発掘調査速報【乙訓寺第29次調査(右京第1252次)】
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実は発掘調査もいろいろ
長岡京市で行っている発掘調査は、大きく3種類あります。
1 民間の開発に先立って行う発掘調査
2 公共事業に先立って行う発掘調査
3 重要な遺跡の保護を目的とする範囲確認調査
ここで紹介する発掘調査は、「重要な遺跡の保護を目的とする範囲確認調査」です。
近年は乙訓寺の創建期(白鳳期)や長岡京期の中心伽藍を明らかにする目的で、範囲確認調査を行っています。
調査の概要
調査期間:令和3年11月1日~12月24日
調査場所:乙訓寺駐車場
調査目的:古代乙訓寺の中心伽藍の南限を確認する目的
調査の様子
令和3年11月
長岡京市では、古代乙訓寺の構造解明のため、平成29年から駐車場の発掘調査を実施しています。
今年度は駐車場のなかでも、南門のすぐ東側のあたりを調査しました。
白線の範囲を調査しました
地面をきれいすると遺構が見えてくる
令和3年12月
調査で見つかった遺構や地層は、写真を撮り、実測して記録を残していきます。
調査成果は、所有者や関係者、専門家らに報告させていただきました。
(※新型コロナウイルス感染症対策のため、現地説明は開催していません。)
地層のようすを観察して記録します
調査成果を関係者に説明しました
報道発表しました。
発掘調査の結果、重要な発見があったので、報道発表させていただきました。
何が見つかったの?
長岡京期の乙訓寺に伴う「門」と「回廊」を新発見しました!
<門>
- 一辺140センチメートル四方の柱堀形に、径約50センチメートルの柱の痕跡。(長岡京で最大級の大きさ!)
- 南北に3基並ぶ。(南北2間の掘立柱構造)
<回廊>
- 長辺120センチメートル、短辺80センチメートルの柱掘形に、径約30センチメートルの柱の痕跡。
- 柱穴は10尺(3メートル)間隔に並び、7基が見つかった。
- 南北1間、東西4間以上の掘立柱構造。
発掘調査区全景(南東から)
新たに見つかった門の跡
どうスゴイの?
実は、乙訓寺は、未知の古代寺院なんです。
現在の乙訓寺は元禄年間に再興されたもので、創建時や長岡京期の主要施設の配置や規模は明らかになっていません。
古代乙訓寺に関わる遺構には、昭和41年に長岡第3小学校のグラウンドで発見された大型建物があり、これが「講堂」跡に推定されています。しかし、この発見以降、新たな発見はありませんでした。
今回の発掘調査で「門」と「回廊」が発見されたことにより、55年ぶりに寺の規模や構造を解明していくための新たな手がかりを得ることができました。
詳細は下記をダウンロード
乙訓寺第29次調査記者発表資料