワンルームに限定していた規制を撤廃した。
高齢者向けや間取りについて多数の開発相談があったため、実態調査や周辺自治体の運用を参考に改正した。
・京都府が許可を行う都市計画法第29条の開発行為について説明
都市計画法上では開発面積は1000㎡以上だが、長岡京市は近畿圏近郊整備法による近郊整備区域に該当するので開発面積が500㎡以上となっている。
・都市計画法第29条(開発行為面積が、500㎡以上のもの)許可件数について説明
令和2年度の許可件数は16件。過去10年と比較をすると件数が多い。令和4年度に生産緑地の指定から30年が経過するので、令和4年度から令和5年度にかけて開発の件数が増加することが考えられる。
・まちづくり協議1・2号協議(開発行為面積が、300㎡以上又は2戸以上のもの)件数について説明
毎年度、約80件の協議件数だったが、コロナウィルス感染症の影響を受け、令和3年度の申請件数は現時点で28件である。
・まちづくり協議3号協議(開発行為面積が、まちづくり協議1・2号協議の規程に満たない規模のもの)件数について説明
まちづくり協議3号協議は、建築確認申請を提出する前の事前審査にあたる。
毎年度、約400件の相談がある。
・まちづくり協議1・2号協議の関係住民からの協議件数の詳細について説明
令和2年度、専用住宅の協議が53件あり、過去最多件数だった。
関係住民から、令和元年度はまちづくり82件のうち7件、令和2年度は82件のうち10件の相談があった。内容は、解体時の騒音・粉塵、建築物の離隔、高さ10mを超える中高層建築物の日影・プライバシーの保護・電波障害、住宅開発におけるゴミステーションの位置、開発敷地との境界、住宅密集地での工事車両の通行ルートなどについての相談があり、開発事業者との対話を通じて合意形成できるよう促し調整している。
近年の相談の傾向として、対象者、相談先がわからない、近隣との大きなトラブルを避けるため市の方から伝えてほしいという内容が多い。
過去に紛争調整の申し出はあったが、当委員会で紛争調整を依頼する際、当事者双方の承諾を得ることにしており、過去の紛争調整の申し出はいずれも相手側が調整を望まなかったため、紛争調整委員会の開催には至らなかった。今後、耐震基準のマンションの建て替え、生産緑地の解除による大規模な開発行為の促進が想定される。引き続き担当課で紛争が生じないよう開発指導を行うが、当委員会での調整が必要となった場合は委員の皆様にお力添えをいただきたい。
【質疑応答、意見交換】
(委員長職務代理)
委員の方から何か質問等ございますか。
(委員)
令和2年度と3年度の特徴的な相談を教えていただきたいです。
(開発指導担当)
ある地域で擁壁の高さについての相談がありました。市が業者を通じて相談者と話をした結果、業者が擁壁の高さ変更を行うなど相談者に寄り添った対応をしたことで解決したという事例がありました。
(委員)
とても高い擁壁を作ろうとしたのですか。
(開発指導担当)
元々は北側が高く南が下がっている土地です。南に既存の住宅があり、その上が田んぼになっています。こちらにお住まいの方は見晴らしが良いので購入されたのに、擁壁を建て水平にしたことによって、既存の家の一階のリビングからはコンクリートの壁しか見えなくなるという相談がありました。擁壁の位置を引いたり下げたりして、水平ではなく南側を下げる道路の形状にするなど計画変更を行い、双方が納得されたという事例でしたので大変印象に残っています。
(委員長職務代理)
高い擁壁を建てるよりも擁壁の高さを変えて段々に建てるとコストが下がりますので、そういったことも良い方向に影響したのかも知れないですね。
(開発指導担当)
もう一件印象的な事例があります。田んぼの中に30軒ほどの住宅地ができまして、そちらの東の田んぼの開発が始まり土地が繋がるのですが、今度は逆に低い位置に住宅が建ち、二階にいると自分の家のリビングと同じ高さになり、プライバシーの問題が出てくるといった事例がありました。上から見下ろされる、日陰になり困るといった話はよくありますが、2mほど低いにも関わらずそのような相談があり、双方がプライバシーを守るためにカーテンを付けるなど基本的なことができると思いますが、高さを下げたことに対しても苦情を言われることがあるのだなと思いました。
(委員)
見下ろすということが問題になるケースが多いと思っていました。
(委員長職務代理)
都市部には多くのごみ屋敷があり、ごみの問題が出てきます。ごみを片付けてほしいなど苦情が出た場合、こちらの建築紛争で扱うことになりますか。
(開発指導担当)
建築紛争は、まちづくり条例に基づき申出のあった、新たに建物を建てる案件が対象となりますので、ごみ屋敷問題は建築紛争の対象とはなりません。
(委員長職務代理)
人口が多かった時代はワンルームマンションの建築の際の問題が多数ありましたが、最近人口が減少しているので空き家の問題が多いです。それはこちらの対象になりますか。
(開発指導担当)
空き家につきましては、長岡京市空き家等対策協議会がありまして、そちらで審査や指導をして方針等を決めています。その空き家や辺り一帯を建て替えるという話になり苦情が出た際に、こちらでお世話になることがあるかもしれません。
(委員長職務代理)
先程説明のあった都市計画法第29条の開発面積について、再度確認したいです。
(開発指導担当)
都市計画法上は1000㎡以上の開発の協議をするということになっていますが、当市は近郊整備区域に該当しますので基準が500㎡に引き下げられています。
(委員長職務代理)
今までこちらで紛争を扱ったのは0件でよろしかったでしょうか。
(開発指導担当)
はい。お世話になったことはありません。
(委員)
まちづくり条例第27条の「関係市民及び開発事業者は」の文言の解釈について、当初は相互が申し出ということでしたが、今はどちらかが申し出すればいいという解釈になってきているとお聞きしたので教えていただきたいです。
(開発指導担当)
この「及び」は本市の法解釈上で言いますとどちらかです。関係する市民と事業者、双方が困っていて解決を希望されたときに初めて成立するという解釈をしています。
(委員)
どちらかの市で、同じ文言ですが解釈上の違いがあったと記憶しています。
(開発指導担当)
申し出自体は、どちらかからでも出来ますが、相手側にも来てもらう必要がある為、事前に申し出・出席の可否を聞き、双方の承諾の上、当委員会に諮ることとしています。
(委員)
そうすると問題は住民側から苦情があり、建築される側は建築を進めたいですし、拒否をすれば絶対起きないということになってしまうと形骸化しているのではないかと思い、難しい問題だと感じています。ただ、先程近年の事例をお聞した中で、市の担当者が間に入っていただいているとのことでしたので、調整がうまくいっているのですね。
(開発指導担当)
相談に来られる多くの市民の方は、市役所は市民の味方だと思っておられますが、私たちは法律を守っていく立場です。事業者が法律を守っている以上、業者に対して市民の要望どおりにして欲しいと言う訳にはいかないと思っております。決して市民の味方をしていないわけでは無いのですが、大変難しい問題だと感じています。
(委員長職務代理)
プライバシーの基準は、都市計画法にも都市計画法以外のどの法律にもうたわれていません。イスラム都市では法律が決まっています。騒音等は迷惑条例がありますが、プライバシーは迷惑条例で訴えられるのですか。
(委員)
プライバシーは民法では訴えることはできます。
(委員長職務代理)
民法でしたら法的根拠がありますので訴えられるのですね。建築系では訴えにくいですね。
(委員)
建築系では条例に根拠があればということになります。
(開発指導担当)
近接して家を建てると「家と家の間は50cm以上離さないといけないのではないですか。」と苦情が入ります。民法上の規程はありますが、「その周辺がどうなのかを見ないといけないですよ。」と説明をすると、「25cmしか間があいていないのに建築されます。」と言われる事例があります。
(委員)
民法は50cmですが、防火設備がある耐火建築物であれば25cmでしたね。
(委員長職務代理)
民法は50cmですが、建築基準法上は土地に100%耐火建築物を建てられるので相反する法律になっています。
(委員)
建築基準法は特別法、民法は一般法ですので、特別法である建築基準法が優先します。
(委員長職務代理)
特別法である建築基準法が優先されるので耐火建築物だとしても訴えられないということですね。
(委員)
ただし、市によっては住環境を守るために条例で80cmにしているところもあります。そうしますと条例の方が優先します。ある市では、密接を避けるため必ず木を一本植えなければならない等条例で定めています。耐火壁で建築していたとしても密着しすぎると防火・防犯の面で問題が出てきますので、条例で決めているところがあります。
(委員長職務代理)
長岡京市としては50cmを守らず20cm位でも建築確認申請は許可しますよね。東京都内は100㎡未満のところに建てますので、20cm位しかないところが多いです。
(委員)
建築については、先に建てた者が勝ちというようなところがありますね。
(委員長職務代理)
先程言いましたイスラム都市には先住の権利があり、先に住んでいる方が勝ちます。イスラム系の都市は街を作っていくときのルールが良くできています。前から住んでいる方に権利があるというのは納得がいくような気がします。
(委員)
日本の民法にも、後から建てた方が目隠しをしなければならないということはあります。
(委員長職務代理)
様々な案件を事務方レベルで処理していただいているので、建築紛争委員会を開催しなくても良いということがわかりました。
(開発指導担当)
ご理解いただけるよう頑張って説明させていただいているという状況です。
(委員長職務代理)
それでは他にご質問等ありますか。よろしいですか。では、議事(3)は終了いたします。
では次に議事(4)その他ですが、事務局から何かありますか。
(事務局)
ございません。
(委員長職務代理)
本日はご審議いただきありがとうございました。
(事務局)
本日はお忙しい中、ご出席いただきありがとうございました。これにて建築紛争調整委員会を閉会いたします。