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“聞こえにくい”と感じたら  

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“聞こえにくい”と感じたら

補聴器装着者へのインタビューを通して

3月3日の耳の日に合わせて、令和5年3月号広報に“聞こえにくい”と感じたらという記事を掲載しました。

実際に聞こえの問題に対応し、長年補聴器を装着している西村さんから様々な話を聞きましたので、広報誌に載せきれなかった情報をご紹介します。



(聞き手)

聴力が低下すると高齢期にはどのような影響があると思いますか?

(西村さん)

話をする声が聞こえにくくなると周囲とのコミュニケーションが難しくなるので、家に引きこもることが増えるのではないでしょうか。そうなるとヒアリングフレイル(虚弱)状態になり、ますます出かけにくくなると思います。

(聞き手)

そうなると刺激のない生活になりますね。そういったことから難聴は認知症の原因になりうるとも言われているのですね。本人ができることとして補聴器(※1)の装着という選択肢もあると思いますが、西村さんは長い期間、補聴器を装着されていますね。

(西村さん)

若いころに伝音難聴(※2)になり、聞こえにくくなりましたが、そのころから補聴器を付けています。今は高齢による難聴(感音難聴※3)が加わった混合難聴になっています。補聴器がないとほぼ音が聞こえない状態です。

(聞き手)

補聴器が必要かどうかは耳鼻咽喉科に相談したらよいのでしょうか?

(西村さん)

耳鼻咽喉科の医師による診察によって、難聴の原因や聴力の程度を調べ、治療が必要であれば治療を優先することが大切だと思います。

(聞き手)

受診により補聴器を勧められた場合、補聴器はどこで購入したらよいのでしょうか?

(西村さん)

医師が補聴器店を紹介してくれます。また、行きやすい近くの認定補聴器技能士のいる専門店(※4以下「認定補聴器専門店」といいます。)で購入することをお勧めします。

(聞き手)

補聴器を購入する際に気を付けることはありますか?

(西村さん)

認定補聴器専門店は、認定補聴器技能士が常勤しており、補聴器調整の測定や修理・補修のできる設備が備わっています。また、利用者の難聴の特性と、予算の範囲、どのような状況で補聴器を使うかなど相談を受けたなかで、適切な補聴器を選んでくれます。その補聴器でしっかり2週間から1か月ほど試聴し調整してもらい、納得した上で購入するとよいと思います。補聴器にも私がしている箱型やほかにも色々種類がありますしね。その後、定期的にメンテナンスをしてください。試聴させてくれない補聴器店では買わないことです。

(聞き手)

実際に試して納得してから買うことができたら、“買ったのに使わない”、”補聴器は必要と思うが高額なので買わない” ということが無くなる可能性がありますね。

(西村さん)

補聴器がすべて高額なわけではありません。私が経験したり聞いたりしたところでは、補聴器店では20万円前後の補聴器を勧めますが、高齢者には取り扱いの容易な箱型補聴器(4万円~8万円ほど)をお勧めします。それぞれ購入できる予算があると思いますので、予算を決め、できれば家族と一緒に購入したほうがいいですよ。

(聞き手)

家族と一緒に購入ですね。家族が同席してくれると、説明も一緒に聞いてもらえるので心強いですよね。補聴器トラブルを避けることができますね。

(西村さん)

補聴器トラブルでいうと、国民生活センターには、補聴器に関する相談が近年増加していると報告があります。特に通信販売でのトラブルの割合が増加しています。補聴器は管理医療機器なので、業界の認定制度の下で一定の基準を満たした販売店(認定補聴器専門店)で フィッティングを受けて試聴してから購入することが大切です。

(聞き手)

補聴器は医療機器なんですね。確かに通信販売だと試聴できませんね。似たようなもので集音器(※5)はどうですか?

(西村さん)

集音器は、音響機器として販売しているので、聞こえに関する効果や安全性は保障されていません。逆に聴力が悪くなることもあるようです。

(聞き手)

集音器は医療機器でないため聞こえに関する効果や安全性が保証されていないということですね。それでは自身に合うかどうかは分からないですよね。大変参考になりました。最後に聞こえに悩む皆さまに伝えたいことありますか?

(西村さん)

補聴器は耳が聞こえなくなってから装着しても、聞きたい音が聞こえず、雑音(聞こえてなかった生活音)が気になり使うことをやめてしまいます。早い段階で装着することで、補聴器に慣れることが、耳の機能を低下させずに聞こえる状態を維持できると思います。私の経験からは、自分が不便だなと感じたり、家族から使ったほうがいいのではと言われたら耳鼻咽喉科に行ってはどうでしょう。補聴器のことを相談できる補聴器相談医(※6)に相談するのもよいと思います。

”聞こえない” ”聞こえにくい” 生活を、”聞こえ”を補聴器で補い、生活の質の向上を目指してください。



※1 補聴器:一般的な補聴器は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「確保等に関する法律」と言う)」第2条第6項で定められる管理医療機器であり、使用目的又は効果について「身体に装着して、難聴者が音を増幅して聞くことを可能とすること。」と定められている


※2 伝音難聴:外耳から中耳に原因(耳垢栓塞や滲出性中耳炎など)がある場合の難聴


※3 感音難聴:内耳や内耳障がい(騒音性難聴、加齢による難聴など)がある場合の難聴


※4 認定補聴器専門店:テクノエイド協会ホームページ  https://www5.techno-aids.or.jp/shop/map.php


※5 集音器:音響機器であり、補聴器に形状が似ている商品だが、「確保等に関する法律」による管理医療機器ではない


※6 補聴器相談医:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会ホームページ https://www.jibika.or.jp/